この歳での異世界召喚は辛い その2
初投稿作品になります。
皆様に楽しんで頂ける様な作品になれば良いなと思ってます。
「ちなみに呼び出された理由ってなんです?」
「それは召喚された方から詳しくは説明があるとはおもいますが、概ね危機に瀕した国を救って欲しいと言った感じですね」
それってまさかとは思うが、何かと戦ったりするハメになるのでは?
「もしかしてですが、モンスターなんかと戦ったりするんですか?」
「そうですね。そう言う事で間違いはないかと思います」
あっさり回答されたが、生まれてこの方戦いとは無縁の生活を送っている訳で、いきなり呼び付けられて戦ってくれって、そんな無茶な…
「そういった経験は全くと言ってないんですが」
「召喚された勇者様はあちらの世界に行く時に加護を与えられます。
修練を積めば最も強い存在になる事も可能ですよ」
「間違って召喚された人にも同等の事があります?」
「あっ…」
あっ…て言ったぞ
召喚された勇者に説明する為のマニュアル的なコメントだったんだろう。
手違いで召喚された俺には関係ない感じの話しになってしまったんだが…
「とりあえず行っても普通の村人が、モンスターに立ち向かう様な事になる訳ですよね?」
「そうなってしまいます…」
無慈悲な事で…
生還率の限りなく低い世界へ向かい、健闘虚しく命を散らすって事になる可能性大だよな。
ただ、置き去りにしている息子の事も心配だが、家族に2度と会えなくなるなんて勘弁だ。厄年だからってこんな仕打ちはないだろうよ。
だけど、黙って殺されて堪るか、なんとか駄々こねてでも生還する為の何かをもらわねば…
「ただただ殺されに行くわけにはいきません。
向こうの世界で生き延びる為の何か頂けませんか?
勇者に与えられる加護とまでは言いませんので」
「私だけではお答え出来ませんので
少々お時間を頂いても構いませんか?」
「解りました。
待っています。」
彼女が建物の外に向かって歩いて行った。
これで少しでも良い結果が出れば良いのだが……
―――――――――――――――――――――――――――――――
20分程待っただろうか
建物の外から2人でこちらに向かって歩いて来たのが見えた。
1人は彼女だが、もう1人は高齢の男性で衣服は彼女同じ感じの古代ローマ的なやつで、立派な髭を蓄えていて威圧感のある風貌だ。
「お待たせ致しました。こちらの管理者でいらっしゃるヒュージ様です」
「マシュリーから話しはひと通りお聞きした。今回はこちらの不手際で大変申し訳ない」
彼女の名前はマシュリーって言うんだ。
現状把握する事で精一杯になってて名前すら聞いていなかった。
「新垣 仁と申します。ヒュージさん御足労ありがとうございます」
「いやいや、今回の件はこちら側に全て非がある。面と向かって話しをせねば不誠実極まりない。して、あなたの要望なのだが」
「はい、この様な状況で何もなく、モンスターにただ殺されに行くような事は避けたいんです。
帰らなければいけない所もあります。生きて帰る為の何かを頂けないでしょうか?」
物乞いしてるのと変わらんな……言い方変えればカツアゲか……
「あなたの要望は当然の事だ。では、これを受け取って下さい」
ヒュージさんから袋を手渡された。麻袋で何か中でジャラジャラいっている。
「開けて確かめても?」
「構いません」
中を開けたら金色の腕輪と銀色の首飾りが入っていた。
腕輪はシンプルな丸みを帯びた幅4cm程のものが一対になっていて
首飾りはチェーンに指輪の様なものが2つ通してある。
「この腕輪と首飾りはどう言った効力があるんですか?」
さすがにただの装飾品ではないだろうから、どういう使い方かはしっかり聞いておかなければ。
「まず腕輪はあなたの膂力の助けになるもので。あなたが思い描く力貸してくれる。
ただしやり過ぎれば反動はくるから気を付けて使いなさい」
反動って事が怖いがこれは助かるな、身体は毎日鍛えてはいたが、モンスターを倒す為の筋力なんて想像つかないし…今の俺にはないだろうさ……
「それと腕輪のもう1つの機能として、若干のシールドを張ってくれる。これは、使用者本人の耐久力に依存する旨、鍛えればかなり重宝する事でしょう」
その機能は良いな、危険な時のバリアー的に使えば生還率が格段と上がるだろう。
「首飾りについては、相当特殊なものでして…
チェーンと2つの指輪それぞれに特性があるんですが、指輪の特性はよく解らないんです」
よく解らない?腕輪の能力は助かるが、よく解らない首飾りって…
ただ、チェーンの方の効力は解ってるならそれは聞いておこう。
「解っているチェーンの効力とはなんです?」
「それはですね、チェーンは今起こっている事象の相反する事柄を起こす事が出来るのです」
それって…相当優秀なものなのでは?
例えば傷を負ってしまっても、この効力を使えば傷が治っていくって事だよな。
「その顔は効力がしっかり理解出来た様ですね」
「はい、これの使い道はかなりあるみたいで助かりますね」
「それはなによりで、ところで指輪に関してなのですが…
解っている事が少しだけありまして」
なにやら慎重な面持ちで話し始めたな……結構危険が伴うものなのだろうか?
「それは直接指に着けてしまうと、その人物に寄生してしまうそうでして……」
人に寄生?
何でそんな危険な物が付いてるんだ?
違うな、チェーンに付いてなきゃいけないんだ。チェーンの能力をわかり易く言えば「あった事が、無かった事に出来る」つまりは指輪はチェーンによって封印されてるって事か…
「チェーンに付いていないと危険と言うわけですね?」
「指輪の形をしているますが、生き物と捉えてもらって構いません。
人を誘惑し、人に寄生し生きていくものなのですから」
ある意味怖いが、チェーンに付いている以上は安心と言う事か。
もう少し掘下げて指輪について解る事があるか聞いておこう。
「ちなみに指輪が人に寄生する事が解っているって事は、前例があると言うことですね?」
「そうなんです。それは元々4つあったんですが、1つの行方は不明で、内2つはそこに…そして、前例を作った指輪が寄生していったものでして」
「1つは誰かが着けてしまったのなら、能力は解るんじゃないですか?」
「着けた本人ごと死んでしまったので全く……指輪に寄生された後に自殺してしまったんです」
自殺って穏やかじゃないな、それだけの効力がこの指輪にはあるって事か、もしくは指輪に乗っ取られてしまうのかだな。
チェーンの能力が有能な分、生還する為には欠かせないのだが、指輪には充分に気を付けなければな。
そして、それをくれた理由は多分だが厄介払いだろう…
ここにあって問題を起こすなら異世界で人と共に消えてしまうなら良いと言う事だろうな。
情報はこれで充分かな
生き残る為の道具も頂けたし、後は自分次第って事だな。
異世界突入は次回になります。
プロローグ的な内容が長いのはご容赦下さい。
誤字等で読みにくい所もあるかもしれません。
何かありましたら報告頂ければ幸いです。