条件
「そうですよね……犯人の意図なんか簡単に解りませんよね」
「そういうのを得意な者に任せる。
私は私の出来る事を行うさ……」
「そうですね、僕も苦手な方ですからそうします。
当面の目標もありますし」
「それでいい……
私は訓練指導が残っているから行くぞ。
先に失礼する」
そう言うとリュードはすぐに立ち去って行った。
「何かいつものリュードさんと違ったなぁ……」
いつも厳しそうな顔をしているけど、今日は何か曇った表情と言うか……
いつもの厳格な感じじゃなかった思う。
何かあったのかもしれないけど、考えて解る様な事でもないしな……報告して僕も戻ろう。
長く話し込んでしまったので遅くなってしまったが、ライトさんの所へと向かう……
案内されてライトさんの元にたどり着いた……
そこにはライトさんとケインさんとブランさんの3人が真剣に話し込んでいた。
邪魔しちゃいけないと静かにしていたが、僕に気付いたライトさんが声を掛けてくれた。
「キャメロ君戻ったんだね」
「はい、少し前ですが邪魔しない様に待ってました」
「声を掛けてくれれば良いのに……それで、何か見つかったかい?」
ライトさんに見回った時の話しを行う……とは言っても血痕をひとつ見つけたぐらいで、他には何も見つけれなかったんだけど……
「血痕か……ケインさんもしかしたら」
「可能性は高いですね。
その周辺をしっかりと探りましょう」
「キャメロ君ありがとう、お陰で手間が省けたよ」
「お役に立てたなら良かったです。
じゃあ僕はこれで失礼しますね」
「助かったよ。
夕方は時間を空けておくからその時にまた会おうね」
部屋を後にして一度部屋へと戻る……結局朝ご飯も食べれなかったので、部屋に何かないかと探そうと思っていた。
自室の近くまで来た時に、僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「キャメロさん……ようやく会えました」
城のメイドさんだ……息をきらしながら走って来ていた。
「どうかしたんですか?」
「朝から探してたんです……ウィリアム様が御用があるとの事で」
「そうなんですね、じゃあ何か食べてから……」
「さぁ行きましょう!
長らくお待たせしてしまっています」
メイドさんから腕を掴まれ部屋から遠ざかる。
「ちょっとお腹が空いてしまってですね……」
「大丈夫です。
ウィリアム様の部屋に何か運ばせますので」
なんとも強引な人だ……でも、朝から今まで探していたのであれば可哀想だと思い、渋々食事を諦めて移動した。
ウィリアム様の部屋に案内され入室の許可を頂くと、すぐさま部屋に通された……
「待っていたぞ、探しに行かせたがなかなか見つからないから心配したぞ」
「すいません、少しゴタゴタに巻き込まれてまして」
「そうか……まさか出て行ってはいないかと思っておったところだったのだ」
「そんな事はしませんよ。
ウィリアム様に相談した意味もなくなってしまいますから」
「そうだな、それで今日呼んだのはその件なのだ。
昨日別れた後に弟と話しをしたのだ……結果は許可を出す方向で決まった」
「ありがとうございま……」
「だが条件が付いた。
その条件を満たさなければ出す事は許可出来ない」
喜んだ瞬間に条件だなんて……
「その条件とは?」
「まずはおぬしが無事に戻ってこれる様に、十分な戦力で出発する事」
ライトさんも一緒に行ってもらえれば十分な戦力になるし大丈夫だよね……
「戦力を整えろって事ですね」
「そうだ、だが連れて行く人選に部隊加入者は許可出来ん」
……え?
それじゃあほとんどの人が対象外になってしまいますけど……
「今ここら辺に居るダークエルフのほとんどが部隊加入者じゃないですか?」
「そうだな、いつ攻めて来るか判らない人間達に対抗出来る戦力は城に保有させとかねばならぬのだ。
よって隊長格等の役職者は絶対厳禁だ」
ライトさんは絶対来れない事が確定……
僕の知っている人で強い方は全部部隊加入者、どうやって戦力を集めなきゃいけないんだろうか……
「次の条件だ」
「まだあるんですか?」
「これで最後だ。
外出許可は最大5日間……この短時間で成果を出して来なければならない」
5日間だけか……でもせっかく許可を頂いたんだ。
そうしなけれ、ウィリアム様が頑張ってくださったんだ……
「解りました……条件全部を飲みましょう……」
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