訓練中
再びライトさんの元へと向かう……
ライトさんは魔法剣部隊の訓練を行っている最中だった。
すぐさまライトさんの近くに駆け寄る……
「訓練中にすいません」
「いや、良いよ。
それで……」
「なんとかなるかもしれません!」
「え?」
「でも、これからお願いしなきゃいけない事もあります」
「待って……本当なのかい?」
「確定じゃあないですけど、フューリーさんのお陰で」
それから先程の話しを全て話した。
「驚いたよ……本当に説得してくるなんてね。
僕は自分が恥ずかしいばかりだね」
「そんな……」
「実際に僕じゃなし得なかった事だからね。
でも、そこまでなったからには僕も十分に協力しよう」
「ありがとうございます!
それで、ライトさんがやっている魔力を見る方法なんですけど」
「これは僕が編み出したものじゃないんだ……これもジンさんから教えてもらったものなんだよ。
ついこの間召喚されて来た時は、僕が魔法を教えていたのに……さっさと追い越されてしまっているんだからビックリだよ」
「やっぱり凄い人ですよね……でも、今度は僕達が出来る事を返していかないといけないですよね」
「そうだね、早くジンさんに目を覚ましてもらわなきゃ、それに……」
「それに?」
「いや、何でもないよ。
練習はとりあえず、部隊訓練が終わってからだね。
すまないが夕方まで待っててくれ」
深々と頭を下げてお辞儀をして、笑顔でその場を後にした……
バズさんと約束していた大砲を調べられる様にと色々と交渉して回った。
最終的にはリュードさんから許可をもらえたので、バズさん達に伝えて一緒に大砲を見ていた。
2人は長々と関心しながらも舐め回す様に大砲を見回し、火薬とやらの代物についても調べていたようだった。
長い時間を掛けて調べ終わると、とある人物に用事が出来たと言われてその場で別れる事になった。
時間が残っていた為、魔法部隊の訓練所に向かい少しの間訓練を行おう入ってみると、そこにはタニアさんが指導を行っていた。
「タニアさんお疲れ様です」
「キャメロさんお疲れ様です。
もう体は大丈夫なんですか?」
「多分ですね……」
「この前の戦場での活躍を見る事が叶いませんでしたが、勇敢に敵を追い払ったと聞いております」
「そんな事はないよ……冷静な判断も出来ずに、なりふり構わず敵に突進して行ったんだから……」
「でも、そのお陰で優位に制圧出来たとも聞いてます」
「良い風に言ってくれる人がいるんだね……次は冷静な判断で行動しながら、自分でも誉めれる様な功績を残せる様に頑張ります。
ところで、今日の訓練は何をやっているんですか?」
「近距離戦による魔法戦闘です」
みんなが魔法を放つ距離が白兵戦並に近い、振り合う杖が簡単に当たりそうだ。
「タニアさんの得意分野ですね」
「そうです……実際戦っていると戦闘中に接近されてしまう事も多いでしょうから、必須かと思いまして……
ただ、サンドラ様に任せたと言われて訓練を指示していますが、どうしようかと迷ってしまいますね」
サンドラ様はタニアさんに任せて行ったんだ……確かにタニアさんの魔力は強いし、戦闘では恐ろしいまでの強さだ。
でも、その戦闘方法はかなり特殊なんだよね……
「僕はこの訓練を続けていって良いと思いますよ。
実際に戦闘になって役に立つものだと思います。
熟練した剣士と戦うなら接近を許してしまう可能性は高いですからね……良かったら僕も参加させてもらっても良いですか?」
「そうですか、ご意見ありがとうございます。
では、私が直接お相手しますよ」
一瞬寒気が……この前の戦いっぷりを見ていた人なら当然の反応なのかもしれない。
言った手前断れないし、訓練だから少しは手を抜いてくれるよね……
「で…ではよろしくお願いします。
お手柔らかにお願いしますね」
「ありがとうございます。
私も指導ばかりで少し体を動かしたいと思っていましたから……こちらこそよろしくお願い致します」
タニアさんが拳闘士の様に半身体を下げて拳を正面に出し構えた瞬間に、たじろぐ様な威圧感が僕を襲う……本気で戦ってはこないよね……
そう思ったのも束の間……一瞬で距離を詰められてしまう。
目の錯覚なのかタニアさんは構えも解かず大きな動作をした様子もなく目の前に現れる。
油断していた訳でもないし、目を離した訳でもない……
ワケも解らないままタニアさんの拳が僕の顔面を襲ってくる。
体を大きく反ってなんとか攻撃を回避したのはいいが、タニアさんが視界に入っていない……次の攻撃が判らない状態じゃ危ないと考え、一気に後ろへと跳ぶ。
空中でなんとか姿勢を立て直したかと思うと、既にタニアさんは僕の近くに跳んできている。
再び攻撃の動作に入っているタニアさんを見て、魔法で風を使って距離を置く……少しは余裕が出来たかと思ったら、タニアさんは脚に魔力を込めている。
そして、魔力を風魔法に変換し溜め込まれた魔力を一気に解放、一瞬にして追い付かれてしまう。
勢いを利用した蹴りが放たれるが、目の前に土の壁を形成し防御を図る。
時間もなかった為、強固な壁は創れなかったけど邪魔をするには十分なものだ。
視界を遮ったと思い着地すると、上空の壁が無残に破壊される。
絶対タニアさんは本気になってる。
お陰で周囲の魔法使い達は安全な位置まで避難して、一斉に僕達の戦いを眺めている。
このまま続けば確実に怪我させられるよ……
「タニアさんちょっと待って下さい!」
タニアさんも着地するが、止まる様子が見られない……再度接近してくる。
いやいや、お願いだから止まろうよ!
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