蛇の王
眠い……昨日は魔法書を遅くまで読んでいたし、自業自得と言ったところか
朝早くから朝食で起こされ、朦朧とした中でご飯を食べた。ライラから急いで準備してねって言われたが作業がはかどらない
「もう準備は終わったの?こっちは終わったよ。
早く行かないとどこで野宿になるかわかんないよ」
とりあえず闇魔法で道具は入れ終わったかな……忘れものはないな
「じゃあ行こうか、今日も馬車の様に走るとするか」
サンドラ様とギリクさんに挨拶を終わらせて来なくちゃな、大分色んな事教えてくれたし、数少ない魔法書まで貸してくれたしな
「サンドラ様、ギリクさん色々とありがとうございます。向こうで待ってますね、それまで魔法書はしっかり読んでおきます」
「そうね、期待しておくわ。次は多少本気で相手させてね」
「ほっほっほ、本気で戦える様にとは手厳しいですな、ジン殿はこれから大変ですな。
じゃが、ワシもその時は期待しておるぞい」
「では、ダークエルフ領でお待ちしていますね。サンドラ様とギリクさん、精霊契約までして頂いてありがとうございます」
「ではまた……」
腕輪の効力を使い、ライラを背に乗せ走り出す。
帰りも効力のお陰で早いものだ……
そう言えば魔族領で魔獣に襲われる事がないな、やっぱり魔獣と魔族は不仲ではないのかな?
人間達が領土獲得の為に魔獣を追いやったりして襲われる様になったとかで凶暴化してるのか?
まあ襲われないならそれはそれで良いかな……
思いと反して1体の魔獣が近付いてる?
なんだあの魔獣は……蛇なのか?
体長は50m程だ、大蛇と言ってもいいだろう…けどデカすぎやしないか?
「なあライラ、あれってやばいヤツなのか?
結構な大きさだと思うんだが……」
ライラからの返事がない…顔を見てみると口が開いたままで驚いている。そんなヤバイんだ……
「あれは蛇王……なんでこんなとこに?
あれはこの世界で四大魔獣と言われるもので、記録でしか残ってない伝説の魔獣よ。
絶対止まらないで、止まったら殺されるわ」
どこから湧いて出てきた?そんな隠れて居られる様な場所も無いし、どうやって現れたんだ……
クソっ止まれば死ぬってどんな魔獣だよ。
こっちと並走してやがる、逃げれないのか?こっち見てやがるぞ……
スピード的には時速60km位は出てんのに、余裕っぽいな、これ以上速度を上げればライラが危うい
蛇王が威嚇してくる……圧力だけでもハンパないのにドンドン近付いて来るぞ、どうする?このままじゃ近付かれて終わるぞ……
「ライラ、もっと早くするぞ!!
このままじゃ追い付かれる、しっかり捕まっててくれよ」
速度を少しづつ上げる……距離は詰まって来ない、これだけのスピードだったら付いて来れないか?
なら、このまま逃げ切るぞ……
いや待て何かイヤな予感がする、蛇王が口を開けている…
体全身から最大級の警報鳴らしている、ヤバイヤバイヤバイヤバイ……
口の奥が光っているぞ、何をする?ビームでも出てくんのか?開けた口のサイズで家1個分丸呑み出来るぞ……そんなサイズのレーザーって絶対避けれないよな、しかも四大魔獣の攻撃だ……
「死ぬわ……もう無理よ」
ライラの顔には絶望しかない……
走っていても避けれないのなら……後ろから攻撃を喰らうだけなら……正面から受けてやる。
「ライラ、俺の後ろに回ってろ。正面で受ける!!
後ろから狙われて死ぬのを待つくらいなら、少しでも抵抗してやる!!」
腕輪の防御力上昇と土属性魔法で壁を造る。
これで少しは守れるか?死なないくらいは出来たか?
壁で相手の顔見えないが、壁を築いた直後空気が震える……口から発射されたのか?
直後壁に衝撃、壁はドンドン崩されていく……マズイマズイマズイ、壁を魔法で再構築しないと
再構築が間に合わない、そんな物で防げる威力じゃない、もったのは3秒位か……壁の向こうから光が突っ込んで来る。
腕を交差して頭を下げて頭への直撃を防ぐ、腕輪の効力で防御力を上げて後ろに居るライラも守る。
腕に直接当たる、ガードを施しているが全身にダメージを受けていく。
全くガードの意味はないぞこれ、全身が焼け付く様な痛みだ……しかも、衝撃で後方に飛ばされそうになる、が後ろにはライラが居る。
ここからは絶対に動いてはいけない、ライラは守る、守るんだ。
いつになったら止むんだ。もう意識が持たない……いやまだ方法はある。チェーンの効力でダメージ受けている部分を癒していけば、まだもう少しは持つはず。
腕輪の効力にチェーンの効力を追加してガードを……いやガードじゃなく、壁になって時間を稼ぐだけか…
体が悲鳴をあげる…チェーンの力を全開にしてるが回復が追い付かない、腕が溶解していく……が攻撃は終わらない
チェーンの光が弱まっている?どんどん力が無くなる……無理か…ここで終わるのか……
…………ざまぁないな…………お前は……こんなもんかよ………………
「誰だ…………?」
今回もお読みいただきありがとうございます。
今回でようやく30話達成です。
まだまだこれからです。頑張っていくので応援よろしくお願い致します。
では、次回もよろしくお願い致します。