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休息の夜

リレイと部屋に入りこれまでの経緯を話した。もちろんブラッドとの共存の事は避けて説明した。どうせ俺の頭の中しか出てこないし、理解し難い事だろうと思ったからだ。


「蛇王にまで出会われるとは……過酷としか」


「はい、あの時は死ぬんだって思いましたよ……結果生きて帰れたから良かったですけど」


あんなのとは二度と会いたくないな……融合があるとはいえ、相当なダメージを与えても逃げるだけの力があったんだ。殺し合いになれば時間制限のある俺の方が不利だろうな。


「でも、生きて帰って来られて嬉しいです。生きて帰って来れなかった事を考えると恐いです……」


「ご心配ありがとうございます。でも、俺は絶対死にませんよ。いや、死ぬ訳にはいきません。帰らなきゃいけない場所があるんですから」


「そうですね。私達の所為でこんな事態に巻き込んでしまったんで、言えた義理じゃないけど……頑張って下さい。私に出来る事があれば何でも協力しますので」


「じゃあ、その時はしっかり甘えさせて頂きますよ」


「もう、ジンさんってば……ところで防衛の件ですけど明日から私もそっちに合流しますのでよろしくお願いしますね」


「合流って戦うんですか?」


「そうですよ。こう見えても魔力の扱いは上手いんですから。サンドラ様には負けますけどね」


サンドラとの一戦を思い出していた……あの時はかなり肝が冷えた。サンドラ様が比較対象になるのなら、実力の方はかなりのものか……


「サンドラ様とお会いになった事があるんですね?」


「そうよ。魔法を教えてもらうのに彼女が適任だってお爺様が言われてて、昔一緒に鍛えあった仲だからって」


確かに魔法を教わるのには最適か……って待てよ。あの幼女幾つなんだ?お爺様と一緒に鍛えあったって言ったよな、ダークエルフも長寿な筈だ。そのお爺様と鍛えあったって……ダメだ解らない


「……サンドラ様って幾つなんですか?」


「女性の歳を聞いたらダメですよ〜」


「いやいや、リレイさんおしゃってましたけど」


「わ、私はたまたま同い年だったからで……実際のところ、私も知らないんだよね」


考えない様にしておこう……俺の常識じゃ図れそうにない


「と、とりあえずそれは置いときましょう……それでリレイさんは複合魔法なんかも使えるんです?」


「使えるよ。得意なのは土と風魔法で創る砂嵐なんかかな」


砂嵐って攻撃の魔法なのか?よくゲームでサンドストームなんて魔法があるけど、実際にあったら暴風の中に砂が舞ってるだけなのでは?



「なんか疑わしい顔してない?結構使い勝手良いんだよ。広範囲に使えるし、視覚も奪えるし、砂のサイズを変えればダメージだって大きんだから」


なかなか想像が出来ないな……実際に見てみれば解るかな


「ジンさんは使えるんですか?」


「まあ、今のところ一つだけですけどね。火と風の複合魔法で爆破を起こせるぐらいです」


「爆破?火属性の精霊と契約してるの?火属性なんて、ほとんど精霊無しだと発動すら難しいのに」


「契約してないですよ。さっきも言った通り、闇の精霊だけです。火は火花を利用して使ってます」


現場で火打石なんて持って発動なんて出来ないだろうからね、確かに発想として剣士なら出来るけど、純正の魔法使いからの発想は難しいかも……一応やり方を説明しておいた。


「数日前まで魔法の初歩を練習していたのに、凄い進化だよね。やっぱり実戦での経験は違うのね」


「そうですね。何回か死ぬ目に合いましたし……」


それにブラッドの影響で覚えれた分もあるしね


「ところでリレイさんは自宅に帰らなかったのですか?」


「帰らなかったよ。だって城が落ちれば大変だと思って、何かあった時に何も出来ないのは嫌だから。それに、ジンさんが帰って来るのも待ってたの。予想以上に早くてビックリしたけどね」


「頂いた能力が意外に移動にも使えたので楽に移動出来ましたので、物は考えようですね。お待たせする時間が少なくて良かったです」


「ジ、ジンさんだけ待ってたんじゃないですよ。一緒に行ったライラさんの事も心配だったんです」


『ブラッド、まさかだが神気出してないよな?』


『ん?融合してないから出てないんじゃない』


気の所為だろうな。まぁ、そんな事ある訳ないか……見た目はお父さんと娘だもんな


「そうですよね。でも、自分の帰りまで待ってて頂いただけでもありがたいです。とは言っても、まだ今回の窮地を脱してないので役割は終わってませんけど」


とりあえず、この戦争を乗り切らないとな……まだ本隊とも戦ってないから油断出来ないし、魔族の援軍までは耐えきらないと……


リレイさんと話している中、ドアがノックされる。入室許可の返事をするとライラが一礼をし、入って来る。


「ジンちょっと相談が……ってリレイさん!?いらっしゃたのですね」


「はい、失礼しています。相談事があるなら席を外しましょうか?」


「いや、そんな大事ではないので気にしないで下さい」


「それでなんだったんだ。相談って?」


「弟から聞いたんだけど、今日人間とやり合ったんでしょ?どんな感じだったか聞きたくて、最低でも明後日にはこっちに着くんでしょ?出来るだけの準備はしたいと思って抜けてきたんだ」


「俺が相手にしたのは冒険者達だったからあまり参考にはならないかもしれないけど、それで構わないか?」


明後日到着するのは本隊だろうから様子が違うだろう、隊列は整っているだろうし、今日みたいに各個撃破するって戦法は通じない。出来るとすれば力の差を見せて戦意を下げる様な事かな……

今日の戦闘の話をライラに聞かせ、最後に役に立つかどうか判らないと付け加えた。


「……って感じかな、とりあえずは個人の戦力差で追い払っただけだ。今からは国王や軍で陣形や作戦等は考えるんだろ?」


「そうなんだ。けどなかなか対応策が纏まらなくてね……」


「それじゃライトに聞いてみるといい。今、捕虜から情報を聞き出してるから、十分な対応策が出来ると思うぞ」


「うん、ジンありがとうね。弟のとこに行ってみるよ。リレイさんお邪魔しました」


ライラは嬉しそうな顔をしながら部屋から出て行った。


「なんか、ライラさんと親しそうでしたね……」


何故かリレイさんが膨れているんだけど、なんだ?


「話す感じが全く私と違うんですけど」


「ライラとは旅の途中で気を使って話すのを止めようって言って普通に会話する様にしたんです。かしこまって話をすると窮屈だと思いまして」


今、付き合ってるんですとは言えないからな……実際に気を使わないようにって言ったのも事実だし


「私だって、召喚された時からの仲なんですから、呼び捨てで構わないんですけど……」


『俺は何もしてないぞ、神気なんて出しちゃない』


ブラッドに聞く前に答えられた……深読みしないで言われた通りしておこう、これ以上期限を損ねても良い事はないし


「解りました。じゃあリレイって呼びますよ。俺もジンで構いませんので、ただ急に話し方変えろって言うのも無理なんで、敬語は続きますけど」


「それで構わないよ。じゃあジンよろしくね」


なんかおかしな事になってきた……戦争中に何の話しをしてるんだか


「じゃあ、俺は少し休みますね。何かあったら起こされるでしょうし、リレイも明日の為に早目に休んでおいたが良いですよ」


「うん、そうする。じゃあ、ジンまた明日ね。おやすみ~」


元気にドアから出て行った。機嫌を直してくれたのは良かったが、なんでこんな事になったんだろ……考えると寝れなくなりそうだから止めとこ、体を少しでも休めておかないと


少しの間の睡眠になるかと思ったが、何事もなく翌朝までグッスリいってしまうのだった。



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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