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洗脳

「そうですか……試験官をやっていながら、我々を間接的に殺すつもりだったのですね」


「殺すつもりか……どういう事だ?」


「彼を指示しダークエルフの戦力を削っていくつもりなのでしょう?彼に対して弱味を握り、抵抗出来ないようにしてね!」


「面白い事を考えるな……ここのダークエルフ達を先導してお前は何をするつもりなんだ?」


「それはこっちのセリフですよ。あなたこそ協力しているフリをして、何を企んでいるのです?」


「協力しているフリか……そうなのかもな。結局は自分の為にやっているからな」


「それが本音ですね。聞きましたか皆さん、彼らに協力して軍に入っても、ただの傀儡として扱われるだけです。

ですから、私達で捕まっている兵士を救い出し、この国を元に戻しましょう!」


焚き付けられたダークエルフ達は皆で同調し、声を出している。今ここで俺達は悪者に仕立てあげられた。


「そうか、それが狙いか……捕まっている兵士達の解放。そして、国家に内乱を起こすのか」


「いえいえ、国家に内乱なんてしませんよ。今の国家でおかしいところを修正していくだけです。

国内に人間を入れて、頼っている国家を!!」


違う……仕立てさせたんだ……


「お前の考えは解った。それでお前は誰なんだ?」


「何を言っているんです?私の名前は先程イーラが言ったではないですか、私はムートという者です」


「じゃあ、それでよしとしよう。けど、何しにこの試験場に来たんだ?」


「国家の為になるのが最初の目的ですよ。だから試験を受けに来たんです」


「すまないが、ムートなんて受験者はいないんだが?

もう一度聞くぞ、お前は誰なんだ?そして、お仲間のイーラもホントは誰なんだ?」


「受験者じゃないって何を言っているんです?私は受験票に名前も出身も書いていますよ。それにまだ面接を受けていないだけで、あなたのところに行っていませんからね。

確証のない嘘を言うのは止めてくれませんか」


「そうか?受験者を確認する為に、俺の契約精霊に指示を出して受付けまで行かせていたんだ。

それで、そこにはお前の名前は無かった様だ。答えろ!お前は誰だ?」


「そんな事はありませんよ。キチンと書いて来ました。見逃しているだけでしょう?」


「じゃあお前の受験票を見せろ。記入が終わった際に引換で貰ってる筈だろ。試験が途中でも、持ち歩かないと会場へと入れなくなるんだが」


「そ、それならここに……」


確かに受験票だ。だけど手書きで名前が書いてある。


「色々と調べて来ている様だが、こっちで名前を書く際に魔力を使って記入する様にしているんだ。知らなかった様だな?」


「な……」


「戦争中だぞ、色々と工作しているさ。見事に引っかかってくれた様だが」


受付けの際に、不正防止や敵の侵入に備えて幾つかやっていた。そのひとつがそれだ……他にも実はあるんだが、一番判り易いのに引っかかったのだ。


「私からも1ついいですか?」


今まで黙っていたケインが話しを始める。


「あなたはダークエルフじゃないですよね?」


「何を言っているんだ。どう見てもダークエルフだろう!」


「あなたにどう見えてるか解りませんが、魔法で肌や髪の色を変えても判りますよ」


「そんな訳があるか!私は生まれも育ちもこの国だ。おかしな言い掛かりをつけるな!!」


「では何故いつも魔力を発しているのです?しかも、お連れのイーラさんも同じく」


ケインが言ったのを確認してみる……確かに通常、身体に纏っている量以上の魔力が感じられる。

まさか、サンドラ様と同じく光魔法で色を付けているのか?


「名前を聞いた時に少し違和感がありましてね。その魔力を感じた時に確信しましたよ。

ねぇ、変化魔法使いのトムさんと、精神魔法使いのライさん。名前を変えるならもう少し手を加えないとバレバレですって」


「何を言っているんです。私達はそんな者では……」


「知ってるんですよ。あなた方のやり口は、トムさんがその種族になりすまして行動し、ライさんが周りを洗脳する手助けをするんですよね。

そうやって色んな問題を起こしてギルドへの依頼とし、都合の良い様に冒険者達で鎮圧」


「だから私は違う……」


その場から逃げようという動きを見せた瞬間に、速攻で闇魔法で魔法を吸収すると人間の姿になった。


「違わないみたいだなトム、内乱を起こさせようなんて人間も色んな手を使ってくるもんだ」


「くっ……逃げますよライ、洗脳しているダークエルフを使って足止めすしなさい」


「そんな事させると思います?」


ケインは一瞬でライの後ろに回り、手刀で首元を叩き気絶させた。


「頼りの仲間は使えなくなったみたいだな、どうする?大人しく捕まるか?それとも抵抗してみるか?

抵抗するなら加減無しでいかせてもらうぞ……」


「私を舐めてるんですか?これでも修羅場は潜ってます。こんな事ぐらいどうにでもなります!」


「じゃあ、抵抗するって事でいいな?後で牢屋で会おうな」


「な……」


闇魔法で魔法を封じたまま、脚力を強化し接近。トムが隠していたナイフで攻撃を仕掛けるが、足払いで勢いよく体を中に浮かせ、地面とトムの体が水平になった瞬間に鳩尾に拳を放ち地面に叩きつけた。

トムの体は床で1度バウンドし、2度目に落ちた後に止まった。トムは意識を失っており、白目を向いていた。


「やり過ぎたかな?」


「そうですね。結構やり過ぎましたね……後で拷問して吐かせるのに支障きたしますよ」


回りで囲っていたダークエルフ達は徐々に洗脳されていた事を実感してきたのか、皆で俺達に謝罪してきた。


詳しい話しを聞きたいと言う事で、試験会場の面接室で皆に説明を聞いた。

内容は想像通り捕まっている兵士を解放して内乱を起こす予定だったそうで、最初は聞いていてそんな事には参加しないと思っていたのだが、徐々に参加しないといけないと思う様になったそうだ。


一通り話しを聞き終わると、皆を宿舎に戻しケインと話しをする事に


「なぁ、内乱を起こした後は外からも襲撃させる予定だったのか?」


「そうですね……どこかで軍を待機させていて、合図と共に攻めて来る予定だったのでしょう」


「と言う事は、森のどこかに軍が潜んでいるんだな?」


「だと思います。ですが、合図がいつまでも無ければ失敗したと思って引き下がるでしょう」


「とりあえずはアイツらを吐かせて軍の所在地を聞き出し、倒しに行くか?」


「人数次第ですね。多過ぎる場合はこっちに死者が出る可能性があります。なので状況を把握してから動きましょう」


あの2人を尋問するのだが、情報を簡単に聞き出せるものか……

けど、この手はケインが得意そうだから任すか。

俺はブランのとこに行って、大丈夫か確認しに行こう。



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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