見解
ライトを連れてあの連中の所へ向かう……ライトに説明したら一応引き受けてくれた。罠の可能性もあるのは説明し、その際は絶対護るとも約束した。
さっきのグループは同じ場所に居て待っていた。
「待たせたな、説明するのが面倒だし、直接聞いた方が良いだろうと思い、連れと一緒に来た」
「ありがとうございます。では、もう1人いますので呼びますね。
レイン出ておいで」
後ろから魔法使いの女の子が出てくる。まだ若い、10代である事は間違いないだろう……
「こちらの人員はこれで全てです。確認されたいのであれば、索敵して頂いて結構ですよ」
「いや、問題ない。何かあってもすぐに殺せるから」
盾を持っていた男が身構える……
そんなに身構えてもらっても無駄だよ。何かあったら融合で対処するから、解らぬまま死ねるさ
「アガート……こちらは戦闘の意思はありません。先ずは武器を下ろします」
アガートは盾と剣を、リターナはレイピアを、レインは杖を、ケインは弓を置いた。
「これで約束通り武器は持ちません。それでは話しをしても?」
『ブラッド、すまないが警戒を頼む』
『ははっ…用心深いこった。だが、頼まれたならしょうがない。任せな』
「じゃあ、こっちも紹介する人物がいる。ライト来てくれ」
物陰に隠れていたライトを呼び出し話しの場へ
「今、紹介がありましたライトと申します。この場へはジン殿に借りがある故、参加する事になりました」
「ありがとうございます。私はケイン、そして赤い鎧を着たのがアガート、その横の白い鎧を来た女性がリターナ、後ろの魔法使いが私の妹のレインです。この度は来て頂き感謝しています」
「では、始めてくれ」
「はい、私が先ずあなた…いえ、ジンさんから聞いた話しで合点がいった事がありましたので、正確に確認したかったので質問させて欲しかったのです。
それは、ギルドの依頼内容の書き出しでした。ずっと疑問で…一貫して襲って来たなどの書き出しではなく、とある場所に魔族が出たとの事で依頼があるのです。しかも、場所は人間の領土ではなく魔族領でです。こういった内容の物がいくつか存在します。それに、凶暴な魔獣が出たと言う内容も同じで、人間の元々の生活圏ではない場所です」
やっぱりギルドの依頼内容は俺が考えている事で間違いなかったな、ギルド自体と言うより、それを依頼している者が画策しているんだ。
「つまりは、先程ジンさんが言われた。我々が蜂の巣をつついてるからこういった依頼があるのだと思ったのです」
「それで間違いないと思うぞ、今回の依頼も同じだろう……悪さをしているダークエルフじゃなく、ダークエルフが危険だと思うで始まった依頼じゃないか?しかも金払いの良い案件として冒険者を集っている」
「そうですね。この依頼内容はそれでほぼ正解です。やっぱりと言ったところですかね、誰かが画策しているのは間違いないと言う事ですか」
「随分と物分りがいいもんだな。他の2人みたいに疑ってかからないのか?」
「私自身が神なんて信じませんから、生きるのに必要なのは自身の努力だと思っていますからね」
「ジン殿発言してもいいですか?」
ライトが発言を求めて来た。そもそもライトには全ての説明を任せるつもりだったから問題ない。
俺はライトの一言に頷いて返した。
「ありがとうございます。あなた方人間はエルフの進言によって我々と戦う事になっているのですよね?」
「はい、依頼内容はそれで間違いありません。それがどうかされましたか?」
「エルフの進言自体本当にあったのですか?」
何を言ってるんだ?俺が前に聞いた内容でもそんな事を話していた気がするんだが?
「私が思っているのは、エルフからの進言なんて聞いてもらえない様な気がするんです。だってあるスジからの情報だと、エルフ自体にはギリギリ人権がありますが、1部階級だけのものだと。
それは昔、神の使い手の取り巻きの方の妻がエルフで、それのお陰で人間とのハーフエルフが人権を持つ事が出来たと聞いています。その所為で純血のエルフには人権がない。そして、私達ダークエルフを忌み嫌っているのは純血のエルフ達です。その方々の所為で我々は離れたのですから……」
なるほどな。それが本当なら、この戦争自体が人間の都合で起こしている戦争と言うことになる。
「ライトさん、確かに人権はハーフエルフの方のみ持たれているのは間違いありません。これはギルドの依頼から、今回の戦争まで全て人間が仕組んだと言う事になりますね」
「でも元はと言えば、昔人間を襲っていた他の種族が悪いんでしょ?
今やっている事はそれが原因じゃないの」
「リターナさん、もう少し考えて下さい。今、話していた内容を当てはめれば、人間が都合よく人間を操っているって事ですよ。
貴方が信心深い方なのは知っていますが、少しは疑うべきです」
「お前みたいな奴は恰好の的だろうな……昔からの教えを疑わない、と言うか疑わせないように辻褄を合せて創ってあるだろうけどな」
「私達は騙されている可能性があると言う事です……残念ながら同族に」
「そんな事はありえないわ、神が残した物に嘘なんかある訳ないじゃない。そもそも、そいつの言う事に何の真実味はないわ」
だいぶイラッときたな……どんだけ馬鹿なんだ。
「リターナ、ダークエルフ達を知らずただ攻めていた。もしかすると、戦争していたかもしれない相手なのに、これだけ対応してもらっているのにその態度……僕が殺すぞ」
その場の空気が一瞬にして変わる……大人しそうな顔してるのにこの圧力…凄いな、人は見かけによらないって事だ
「ケイン、すまない。俺から謝るから許してくれ」
「あなたが謝って済む問題じゃないんですよアガート。リターナ、謝罪はありますか?」
「あ……あぁ、ごめんなさいケイン」
「私に謝ってどうにかなると?私は失礼をした相手に謝るのがスジだと思いますが?」
「もういいぞ、ここで謝っても考え方を変える様な人間じゃないだろ?
今の人間達は全てが同じ状況にあると思う、誰かに知らず知らずの内に操られる。こいつもそうだったと言うまでだ」
「申し訳ありません。仲間の無礼を許して下さってありがとうございます。
ただ、もうひとつ聞きたい事があります。ライトさん良いですか?」
「どうぞ、私が答えられる事なら」
「ありがとうございます。失礼を覚悟で聞きます。答えにくい質問かもしれませんが……ダークエルフ、もしくは魔族の方で人間と通じている可能性がある方か、もしくはその事で利益を得る事が出来そうな方をご存知ですか?」
なるほどな、今の戦争がエルフからの依頼でない以上、人間だけではなく魔族かダークエルフが絡む可能性があるかもしれないと言う事か……
確かに見方次第で誰が黒幕か判らないな、しかしこいつは賢いな……判断力と言い、さっきの圧力と言い、このグループの中では飛び抜けてるぞ……
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