プレゼント
「とりあえず凄い武器だって事は解りました。
これって今後たくさん造るんですか?」
「まだまだ改良点があるけどなぁ……量産するにはたくさんのスライムが必要になるだろ、それだけ捕まえてたくさん造るのも難しいだろぉよ。
とりあえずは少量造ってみる予定だ」
量産出来れば優位な兵器になりそうだけど、城内にスライムがいっぱい居ると思うといやかも……
「それ1個持って行って試してくるか?」
「これをですか?」
「オイラ達は戦闘は苦手なもんでな、実際に魔獣相手に戦いで使うなんて余裕はなくてな。
それなら、戦闘に慣れたお前さん達が使って感想を言ってくれるのが1番じゃねぇかって思ってよ。
実際に使ってみなきゃどこを改善しなきゃならねぇか解んねぇし……良いよなダグ」
「飾りモン造った覚えはねぇから、使ってくれた方がソイツも喜ぶってもんだ」
「帰って来るまで少し時間がありますけど、それで良ければ」
「大丈夫だ。
特に急いでる訳じゃねぇし、もう少しミリーとも相談しておくからよ」
「解りました。
それではお借りしていきますね」
「感想頼んだぞ」
「はい」
「キャメロさん、ちょっと待って下さい。
良かったらこれも試して来てもらえれば助かります」
何か試作品の試験を押し付けられてる気になってきた……
「良いですけどそれは何なんです?」
ミリーの手には3個の魔骨石が付いた手袋を持っていた。
「これはですね、手袋に付いた魔骨石に予め好きな媒介の魔法を入れておくことで、媒介の存在しない場所でも魔法を放つ事が出来、しかも簡易に複合魔法を放つ事が出来る手袋です」
「……もう少し詳しく教えてもらえるかなぁ?」
「はい……通常魔法で使いたい属性があったとして、媒介の存在がが難しいものがあると思います」
「確かに雷や火は通常存在しないから、どうしても発動する際に既にその属性の媒介になっている物を持ち歩くか、精霊を使って発動するしかないね」
「そうです……それに、雪山で火の魔法を使うにも難しいですし、砂漠や火山帯で水魔法を発動させる事も厳しいでしょう。
その時の為に、この手袋を装着していれば何時でも媒介を呼び放題です」
「なるほどね……その魔獣の弱点になる魔法を好きな時に撃てるって事だよね」
「その通りです。
それに、準備の段階で好きな魔法を装填し直す事も出来ますので、凡庸性も高いと思っています」
ミリーちゃんが言ってる事が出来るならば、どんな状況でも対処出来てしまう。
凡庸性が高いどころじゃなく、魔法使いの必需品になりそうなアイテムだ。
「解った。
じゃあ、これも試してみるから戻って来たら感想を言うよ」
「ありがとうございます。
では、よろしくお願い致しますね」
ミリーちゃんからとバズさんとダグさんに頂いた物を持って工房を後にする。
随分と長い間話し込んでしまったので、急いで集合場所に向かった……
集合場所に着くと、既に僕以外の人達は集まってくれていた。
「お待たせしてすいません!」
「構わないよ。
キャメロ君以外の人達もさっき集まったから」
「そう……でも、言い出しっぺが最後に来るなんていけないよね」
「そんな事気にしないわ」
「そうだ……1番この瞬間を待っていたのはキャメロだと思うからさ」
「ありがとうみんな……じゃあ、行きましょうか?
準備は良いかな?」
出発の確認をしようとすると、トールが手を上げる。
「なぁ、人は集まっているんだけど……食料とかは?」
忘れてた……急いで用意しなきゃ!
「その様子だと用意出来てなかったみたいだね。
母さんの言った通り、忘れてるかもしれないからって店先に用意してもらってたんだ。
ちょっと時間掛かるけど取って来るから待ってて」
トールは入り口から走って店に向かってくれた。
残る忘れ物がないか自分の荷物を確認したが、どうやら食料だけが無かっただけだった。
しばらくしてトールが馬に乗り荷台に食料を乗せて持ってきてくれた。
準備が終わった我々は遂に小人族を探しに出発する事が出来た……
色々と巻き込まれたりしたけど、諦めなかった甲斐があった。
僕の為に協力してくれる人達と城からようやく出発する……
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