勘違いの解決策 その3
初の投稿作品になります。
皆様に楽しんで頂ければ幸いと思います。
しばらくしてドアがノックされる。
「はいどうぞ」
ドアが開き、ライトが王との話しが終わり戻って来た。
「お待たせ致しました。遅くなりすいません」
「いえ、そんなに時間が掛かった様ではないので、
気を使って早く戻って来て頂いたのでしょう。
お心遣いありがとうございます」
「いえいえ、こちらがお呼びしておいてお待たせしては悪いかと思いまして、要点を王に伝え戻って来たまでで」
ライトは今までの対応を見る限りかなりの常識人だ。
こっちもしっかり大人の対応を心掛けて話さないと失礼な気がしてくる。
「戻って来て頂いて早々で悪いのですが、先程お話しした状況を教えて頂いてもよろしいですか?」
「解りました。
では、まずは我が種族の状況からお話しさせて頂きましょう」
この内容が俺の生命線だ。
あまりに悲観するしかない内容でなければと願う…
「我々ダークエルフは元々はエルフであったと伝えられています。
そこに魔族の血が加わりエルフとは違い、肌が黒く、髪は銀髪もしくは白髪になっていったそうです。」
つまりは魔族とエルフとのハーフって事か…
血が加わったって事はそう言う事だろう。
「その中で我々ダークエルフは汚れているなどの考えを持つエルフが現れ、弾圧に合いそれが軋轢になり袂を分かつ事になりました」
1人の考えではどうもないが、集団になればなるほど強固になり脅威を産む…
どこの世界も同じって事だな。
「その後、私達種族は魔獣の溢れていた森を開拓し村を築き、法を作り、代表者を決め少しづつ発展していくことが出来ました。
ところが数年前より我々が食料等を取りに結界の外に出ているところを人間族やエルフが襲いかかって来る事件が起きました。
この事件を機に何度も我々が強襲される事が起きたのです」
エルフはダークエルフを忌嫌っているのは解ったが、何故人間まで襲いかかって来るんだ?
「人間が襲って来る理由は解っているんですか?」
「はい…仲間が魔法を使い、人間に変身して聞き出した情報では、我々ダークエルフは魔族と同じ扱いにされ悪しき者として討伐対象になっているそうです」
これはエルフの時と同じで、先導している人間がいるって事か…
「中に先導している輩がいるんですね?」
「その通りです。
救神教と言う教団で、人の殆どはこの教会に生きる上で必ず関わるそうです。
特にその中のトップである教皇がその考えを推し進めているそうなんです。
教皇は国王に並ぶ権力の持ち主らしく、人は誰もこの教皇の教えを疑わないそうです」
それに加えてエルフが後ろ盾している状況なのだろう…
救う種族を滅ぼそうとしているのが俺と同じ人間なんて最悪だな…
「誰かそれに対して訴える様な行為は出来ないんですか?」
「我々ダークエルフは人間族やエルフとの繋がりを、ここ200年程持っていません。
人間やエルフの知り合いなど誰もいませんので、訴えたところで、逆に襲われて殺されてしまうでしょう…」
鎖国状態が続いた結果、気付けば周りは敵だらけって事か…
「そして最近はここから1番近い人間の領土の街で武装した人間の軍が目撃され、戦争になるのは時間の問題かと思われています。
それに追い討ちをかけるかの如く、我々や魔族を滅ぼす為に人間族は勇者召喚を行うと」
「魔族自体は人間に脅威を与える様に襲いかかっているんですか?」
「魔族が人間族に自ら戦いを挑んだなんてことはここ数十年はないはずです。
魔族達も自分たちの領土に侵入して来た人間族を相手にしているだけみたいですから」
自分達の勝手な価値観の為だけに相手を滅ぼすなんて…
しかも、その事事態が個人が発信している事となると、なおタチが悪い。
「それで、このまま人間族に勇者様を召喚されてしまえば我々の存続を危ぶまれる事態になると思い、人間族より召喚魔法の方法を盗み、先に勇者様をこちらにお呼びし、助けを乞う予定でした」
「それで自分が現れ勇者と思い、違うと言った事で落胆させてしまった訳ですね」
「ジンさんが悪い事は一切ございません。
むしろ外部の力に頼った我々が悪いのですから」
とりあえず状況は解った。
状況はヘビーだが、これをクリアしないと俺は家族の元に帰れない。
「ライトさん、1つお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「貴方達の願いを受けて自分は此処へ召喚されて来ました。
自分が状況を聞いたのは元より貴方達の力になりたいと思ったからです。
勇者程大きな力を貸す事は出来ませんが、少しでも改善出来るよう尽力させては頂けないでしょうか?」
これがスタートラインに立つ為のアプローチのスタートだ…
誤字等で読みにくい所があるかもしれません。
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