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手間のかかる風呂と夕食

翌朝非常に疲れていた……蛇王との戦闘の事もあったが、それ以上にライラの件で気を遣った……

でも、それはそれとして早く戻らないといけない


顔を洗う為に水魔法を使う、夜露のついた草から水を拝借して増幅した。


「スッキリしたぁ、さてと1日今日も頑張りますか」


『独り言がデカイぞ……お前さんが起きてても俺は寝てるんだからな』


『あぁ、そうですか…それはすいませんでした。どうぞごゆっくりおやすみ下さいませ』


昨日の今日で馴れない頭の中の会話だ……急に普通に話しそうになるから怖いな


「おはよう、ジン」


「あぁ、おはよう。俺の声で起こしてしまったかな?」


「いいの、今日は遅れた分も取り戻さなきゃいけないから早く準備しなきゃいけないからね」


昨日の一件以来ライラの話し方や、仕草が可愛く思ってしまう。恋する女性は綺麗になるとはこの事かな?


『朝っぱらからキュンキュンしてんじゃねえぞ、こちとらまだ眠いんだからな』


『うっさい、ちょっと良いなぁって思っただけだ』


「どうしたの?」


「いや、何でもないよ。早く準備を進めるとするよ」


二つの会話は疲れる……出来るだけ避けよう


準備も完了し、今日は腕輪の効力を使い走って行く。急げば今日中に洞窟は抜けれるだろう

ライラを背中に担ぎ走って行く、昨日みたいにあんなのが現れ無い事を祈っているが、万が一の場合に備えライラに警戒してもらう

魔獣の出現は無く、昼過ぎにはすんなり洞窟にたどり着けた。


「こっからは前回と同じく徒歩だな、出来るだけ近距離を保ちながら前へ進もう」


ライラは頷き、俺の右側を歩く。でも、つい四日前に通ったばっかりで魔獣は居ないと思うけど、何事にも万全な状態で行きたいから気を引き締めた。



洞窟に入って暫くすると、第一魔獣発見……てか居るんだ、どんだけここが好きなんだよ……


魔獣はトカゲみたいなやつだ。確かリザードマンとか言ったかな、昨日の蛇王を見てるから迫力に欠けるな。


相手も気付いたらしく走って来る。距離はあるから、魔法で一撃をかますか……と思った矢先ブーメランの様な物を投げつけて来る。

飛んで来るブーメランのスピード自体は早くないからショーテルを手に持ち叩き落とす。


相手は7~9匹くらいかな、強さは解らないから最初から思いっ切りいくかな。ショーテルに魔法を通し風を纏わせる、それを増幅し横に斬りつけ斬撃も飛ばす。

1体はショーテル自体に斬らせ、追加3匹を風の魔法剣で斬って斬撃を飛ばす。防御力もそんなになかったみたいで一気に切れていった。


横のライラは一昨日契約した闇の精霊を召喚して魔法を発動、相手の影を拘束し反撃の出来ないままサーベルで斬りつけて行く。


じゃあ俺の新しい魔法の練習になってもらおうかな、先ずはショーテルの鞘に刃を当てて火花を散らす。その火花を媒体として火の魔法剣が完成、その温度を上げていき剣先へ集中し、息で風魔法を発動し集中した中へ、それをなるべく小さく纏める。

ブラッド程の威力まではいかないだろうけど、これで爆破魔法剣の完成。


これでワザとリザードマンの鎧に攻撃、当たった直後纏めた魔法を相手に置いてきて離れる。

十分な距離が出来たら発動……一気に爆発させると近くにいたリザードマンも巻き込み纏めて討伐完了だ。


『ははっ…威力はまだまだだが、即席にしちゃあ上手くいったな』


『イメージは出来てたからな、とりあえず実戦で使えるのは確認出来たな』


奥からまだまだの魔獣の数が押し寄せるが、2人で余裕を持って撃破出来た。そうこうしてる内に洞窟脱出完了した。

前回よりはかなり早くなった、洞窟を抜けるのに約2時間位だ。

前回よりは魔獣の数は多いが戦闘に馴れたのと色々と教えてもらったからな


「今から急げば城には夜までには着きそうだけど、小屋で休憩して行くか?戦ったから少しは疲れただろうし」


時間的に急げばギリギリって感じだが、戦闘でのライラの疲弊具合いも気になるところだ。道中でまだ魔獣が現れる可能性は高いし、暗くなってからの出現率は前回で思い知ったからだ。


「そうね、良かったら今日は小屋で休んで行きたいかな、それにここから見る分でも町に何か起こっている様子も無いしね」


確かにまだ戦争が始まっているような感じは見受けられない、ライラはちょっと疲れてるみたいだから休む事にするか……


「じゃあ、小屋で休んで明日の朝から向かうとしよう。小屋に着くまではもう少し警戒が必要になるから、ライラは背中で周りの注意をお願いな」


小屋に向かい山道を下る。坂道は腕輪の力を使って走ると、以外に疲れる事が解った。ドンドン速度が上がり、スピードを落とす為に力を入れなきゃいけなかったからだ。

真っ直ぐな山道ではない為、ぶつかったり、転倒しないように気を付けるのも大変だった。


そうこうしてる内に小屋までたどり着く事が出来た。まだ周りは明るい、思ってたよりも近かった。


「少し早く着いたな、今日は戦闘で汗かいたし、昨日は風呂も入れなかったから、風呂の準備をしてくるよ」


「じゃあ私は夕食の準備をしておくわ、お風呂お願いね」


頷き裏に回り、ここで魔法を使って浴室と浴槽を準備する。

時間もあるし、単純な壁と風呂じゃあ面白くないな。戻る途中山道の近くにそう言えば林があったな、それをちょいと頂いて来よう。


林まで行き20本ほど木をショーテルに風魔法を纏わせ切り倒す。持ち上げて持って行くのも可能だけど、風魔法を利用して木を浮かせながら持って行く。これはこれで良い練習になるな、浮かせる為に魔力の操作をバランスよく行わないと落としてしまうからだ。


小屋に到着して基礎部分の工事開始、次に木造部分の組み立て、重要な柱の下には石に穴を開け挿して固定。

木で床、壁、屋根と完成し、一旦休憩を挟み浴室と浴槽部分を造作し完了。

屋根からの雨漏り防止の為に土を盛り板を下から順に重ねて完成。

明かりも必要だから、松明をセット出来るとこ脱衣場と浴室に造る。

最後に引き戸でドアを造れば立派なお風呂の完成っと、えらく気合い入れて造ってしまったな……


料理が終わったライラも出て来てビックリしていた。しかし、魔力の残量はほぼ無くなった……


「疲れたでしょうから、先にご飯にしない?」


「そうしよう、魔力を少し回復させてからお風呂にしたいしな」


部屋で見た夕食は大層な量で俺もビックリしていた。

俺がお風呂場を完成させている間ずっと料理してたのか…確かに日程的にまだまだかかる予定だったから食材は余っていたのだろうけど凄い量だ。


「ちょっと食材がいっぱいあったから作り過ぎちゃって……外で頑張ってるの見てたから、私も頑張って作らなきゃと思ってたらこんなになっちゃった」


「いやぁ、お腹空いてたから全然いけるよ。じゃあ頂こうか」


いやいや……居酒屋で食べたくて頼んだらテーブルいっぱいになって、置く場所無くなっちゃった程度の量じゃないけど……

でも、ライラが頑張って作ってくれたんだ。こっちも感謝して頂かなくては失礼だ。



―――――――――――――――――――――――


平らげてやったぞ……食い過ぎて、胃袋がどこにあるのか一目瞭然だ。若手力士の晩御飯並に食べたぞ


もう食えないが、風呂の準備をしなければ……


「じゃあお風呂の準備をしてくるから待っててな」


「大丈夫?お腹が破裂しそうだけど、そんなに急がなくて良いよ。私もお腹いっぱいで動けないから」


「でも、ちょっと時間かかるかもしれないから、先にやっとくよ」


パンパンのお腹を擦りながら小屋を後にした。


お風呂場に入り予め用意していた石を、松明の火を媒介にして火魔法を発動し熱していく。

いい感じに熱くなった石をお風呂に入れて温める。

一個入れる度にジュっという音を立てて浴槽の中で、水をお湯に変えていく……


「そろそろ良い湯加減かな?」


手を入れて混ぜ合わせると、しっかりとお湯になっていた。そこまで確認すると、小屋に戻りもう少し休む事にした。


「ただいま、お風呂は良い湯加減だよ。入るならいつでも大丈夫」


「せっかく沸かしてくれたみたいだから、ならお先に失礼しようかな」


木製の桶を渡し、ライラは小屋から出て行った。


『ははっ…ノゾキに行くチャンスだな』


コイツ……久しぶりに喋ったらこれか……


『行かねぇよ。そんな小中学生じゃあるまいし、俺は良識ある大人だ』


『なんだよ……俺は見たいんだよ。永らく指輪に封印されてご無沙汰なんだから、ちょっとぐらい良いじゃないか』


『スマンがお腹いっぱいで動けんし、見付かってサーベルで攻撃されたら、お腹切られて中身が飛び出すぞ』


『ちくしょうめ、少しはスケベ心出せよ』


『もう話し変えるぞ、お前はなんで指輪に封印されてたんだ?』


『封印されてたんじゃなくて、正確には封印してもらったんだ……とあるやつに殺されかけてな』


『殺されかけたって穏やかじゃないな、お前ほどの力があって勝てないやつがいるんだな』


『そうだな…力では俺が上かもしれんが、裏切られて背後からバッサリって感じだ。それで、生き延びる為に封じてもらったって訳だ』


『天に仕える者同士で殺し合うなんて、世も末だな……地上の人が聞いたら世紀末とか叫びそうだ』


『まぁな…指輪に封じてもらった後、ヒュージから聞いた話では、そいつは自殺したらしい』


『もしかして、指輪をはめたってヤツか?』


『なんだよ聞いてんのか……その通り指輪をはめた後に死んだそうだ。

指輪には色んなやつが封印してあってさ、はめれば今のお前さんと一緒で共存する事になる。その事に例外はなく、そこにまだぶら下がっている指輪の中にも居るぞ。誰かは知らんがな』


『なに……もう1人居るのか?でも、お前はヒュージが用意してくれてチェーンに居たんだよな?もう1人の事は全く聞いてないのか?』


ヤバい、お腹いっぱいで何も考えたくないから、サラッと話題変えたらえらいな事言い始めやがったぞ……



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見、ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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