真相究明
「それで、最初に発見したのはどなたですか?」
ひと通り現場の状況を確認した後にライトさんはタニアさんに話しを聞いている。
「最初に見つけたのは……」
「僕だよ」
タニアさんが答えようとした時に、1人の少年が前に出て答えた。
それを見たフューリーさんが僕の後ろから彼の名前を呼んだ。
「メロ君が最初の発見者なの?」
「そうだよ。
朝早くにトイレを限界まで我慢したけど、もう無理ってなって急いで向かってる途中に、宿舎の窓からこれを見たんだ。
最初は誰かが倒れてるって思って、トイレをなんとか堪えながら窓から出てここに来たんだけど、既に全員の息がなかったんだ……」
「その時他に誰か居たとか、誰かを見たとかは?」
「誰も居なかったね……急いで誰か呼ばなくちゃって思って、限界状態の中で宿舎入り口の門兵なら起きてるから、彼らを呼んでからタニアを呼びに行ってもらったんだ」
ちょいちょいトイレの話しが入ってきて、僕はメロ君がいつトイレに行けたのかが最も気になってしまっていた。
僕なら我慢出来ないなぁ……と思っていた時に、急にライトさんから呼びかけられる。
「そうですか……しかし死んでいる4人に僕は面識がありません。
キャメロ君はどうです?」
「え?」
「知っている人はいますか?」
「僕も見た事ない人ばっかりです」
「どこかの隊には所属しているかもしれません…後で確認の為に隊長格の方々に聞いてみましょう。
それでメロ君、何か変わった様子もありませんでしたか?」
「変わった様子というか、彼らの周りに一滴も血が流れてないって状態で、彼らはどうやってここに来て殺されたのか……もしくは運び込まれたのか気になったぐらいかな」
確かにメロ君の言う通りで出血していない……
「そうですね……死因が判らない現状ではここで殺されたのか、どこかの別の場所で殺されたて運び込まれたのか詳しく判りませんね。
しかし、どちらにしろ侵入経路も判りませんね……」
魔法を使って殺されているのか気になって、痕跡があるかどうか残留している魔力を探してみるが、時間も経っているから見えないのか、そもそも魔法を使われていないのか魔力が見えない。
「とりあえず死体をどこかに運びましょう……ここはメロ君が言った通り宿舎から見えますし、人目に付きやすいですから」
そう言うとライトさんはタニアさんに動かせる場所があるか聞いて、皆で死体を聞いた場所に移した……
死因の確認をメロ君とライトさんで行う事になり、僕とフューリーさんは周囲に異常がないかを確認する為に見回りを行う事になった。
「なんだか大事になってきましたね……」
「そうね……でも、人が死んでいたんだから当たり前よ」
「確かにそうですね……」
一旦、サンドラ様が建てた外壁を見回ったがおかしなところは見られない……
どこにも登った様な後も無ければ、穴すら空いていない。
本当にどこから入ったんだろうな……
「とりあえず異常は無さそうですね」
「待って、これって血じゃないかしら?」
フューリーさんが指を指した場所に目を向けると、確かに血痕の様なものがある。
だけど、そこに一箇所あるだけで他には見当たらない……
「死んだ彼らの血でしょうか?」
「そこまでは判らない……でもまだ見た目新しいわ。
もしかするかもしれないわね」
「壁の外の森の中で殺されて運ばれたんでしょうか……殺した後にほとんどの血を森の中で抜いてしまって」
「可能性は高いわね……でも、何が潜んでるかも判らないから、一度報告に戻りましょうか……
それに、死因次第でこれが本当にそうなのか判るかもしれないから」
そろそろ部隊訓練の為に、みんなで訓練所に移動しているかもしれない……
そう思った瞬間に気がついた。
「フューリーさんどうしよう……」
「どうしたの?
何か解ったの?」
「違う……」
「じゃあ何よ?」
「朝ご飯食べれなかったぁ!」
フューリーさんは呆れた顔で僕を見ていた……
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