表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/213

試験開始その2

サンドラの手伝いをしに城の外へと向かっている最中に大きま音が何度か聴こえてきた。

機械音ではないが、かなり騒々しい。お陰でサンドラ様の位置は簡単に特定出来た。


「何をやっておるのだ?試験の方は良いのか?」


「ちょっと手伝いでも出来るかなって思ってですね。試験の方は選定してくれる人がいるし、ただ見ているだけだからこっちに来て仕事しようかなと」


「そうか、でもやる事はないと思うぞ。妾だけでこのくらいの事は充分終わる」


サンドラ様の言う通り、既にサッカースタジアム3つ程が入るくらいは皿地になっている。

ここでも俺は用無しの様だ。城で見ていた方が良かったかな……


「お主がそこまで仕事をしたいなら、仕事を与えようか?」


「出来る仕事であればやります」


サンドラ様の場合、とてつもない事を言ってきそうだったから、念を押して出来る仕事と言った。


「心配するな、そんな無茶は言わん。一部に建物の予定場所を決めて欲しいだけ」


「宿舎や会場の場所と言う事ですね。解りました」


確かに大量に人が押し寄せて来た際に宿泊する場所も無いと、城の外で野宿させる事になってしまう。危険が全くない状況ではない為、外で宿泊させるのは危険だろう。


充分な場所は確保出来ている為、サンドラ様と相談しながら宿舎の場所を決めていく。とりあえず荷物等もあるだろうから、入り口を予定している場所の近くに決めた。


「建物は3階建てくらいで良いでしょうか?」


「そうね、急造の物で強度を考えるならそれくらいが妥当かと思うわ」


3階建てで300人以上が宿泊出来る施設となると、何部屋造れば良いかな……とりあえず一部屋3人で泊めるとしたら1階で34部屋位か、でもそれ以上増える可能性もあるから50部屋あれば良いけど。


「サンドラ様、1階に25部屋って造れます?それの間に通路を造って、向かい合わせにもう25部屋で各階造りたいんですけど。最低でもそれ位あれば問題ないかと思います」


「随分と多いけど問題ないわ。じゃあ造るぞ」


土が盛り上がっていき部屋が簡単に造られていく。1階部分の部屋が出来上がると、皿地にする為の土を魔法で操作し壁に塗りつけ強度を増していく。

魔法を使う上で、魔力を込めて強化するのにはふたつの目的がある。ひとつは増幅、量を増やす為のものだ。これは主に火属性の魔法を使ったりする時に効果範囲を広げたりする時に行う。もうひとつは増強、密度を上げて強度を増す方法で、土魔法で防御の為に壁を形成して壊れにくくする時なんかに使う。

どっちの方法でも、魔力を込めれば込める程増していくから、サンドラ様が魔力を込めた壁なんてコンクリートより硬いだろう……


「各部屋に3つ位ベッドを造りたいんですけど、どうですか?」


「そんなもの造作もない、簡単に出来るから待ってなさい」


見える部分で確認すると、各部屋の両端と奥にベッドが出来ていた。


「これと同じ感じで3階造るわ」


同じ構造で3階建てがあっという間に出来上がっていく……後は外側に面している部分の廊下の突き当たりに穴を開け、その外に階段を造れば……立派な3階建ての宿舎の完成だ。


元の世界で造るなら何日掛かるか解らない工事が、1日で完成した。贅沢を言うならば、もっと強度を上げる為に鉄筋を組み込んでいきたかったけど、鉄を造る魔法なんてないだろうし無理かな。


「立派な物が出来上がりましたね」


「妾が造ったんだ。当然だろう」


「出来上がりまでの時間も早いです。まさに圧巻でしたね」


凄く上機嫌になってらっしゃる。ニコニコしながら「そうだろう」と頷いている。

後は会場の方をどうするかか……体育館みたいにしたらどうかと思ったけど、明かりがとれない。照明なんて松明ぐらいなもんだし、明かり取りの為に穴を開けすぎると強度が問題になるし……どうしたものか。


「何を悩んでおるのだ?」


「いえ、試験会場をどうしようかと思いまして……」


「ただ外ではいかんのか?」


「それも必要でしょうけど、屋根のある場所も造りたくて」


屋根がないと……逆に屋根と柱を造れば良いんじゃないか。でっかい柱を数本と、屋根を取り付ければ壁なんて無くても問題ないか。面接会場だけ部屋を造れば良いし


サンドラ様に思い立った内容を話してみると、知ってる建造物に近かったのかすぐに理解してくれた。

すぐに建設にかかり、バスケットコートが3つ位入るサイズの建物が出来上がる。


「サンドラ様、創造通りのものです。完璧だと思いますよ」


「この位は余裕よ。後は壁を造って終わりにするかな?」


「はい、ではサンドラ様が壁を造っている間に、面接会場の部屋を造っておきます」


サンドラ様は高さ2m程の壁をドンドン造って外周に建てていった。

俺は20畳程の建物を2つ造り、それを面接会場とした。俺がやっとで終わった時には、サンドラ様は壁を造り終えていて、魔力操作と魔力量の差を見せつけられてしまった。


「これで完成よな?じゃあ城に戻ってリレイと交代するわ」


「完成で間違いないです。短時間で出来上がったものには絶対見えませんし、最高の出来栄えですよ。

一緒に戻ります。そろそろ模擬戦を始めている者もいるでしょうから」


新設の会場を作り上げ、2人で城へと戻った。

サンドラ様はリレイがやっていた。魔法使い部隊の選定を交代し、俺は模擬戦の会場へと出向いた。


模擬戦はようやく始まった様で、時間的にちょうど良かったのかもしれない。

そう言えば、キャメロも出るんだよな。あいつの得意な植物を操る魔法はここで使えないかもしれないけど、どう戦うんだろう……ちょっと楽しみではあるな。


目の前の模擬戦を観ながら考えていると、キャメロが入って来た。少し緊張しているみたいだから、茶化しに行って来るか……



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ