戦争の状況
「その質問の答えは、もう少し現状を整理しないと判りません。すぐに難しいですね」
「そうですね。ライトさんありがとうございました」
「これで聞きたい事は以上か?」
「はい、お陰で色々と疑問に終止符を打てました。が新たな疑問にぶつかりました。これは今すぐに出る答えではないでしょう……」
「なら、もう家に帰るといい。また攻めて来るなら、次は容赦なく殺してやる」
「もう攻める事はないでしょうが、ただ帰る訳にはいかなくなりました」
「じゃあどうする?死ぬか?」
「いえ、私達は一応ギルドの中でも上位の一団です。そのまま帰っても絶対戦争に参加する事になります。
だから、提案です。我々を捕虜として連れて行ってはくれませんか?」
「何の画策だ?お前ほど頭のキレるやつを捕虜にしとくのも危ない」
「お褒めの言葉として受け取っておきますよ。ですが、これはお願いです。このまま帰れば絶対にギルドや国も放っておいてくれません。そして、戦争に参加してあなたに殺されるのも嫌ですからね」
「だが俺はお前等を信用出来ない、が決めるのは俺じゃない」
「私ですか!?そんなぁ、責任が重たすぎます」
「大丈夫だ。責任は俺も一緒にとるから……ライト達の国の事だ。俺が口出す事じゃないからな」
「解りましたよ。ケインさん、条件があります」
「どうぞ、なんなりとお申し付け下さい」
「あなた達の情報を提供して頂きます。そして、それが合っていれば捕虜としての待遇を、違えば……言わなくても分かられますよね」
「解りました。その条件のみましょう、よろしくお願いします」
「全員の意思は聞かなくてもいいのか?」
1人問題児がいるからな、そいつに俺は来て欲しくない。出来れば戦場で相対して鬱憤を晴らしたい
「そうですね。一応聞いておきましょう、レインはどうですか?」
「兄様と行動を共にしたいです。お邪魔ではなければ付いて行きたいです」
「解りました。ではアガートはどうしますか?」
「俺はお前に付いていく……今までお前から受けた借りを返してないし、リーダーはお前だからな」
「そうですか、義理堅い事で……でもあなたのそんなところが気に入っているんですけどね。
では、3人でお伺いします。ライトさんよろしくお願いします」
「ケイン、私は?私はどうなるの?」
「連れて行く気はありませんよ。あなたはこれまで苦楽を共にしてきた仲間である事は間違いありませんが、先程の態度といい、あなたの考え方といい、私では対応しかねます。あなたの所為でレインやアガートの命を天秤にかける事は出来ません。大人しく帰りなさい」
冷静だな、これまで一緒に戦ってきた仲間だろうに……ただ、ケインの言う通りこいつの態度で他の仲間の命まで危ないと言うのならリーダーとしては当たり前の判断か……
「ごめんなさい、さっきの事は謝るし、もうあんな態度もとらないからお願い、一緒に連れて行って」
「リターナ、何度言えば解るんです?謝る相手が違うんです。あなたはお二人に対して悪いと思っていないと態度に出ているんですよ。
残念ながら無理です。これからの件についても考え方も違うあなたを連れて行く事は出来ません。これはあなたを含め仲間を危険に晒さない為に必要な事なんです。理解して下さい」
「ケインさん、リターナさんを連れて行く事も良いですよ」
「ライトさん何を?」
「私が思うに、リターナさんの様な方が1番我々種族に対して危険です。その方を返せば戦争自体がもっと死人を出す様な事に繋がるのではないかと思います。
捕まった仲間を助けて、また一団に戻りたいと言う一心で仲間を煽り、戦意を向上させる結果になると思いますので、そう言う意味での捕虜として扱います」
「そう言う事ですね、解りました。ライトさんに従います」
ライトの機転はあくまで種族の為で、っていう建前だ。実際はライトの優しさだろう……俺だったら無理だな
「リターナさん、そう言う事でいいですか?」
「ライトさんありがとうございます。この恩絶対報います」
「じゃあ城に向かうぞ、第二陣がいつ来るか判らないからな」
結局さっきいた全員で城に向かった……4人を牢に入れてから国王に一旦報告に向かう
「ジン、冒険者達を退けたと聞いたぞ素晴らしい働きだったな」
「いえ、数もそこそこだったのでなんとか対処出来ましたので、ただ、第二陣は隊列を組んで来るでしょうから、今度は今回の様にはいかなでしょう。
そこで捕虜を捕まえて来まして、捕虜から状況を聞き出しこれからの対応策を考えたいと思います」
「よかろう、その件は任せるとしよう。だが、指揮をとらねばならぬ為、報告を頼めるか?」
「解りました。この件はライトと一緒にやらせて頂いても構いませんか?」
「許可する。では頼んだぞ」
報告を完了し謁見の間を後にした……ケインに状況を確認し今後に備えるとしよう、とりあえず聞くだけ聞かないと魔族が到達するまで今日を入れて4日位か、なんとかもたせないとな……
とりあえず牢まで行き、ケインの元へライトと質問攻めを行う
聞いた結果でいくと、今日の冒険者達は第一陣と言うより様子見という役割の方が強かったらしい、その状況次第で明日以降の動向を決める感じだったのだろう、だから今日の進軍はわりかし強者で組んであったと言う。
だけど明日以降はあっちの戦略を組み込んで来る為、今日みたいな力を押しや奇襲が掛け辛いだろう、結局まともにぶつかるしかないのか……人数も少ない為劣勢を強いられるだろうな
相手の数は少なく見積もって8万位だと聞いた。
圧倒的に人手不足だ……こっちは多くみて1万、8倍の戦力差なんて敗戦の可能性が高いが、ケインからの情報と魔族の援軍を利用し対処していけばなんとかならない訳でもないないだろう……しかし最低でも後3日凌がなきゃならない、その3日が問題だ。
「ところで質問なんだが、ケイン達が俺と出会った位置までどの位かかったんだ?」
「そうですね……おおよそ一日位でしょう。森を抜けての進軍になりましたから、馬も使えず徒歩での移動になりましたから。大軍での移動であれば、もう少しかかるでしょう」
「もう既に本陣は移動を始めているのか?」
「まだでしょうね、我々冒険者の様子を見てからの進軍になる様でしたし、もし進軍していても逃げ帰った冒険者達が軍に着けば警戒しながらの進軍になるのでもう少し時間が掛かると思います」
「ライト、国王に言って遊撃隊を組んでもらって、奇襲をかけて相手の進軍を少しでも遅らせる事は出来ないか?」
「可能でしょう、時間稼ぎになるなら尚更ですかね」
とりあえず、現状少しでも相手の足を遅らせねば……後は国王や防衛軍に指示を仰ぐ様にしよう、俺はその場その場で対応出来るようにしておくとするか
「ライト、俺は先に部屋に帰ってるから、何か決まったら教えてくれ、若干疲れたしな。これからの為に少し休んでおくよ」
「解りました。私も一旦国王に報告して来ます。では、後程」
2人と別れ用意してくれている客間に移動する……城の中は思った前回よりも人が少ない、その分城外で警戒に当たっているのだろう。
部屋の前に移動すると見知った人が扉の前にいる……リレイだ。
「リレイさん、久しぶりですね。部屋の前でどうかされたのですか?」
「ジンさん…ようやく会えましたね、帰って来たと聞いていたのですが、なかなか会えなくて」
「すいません、帰ってすぐに対応に追われてしまっていまして……良かったら中で話しますか?しばらく時間はあると思いますので」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」
作戦が決まるまで時間はあるだろうから、もう少し話すのは大丈夫だろう……
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