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畏怖

やっぱり怖いよぉ……どこから飛んでくるかも判らない小石を避けろなんて言われたってぇ……

それどころじゃない、今は集中しなきゃ……当たれば痛いのは……


「うぁ痛ぁあ!」


後頭部に小石が衝突……急な出来事に思わず声を上げてしまった。


「もっと感じとれる様に集中しなきゃ駄目だよ」


ライトさんの言葉なんか聞いていない……意外に痛かったのだ。

あれが何回も続くなんて、早く探知しないと発狂しそうになるよ。


自慢じゃないけど逃げるのには自信がある……けども、それは見えてるからの話しで、見えないものに関してはどうも出来ない。

そもそも、それが出来る様になる為に訓練してるんだから、最初から出来たらこんな目に合ってないよね。




しばらくは小石の衝突で悶絶を繰り返していたが、次第に魔力を感じるというのか、近づいてくるのが判らない様になってきた。

恐怖心によって聴覚が過敏になってきているのかもと疑ったが、聴覚ではなく先程感じた様な魔力が近づいてきているのが判る。

全てではないが、どんどん躱せる様になってきた……最初みたいに後頭部に直撃なんて事も無くなり、当たっても体にカスるぐらいまでになった。


「2人ともよく出来る様になったね。

それじゃあ、今日はここまでにしようか?」


「ようやく慣れてきたからもう少しお願いします!」


「やってあげたいのは山々なんだけど、僕の魔力が厳しそうだよ。

とりあえず続きは明日の早朝から始めるって事でどうだい?」


「すいません、ライトさんの状態を考えきれていませんでした。

じゃあ、明日の朝からでお願いします」


「ごめんね、助かるよ。

じゃあ、先に休ませてもらうね……今日はお疲れ様でした。

おやすみなさい」


「ありがとうございます。

ではまた明日ですね、おやすみなさい。

フューリーさんも明日ですねぇ」


フューリーさんは軽く会釈をした後に訓練所を去った。

僕も早々と自室に戻り、ゆっくり休ませてもらった……






―――――――――――――――――――――――――――――――






その頃牢獄に居たケインは尋問を続けていた……そぼ相手は少し前に捕まえた死霊使いだ。


「聖女の知ってる事を教えなさい……いつまでもそのままでは餓死してしまいますよ」


「……だから、知ってる…事は話したぞ……」


「そうですか?

だけど、違うんですよ……あなたが話していた聖女と」


「……言った通りで、教団の…中にはいるけど……ただ召喚が使える…聖女とは名ばかりの……広告塔ですよ」


確かに戦いの序盤ではそうでした……けれど、後半の彼女は異質な存在で、弟はそれを知っている感じで……


「彼女が行う人を操る魔法を知っていますか?」


「人を操る?

そんな…魔法ある訳ない……死した者を操る僕でも、生者を操る方法なんて知りえないのに……」


私もそう思うのですが、実際にこの目で見てしまったのですから否定する事も出来ません……

間違いなく人を操っていた様に思えるのですが、認識を誤っていてもしかしたら全く違う魔法なのでは……だけど、他に説明がつきませんね。


「夜分に申し訳ありませんでした。

せめてものお詫びとして、食事を運んでもらうように伝えておきます」


そう言ってその場を後にした。

考えが纏まらなくて、牢獄を出てから暫く外を歩いていた時だった……何やら気配を感じる。


「誰かいるのですか?

居るのであれば出てきなさい」


返答はないが間違いなく誰か居る……気配のある方向に静かに風を流してどこに居るのかを索敵しようとした瞬間に、今度は間違いなく物音が聴こえる。

急ぎその方向へと駆け出し相手を正体を確認しようとすると、相手も走り出す。


「待ちなさい!

何者なんです?」


だけども再び返事がない……走っている人物を後を追いかけ続けると、少し開けた場所に出る。

そして、そこに誘き出す為に追わさせられていたと気付く……


「テリー……どうやってここまで侵入して来たのですか?」


「流石兄様だ……よくお判りで」


ようやくその場振り向き、顔を確認出来た。

弟のテリーで、今は勇者一行の一員だ。


「何用なんですか?」


「久し振りの…兄弟水いらずなのに……冷たい態度……」


「私とあなたは敵同士でしょう、この前の続きをやりに来たんですか?」


「血の気の……多い事………言わないでよ。

僕は知りたいんだ……何故兄様がダークエルフに組みしているのかを」


「人間達から探りを入れて来いと言われた訳ですね……」


「違うね……相手は叔父さんだよ」


「お前はあんな男の言う事を聞いているんですか!

あの男が私達家族に何をしたのか知っているでしょう!」


「大きく……声を……出さないでよ。

人が来て……話しも出来なく……なるじゃない」


冷静さを欠いていた……少しづつ気を落ち着かせ、再びテリーに話し掛ける。


「それで、どういった用件なのですか?」


「兄様がダークエルフに……加担していたお陰で……叔父さんの立場が……怪しくなったのさ。

それで、連れて来れるか……来れないなら殺せって言われた」


「私は行きませんよ。

返事は聞かなくても解っていたでしょう……そうなると叔父さんの言う通りに戦いますか?」


「僕が……叔父さんの言う通りに……ここに来たのには……訳があるんです……」


「言われた目的以外にと言う事ですか?」


「そうだよ……」




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしております。


次回もよろしくお願い致します。

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