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昼ドラの夜

『全く聞いてないんだよ。俺はとりあえずお前さんが危険になったら助けてくれって言われただけでな、誰かが一緒だとも知らなかったんだ。あの時にお前さんを外から初めて見て、もうひとつ指輪が架かっている事に気付いたんだからな。

どんなやつがそこに居るかなんて全く知らんぞ、それに俺は指輪の管理者じゃなかったしな』


『そうか、でもコイツは何故あの時俺に声を掛けてくれなかったのか気になるな……お前と一緒でヒュージから助けを頼まれてるんじゃないのか?』


『どうだかな……仮にそうだったとしたら、ヒュージとの約束を反故にしてお前さんに協力する気は皆無なのかもしれないぞ……それか力の関係上指輪の効力が弱まったが、俺よりも力が弱かった故にまだ出て来れなかったかだな。

なんにせよ気を付けておくこったな』


『解った。注意しておくさ、容易に指輪をはめる事はしないようにしておくし、これ以上頭の中に人が入って来るのも勘弁だしな』


『ははっ…確かにな、俺もお前さんとだけの会話で充分だ。

ところで急がないとノゾキに間に合わないぞ』


『お前はまだ諦めてなかったのかよ。全く呆れたやつだ』


そうこうしてる内に小屋にライラが戻って来た。


『なんてこった、俺の野望が、夢がひとつ終わってしまったじゃないか……』


『残念だったな、そんな野望や夢は無くなった方が世の為だ』


「お先に失礼したよ。ジンの言う通り、良い湯だった。お風呂場もくつろげて良かった」


お風呂上がりの女性ってこんなにも色っぽいのか……嫁の風呂上がりの姿を見てはいるけど、見慣れてるから何にも思わないだけなのか?

逆に今までライラを見ていてこんな姿を初めて見るからそう思うのか?


『お前だって十分変態だぞ』


『うるさい、お前と一緒にするなって』


「あんまり見られると恥ずかしいよ……」


ドキッとした……俺が見つめていた事がバレたのもあるが、ライラの言った一言とその時の仕草にだ。

ライラは斜め下を見て照れながら、言ったのがオジさんのストライクゾーンに入ってしまった……初々しいのが特にヤバかった。

ここに居てはマズい、俺が崩落してしまう


「いやぁ、ライラが綺麗だなって思ってな。綺麗な物には目がいって当然だろ?じゃあ俺も風呂に行って来るよ。先に寝てても良いからな」


冗談っぽく言ってその場を逃げ出す。まぁヤバい、そこそこ襲いかかりそうだぞ……とりあえずは風呂でリセットせねば


風呂に着いてゆっくり湯船に浸かっているが、頭の中はさっきのライラの姿とセリフを思い返してしまって全くリラックス出来なかった。

今日は早く寝て忘れてしまおう……


風呂から上がり、部屋に戻るとライラが俯いていた。

何かあったのか?それとも俺がジロジロ見ていたのを気にしているのか?


「必死で造った甲斐あって、良い風呂だったよ」


ライラはゆっくりとこっちを見るのが、何かを悩んでいる様な表情だ


「どうかしたか?もしかして、さっき俺がジロジロと見ていたのが嫌だったのか?そうだったら謝るよ。ごめんな…」


「違うんだ。そうじゃない……けど」


「何か悩みだったら聞くぞ、一緒に旅をした仲だ。気にせず言ってくれよ」


ライラは何かを言いかけそうになっては止めた…

気まずいな……でも、これ以上突っ込んで聞くのは無粋だろう。ライラが言えるタイミングまで待つか


チラっとこっちを見るが、また下を向いて悩んでいる。


『ははっ…黙って見てたが面白い状況じゃないか』


『なにがだよ。ライラは何かを必死で悩んでるんだぞ』


『その何かが解らないのか?お前さんはどんな頭してんだ?』


「ジン……モヤモヤしてこれからの事に集中出来なくなるから言うね」


『ははっ…しっかり聞いとけよ。女の気持ちが解らない野郎』


なんだってんだよ……ってまさか、昨日言ってた神気に当てられてってやつか!?そんなんで本当にそんな事が起こる訳が……


「出会って数日でこんな事を言うのは軽いと思われるかもしれないけど」


そんな訳が……


「ジンの事が好きなんだ……」


起こったよ……まさかの事態だ……


『ははっ…言った通りだったろ、俺は先に寝るから気にせず楽しんでくれ』


お前との共存で起こった事態なのに逃げやがった。


「でも俺は召喚理由が終わったら帰るんだぞ」


「その事ずっと考えてた……でも解ったの、私達には今があるじゃない。未来に貴方は居ないかもしれない、だからこそ私は貴方の今が欲しいの」


最初はただの同行者だったが、悲しんだり、心配したり、嫉妬したり、驚いたり、怒ったり、喜んだり、悩んだり、全て彼女は俺に隠すことなく見せていた。

彼女は包み隠さず真っ直ぐに向けていた。それが彼女自身だからだ。

だから今回も真っ直ぐに気持ちをぶつけて来てくれた。ただ、融合により与えられた気持ちだとしてもだ。

どうして好きなのかを聞くような無粋な真似はしたくない、彼女の出した結果は告白なのだから……

これに答えて傷付くのは彼女自身だ。どっちの結果にしてもだ。それなら俺は……


「正直に言わなければいけない事があって、俺は向こうの世界で結婚して子供もいる」


「結婚してるのは知ってる。だって薬指に指輪してるんだもの、こっちの世界も結婚した人は薬指に指輪をはめるの。

だから言ったんだよ。貴方の今が欲しいんだって……」


もう昼ドラ一直線だな……主婦がせんべい食べながらワクワクしてるシーンだよ……いや、今なら韓流ドラマかな。

俺の帰りを心配して待っている家族に申し訳ないが、今の間だけは違う人を幸せにする努力をする。今の間だけだ……帰って絶対償うから……


「ライラ……俺自身が君に与えられるのは結果的に幸せかどうかは判らないが、《今》の君に応えるよ」


「ジン……ありがとう」


ライラは俺に近寄り抱き唇を重ねた。罪悪感がこみ上げる中、《今》のライラの為に抱き締めた……




お読みいただきありがとうございます。

ご意見、ご感想お待ちしています。(今回は特に不倫現場みたいになったので…)


後、1話と2話の会話を少し変更しました。(特にヒュージ部分)


次回もよろしくお願い致します。

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