疑惑2
「話しを戻す前に真偽を確かめなければ……」
「リュードさん、そもそもケインさんが内通者であれば弟と会ったなんて言われると思いますか?
もし言ったとして、その事に得はあると思いますか?」
「ライトさん……」
「……確かにそうだが」
「ちょっと前にリュードさんを疑っていた私が言う台詞ではないのかもしれませんが、ケインさんはずっと私達の為に頑張ってくれています。
この前の戦争だってジンさんを助ける為に、着いてすぐに戦ってくれてたじゃないですか」
「そう…だな、すまなかった。
戦の時には確実に私よりも尽力してくれていたな……確証もないのに疑って悪かった」
「いえ……敵対している種族が居ればそのくらいの疑いは当然だと思います」
「まとまったところで、話しを進めようと思います。
この死体はブランさんの村に近い集落の人物である可能性が高く、ケインさんの弟が殺したかもしれない……ここまでが今の経緯です。
次に問題なのが、どうやって結界の中に侵入したのかと言う事ですね」
「侵入経路か……」
「ケインさんどうですか?」
「いや……弟は言いませんでしたね」
「そんなものがあれば、おちおちゆっくり休む事も出来んな」
「それに、城だけじゃなくて領土内に侵入する為の抜け道も存在しているようです」
「それはどう言う事だ?」
「前の戦の時にジンさんがそう言ってました。
どこにあるのかは判らなかったみたいですけど、大まかな方向は判ってらっしゃったみたいで、張り込んでいたら実際敵と遭遇して戦いました」
「城内と領土内に抜け道とは……」
「とりあえずそこを見つければ何か手掛かりがあるかもしれませんね……」
「私達の部隊で捜索しておきましょうか?」
「そうですね……ケインさんの部隊であれば訓練を兼ねてている行えますね。
リュードさん、それで良いですか?」
「構わない……こちらからもお願いする」
「それでは工作部隊で抜け道の捜索をお願いします」
「解りました。
何か進展があり次第報告します」
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外を見回った後にキャメロ達はライトの元へ向かっていた……
「結局何も解らなかったねぇ……」
「血痕を見つけただけでも十分じゃない、後は他の人に任せましょう」
宿舎の近くまで来た時にサリが歩いているのを見かける。
「あれ……サリさんじゃない?」
「そうみたい……こんなところでどうしたのかしら?」
急いでサリの元へ駆け寄り、サリを呼び止めると立ち止まってくれた。
「キャメロ君にフューリーちゃん何してるのぉ〜?」
「ちょっと事件に巻き込まれてしまいまして……」
「もしかして、あの死んでた人の事かなぁ?」
「そうなんです……ってなんで知ってるんですか?」
「私もそれで呼ばれたもん。
知っているか顔を確認してって言われてね」
「それで、誰か判ったのかしら?」
「だいたいかな、名前までは解んなかったけどね」
「そうなの……それで今から戻るの?」
「う〜ん……とりあえず訓練室に行こうかなぁって、朝の訓練の途中で抜けてきたからねーー」
「じゃあ私も一緒に行くわ、報告お願いね」
「解りました。
じゃあ僕はライトさんのところに行ってきます。
朝からありがとうございました」
一礼をしてサリさんとフューリーさんを見送った。
ひとまずライトさんのとこに行って報告しなきゃ……そう思っていた時に後ろから声を掛けられた。
「お前は何しとる?
訓練をサボっておるのか?」
体がビクっとなり、恐る恐る後ろを振り向くとリュードさんが立っていた。
「いやいやいやいやいやいや……サボってませんよ。
色々な用事が重なり重なりでですね」
「知っておるよ……冗談だ。
何か解った事はあるか?」
「それが、ほぼありませんで……」
「そうか……しかし厄介な事になったものだな……」
「はい……なんで人を殺してこんな見つかる場所をしまったんでしょうね」
「判らないな……」
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