森
「ところで小人族のとこまで遠いんですか?」
「現在居る場所次第じゃな、近ければ半日あれば着くぞ」
「遠い場所だったら?」
「最低3日じゃな」
3日だったら間に合わないよ!
半日で着く所に居て下さい……
「解りました。
とりあえず出発予定は明日の早朝を予定してますけど大丈夫ですか?」
「問題ないぞい、準備などすぐに終わるからの」
「では明日の朝に入り口で待ち合わせと言う事で」
お爺さんと別れて食堂へ向かいみんなと合流した。
とりあえず、お爺さんとの話しの流れで待ち合わせ等の決まり事だけを話した。
どこまでを秘密にすればいいのかも判らなかったから、それ以上の発言は出来るだけ避ける様にした。
その日は夕食を済ませ明日の集合時間も早い為、各自部屋へと入り休んだ……
翌朝、入り口にみんな集まり全員揃ったところで出発する。
執事さんが入り口に来てくれて、早い時間にも関わらず移動中にと食事を渡してくれた。
何から何まで準備してくれて、本当に申し訳ない……
ウィリアム様の自宅を出発してしばらく経った時に、お爺さんから村に寄って欲しいと言われ、彼等の村に立ち寄る事になった。
村に着くなり、急いでお爺さんは自宅に戻る。
周囲の警戒をしながらお爺さんを待っていた……だけど、なかなかお爺さんが戻ってこない。
みんなも気になりだした様だ……
「お爺さん遅いわね……」
「前に来たから知ってるけど、中の階段は急だったからね。
移動するのにも時間が掛かってるんじゃないかな」
「僕がとりあえず見て来ようか?
待ってても不安がつのるだけだし」
「それじゃあお願いするよ。
自分達は外で待ってるからさ」
みんなを残して中に入ろうとすると、お爺さんが村の入り口から姿を現した。
「待たせてすまんかったな……ちょっと確認しなければならん事があったでの」
「それで、確認は出来ました?」
「うむ、確認は出来たのじゃが……」
「何かマズい事でもあったんです?」
「ワシらが出て行った後に、小人族の者が村を訪れておったようでの、もしかすると既に近くの居住区から移動しておるかもしれんのだ」
「つまり、今追いつけなかったら探すのにそうとうな時間が掛かってしまうって事ですよねぇ……」
「ワシの家に置いておいた手紙と品物が無くなってから間違いなかろう。
用事を済ませて出発しておる可能性は高い……急いで追いつかねばならぬ」
流石に3日の所だったらマズい……早く出発しないと。
「では出発を再開しましょう。
今なら追い付く事も出来るかもしれません……急いで出発しましょう」
慌てて馬車に乗り込み移動を再開する……
しばらく森の中を進む、小人族が居る場所を知っているお爺さんが道案内をしてくれる。
しばらく進んだところでお爺さんが馬車を止める様に言ってきた。
「ここからは歩きになる。
キャメロ君とワシで進むから、残りの者は待っておいてくれ」
シュートとトールがきょとんとした顔をして話し掛ける。
「自分達は行っていけないんですか?」
「彼等の住処を皆に教える訳にはいかんのじゃ……そんなには掛からぬから待っておれ」
「僕1人だけなの?
居住区にはみんなで行けると思ってたんだけど……」
「昨日の話し通りじゃ、情報を少しでも漏らしたくないのを話したろう。
それは、昨日で理解してくれたと思っておったんじゃがな……
じゃがこれは絶対条件じゃ、目的を果たすのであれば守るのじゃ」
「ごめんみんな、ここで待ってて下さい。
お爺さんの言う通りに2人で行ってきます。
警戒されて入れませんでしたじゃ済まないからさ」
「解った……では自分達で馬車を守っておこう。
気にせずにキャメロは行ってきて」
「シュートありがとう。
じゃあ、行ってくるから待っててね」
お爺さんと二人で森の深くに入って行く……お爺さんは昨日勝手に僕が心配していた速さではなく、意外と速く進んでくれている。
奥に進むにつれて周りが暗くなっている気がする。
周囲が見えずらくなった時に、魔力探知の練習をしとかなきゃと思って行ってみると、数体の魔力反応がある……
「お爺さん……何か居ますよ」
「暗い中よく見えるのぉ……ワシにはさっぱり」
お爺さんが話していたその時、物音が聴こえる……物音がした方向は魔力探知で反応があった場所だ。
「やっぱり居ます……間違いありません。
だけど、そこそこ大きいですね」
「大きい……マズいぞ、虫の巣に近づいてしまったのかもしれん!
引き返すのじゃ」
そうお爺さんが言った時に、数体の魔力反応が倍以上に膨れ上がる。
「逃げ切れる数じゃなさそうです……少し開けた場所はないですか?」
「案内する。
付いてくるんじゃ!」
まだ距離はあるけれど、反応はこっちに向かって動いて来ている。
こんな木々に覆われた場所で戦えば、確実に負傷してしまう。
早く移動しないと……
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