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サンドラの上空に直径20m程の巨大な岩が出現する。その岩が徐々に赤みを帯びていく……


「覚悟するがいい」


サンドラが手を振り下ろすと岩が向かって来る。

多分高熱になっていると判断し、水魔法を使い岩を冷やす様に当てるが、水が蒸発していく……


なんて熱量だ。触れただけで水を蒸発させるなんて……まだこの距離なら回避出来る。急いで逃げるぞ


後方に飛び上がり直撃を避ける。十分な距離をとって衝撃に備えるが、地面に岩が落ちた瞬間に岩の形状が崩れていく、岩が溶けだし見た感じ溶岩流だ。

溶岩流となった岩がこっちに襲いかかって来ている……溶岩流の津波なんて初めて見るが、あれに当たれば溶解されるのだけは解る。

土魔法で壁を作成するが、簡単に乗り越えてくる。防御する方法が浮かばない……


何かないか?俺の頭の中の引き出しを全部出して考えるんだ。水ですら簡単に蒸発させてしまう溶岩流……

爆破の魔法で飛び散らすか?それをしたら山火事が大きくなって、大惨事だし、融合しないとこれだけの溶岩流は吹っ飛ばせない。

単品の魔法では無理だし他の複合魔法で相性が良いのは氷魔法か?でも簡単に水を蒸発させるのに、単純な氷魔法で対応なんか……待てよ。溶岩流の熱量と、氷魔法を発動させる条件……これならいけるか?


ひとつだけ希望が見えた。行動を実行する為にもう少し後方へと下がり、魔力がもつ事だけは心配だがこの手に賭けた。


火属性魔法を発動させる為に溶岩流からの熱を媒介にしていく……


俺が考えてるのはこうだ。氷魔法発動の際に火属性魔法で対象の温度を奪い冷していき、氷を発生させる。つまり、目の前に迫っている溶岩流から熱量を奪い、元の岩へと戻してやるのだ。

その為に火属性魔法で火球を作り、それへと熱量を送り込む。考えがあっていれば成功だ。


近くまで迫って来ている溶岩流からどんどん熱量を奪うと、その場で黒く固まり動かなくなる。


成功だ。これを続けて固めていってやる……熱を奪う作業にはかなりの魔力を消費するが、これしかないんだ。スッカラカンになるまで諦めてやるもんか……


次々に溶岩流を固めていき、火球が巨大化していっている。アレは危険だ……温度がどんどん上がって、俺の体の中の水分を奪っていくが終われない。これが終わるまでは……


溶岩流を半分程固めた時には喉がカラカラになった。これで汗が止まったら熱中症になるぞ、だけど他の何かに魔力を回せる程の魔力残量はない。


もう少しだ……もう少しで終わる。油断するな、どこかに火種が残っていれば再発するぞ……上空の火球はどうしよう、アレの処理まで考えてなかった。俺が意識を失ったら暴発するぞ


溶岩流を固め終わり、意識が朦朧とする中、最後の力を振り絞り火球を出来るだけ高く打ち上げる。


もうやばい……意識がもたない……


意識が失われる中で最後に見た光景は火球が大爆発していく姿だった……




―――――――――――――――――――――――――――――――




急激に意識が取り戻される……ってか冷たい!?寒いぞ、何されたんだ?その答えはすぐに返ってきた。


「やっと起きたか、思いっ切り冷水にして顔にかけてやったからな」


「さむっ……どんくらい意識失っていたんですか?」


「私がここに歩いて来た間だ。そんなに眠ってはおらん」


起き上がろうとすると、立ちくらみがして立ち上がれない……まずは魔力回復薬を飲みたいが、闇魔法の収納の中なので取り出せなかった。


「魔力を回復せねば、十分に動けないだろう、私の手持ちのをやろう。十分に楽しませてもらった礼だ」


サンドラ様から魔力回復薬を貰って一気に飲み干した。あぁ……染み渡る……さっきの火球で喉がカラカラだったし魔力もスッカラカンだったから生き返って気分だ。


「実に愉しい時間だったぞ、出来ればもう少し愉しみたかったのだが、お主がその様子では難しいようだ」


いやいや、どっかの戦闘民族じゃないから「オラももう少し戦いたかったぞ〜」とか言わないぞ、しかしサンドラ様が居れば援軍なんて彼女だけで良かったのではと思ってしまう。

彼女が本気を出して戦えば戦争なんてすぐに終わってしまうのでは?


「このまま戦ってたら死んでますって、現に魔力尽きて意識を失いましたしね」


「それはお主が攻撃をせずに、防御に魔力を使い切ったからだろう。攻撃していれば、妾も違う戦い方を余儀なくされたであろう。お陰でこっちは気持ちいい程魔法を使わせてもらったのだがな」


攻撃する事が出来ないじゃないが、そこまでの考えは回らなかったのが事実であって、魔法を使った勝負では完敗ってとこだ。


『結局融合使わずに乗りっきたな、いつでもいけるようには準備していたんだが』


『融合なんか使ってたらサンドラ様が本気で攻撃続けて、只事じゃ済まない状態になってるよ』


「防ぐので精一杯でしたから、そう言えばサンドラ様は色んな属性の魔法を使ってましたね。近くに媒介も無い雷属性なんかも」


「言っておらんかったか?妾は全ての属性の精霊と契約しておるからな、媒介など必要ないんだ」


聞いてないって〜最初からハンデありじゃないか……


「初耳でしたよ……ところで話しを変えて良いですか?」


「来たな、毎回の質問攻めが」


俺ってそんな風に思われてんのか……疑問や質問があれば聞くだろう、だって資料なんてほどんど無いんだから


「サンドラ様を呼び出した本題です。作戦会議の内容を教えてもらいたいんです」


「内容か?それなら他の誰かに聞けばいいじゃないか」


サンドラに今回の件の概要を説明するが、サンドラは楽しそうな顔をしている。

恐い……恐すぎる。何を考えてるのか想像したくもない……


「なるほどな、人間に通じる者が居るとな、人間の策なんて妾がぶっ潰してるわ。お主といれば退屈しないな」


いやいや、そんなに楽しい事などひとつもないぞ……毎回死ぬ目に合うだけで、胃がキリキリしますよ。そのひとつがあなたでもあるんですけど


「楽しくは無いですけど、内通者の裏をかく為に行動するんです。だから内密に作戦を立てているんです。その為に会議の内容を知りたいんです」


「教えるのは良いが、その作戦とやらに妾も混ぜよ」


「え?でも作戦の一部にサンドラ様も組み込まれてるんじゃ無いですか?」


「妾は城で待機だそうだ。援軍に来てもらって何か合ったら魔族に顔向け出来ないのだそうだ。お陰でつまらん戦争に来たと思っててな、だから妾は問題ないぞ」


いや、だったらこっちで何かあっても困るし……協力してもらえるのは凄く助かるが、指示するのもしにくいし……もっと胃が痛むよ。

でも、断る事も出来ないし、情報をもらう為に仕方がなかったのか


「解りました。でも、城の中からどうやって抜け出して来るんです?」


「ん?催したとか言って抜け出すとか……」


「それ絶対バレますって!長時間帰って来なかったら捜索までされますし、俺らの行動すらバレます」


「そうか、面倒だな……仕方ない少々魔力を消費するが、分身を立たせておくとするよ」


分身?そんな忍術みたいな事が出来るのか?


「疑っておるのか、しょうがない見せてやろう」


そう言うと地面から土が盛り上がりサンドラと同じ様に型どっていく、そこに光魔法で色を映してサンドラと同じに仕上げた。


「どうだ?これならバレまい、操作して動かす事も出来るが喋れない。そこは上手く頷かせて聞いてるフリをさせれるから問題なかろう」


確かにこれだったらバレない……魔法って凄いな、知らない事だらけだ。色々と教えて欲しいがサンドラ様に教えてもらうとその対価で戦闘させられたら堪らないから違う人に頼もう。


「解りました。じゃあそれでいきましょう。一旦城に戻って皆に作戦の事を教えてもらえますか」


「解った。では城に戻るとするか、まだ魔力が回復しきってないなら妾が抱えて行こうか?」


「だ、大丈夫です。回復薬はありますし、魔力無しでも移動方法はありますから」


サンドラ様は「そうか」と言うと風魔法で飛び上がり移動を始めた。

抱えて行こうかなんて言われても断るだろ……いくら恐ろしく強くたって相手は見た目幼女なんだ。

幼女に抱えられるオジさんなんて想像しただけで情けなくて耐えれませんって……

とりあえずは置いていかれないように脚力強化して付いていかないと、サンドラ様は集合してる部屋も知らないのに先に行かれても仕方がないだろうに……


ようやく腕試し(戦闘幼女の愉快な遊び)も終わり、やっと作戦の準備に入れる……サンドラ様が追加になったと言う新たなストレスを加えて。

しかし、もう二度とこんなイベントはやりたくないと心から願った。



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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