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「これで解ってもらえたかな?

君達の行動を許せば今後に対して不利益を被る事の方が多いのだよ」


「でも、ジンさんは……」


「私だって助けたい気持ちは同じだよ。

だが、私の個人の感情で許せる話しではないのだ。

責任を取る方法を君は考えたかね……私がもしも君と同じ立場で行動した場合の事を考えたが、私も責任の取り方も判らない」


「それは……」


「今、君の損失は大きな痛手になる。

ジン殿が起きてくれない状況であれば尚更だ……君が居なければ太刀打ち出来ない敵がいる。

解ってくれないか?」


僕のここでの存在意義……確かに特別視されて嬉しい気持ちもあるけど、ジンさんをこのままにしておく訳には……

ライトさんが葛藤している気持ちが今なら解る。

種族の存続に必要な人材という位置づけ……名誉な事だろうが、助けたい人を助けられない現実……


「僕は……僕はそれでもジンさんを助けたい!

今まで何も出来なかった僕のままでいたくない!

あの時そうしていればって後悔したくない!」


「解ってもらえないか……それならば力づくでも居てもらうしかないだろうな」


ウィリアム様が立ち上がった瞬間に身構える……その時、会議室のドアが勢い良く開かれる。


「上に立つ者として、そういう判断はいかがかしら?」


「フューリーさん……」


「何用かな?」


「2人が歩いている姿を見てちょっと気になったから……申し訳ないけど話しは聞かせてもらったわ」


「盗み聞きとはいい趣味をしている」


「あら、協力した相手に掛ける言葉かしら?

ジンが考えてくれた話しではあるけれど、感謝の言葉ぐらい言ってもらってもいいと思うけどね」


「すまないな、確かにそなたの言う通りだ。

此度の戦では助かった……ダークエルフを代表して礼を言わせてもらう」


「こちらこそ……皆様が無事で何よりです」


重たい空気の中で形式的な言葉が交わされる。

僕が入り込める状態じゃないなぁ……


「それでだけど、キャメロ君が出る事を許さないのは対抗策として、抑止力としてって事よね?」


「そうだな、彼が居なければあの少女の能力に対抗出来ないと言うのが一番だ」


「でも、キャメロ君が敵の…あの少女の視界に入れば十分抑止力としては成立するかしら?」


「すぐに無謀な攻撃は仕掛けてしまわないだろうが、実際に攻撃を開始されれば対抗出来ぬ」


「抑止力として私がここに存在すれば問題ないでしょうか?」


「あなたが居ようと、それでは意味を……」


ウィリアム様が話している途中でフューリーさんの姿が変わる。

僕と同じ姿になってしまっていたのだ。


「これでいかかでしょうか?」


「確かに見た目は完璧だが、戦いになればどうしようもなるまい」


「魔力を絡めとっていた時の事かしら?」


「その通りだ。

君には無理だろうし……」


「ところが…それに近い技なら使えるわよ」


そう言うと、一瞬にして魔力が流れ出し盾の様な形に整えた。


「何がどうなっておるのだ?」


「僕が操る様な魔力が現れています……しかも、僕より強力です。

確かにこれなら大丈夫だと思います。

いや、きっと大丈夫です」


「私がここで変身しているから、彼を行かせる事は出来ない?

彼がジンを起こす様な方法を見つけてきてくれるのであれば、私は協力するわよ」


フューリーさん……


「だがしかし……」


「これは私からの交渉でもあるのよ。

もしも彼を行かせないのであれば、我々魔獣は今回の件戦争から手を引かせてもらうわ。

だって、私はジンと利害の一致で一緒に戦うのを決めたの……そのジンが起きないのであれば私がここに留まる理由がないもの」


「そうきたか……少し時間をくれ、私の一存で決める事は出来ん」


「よろしくお願いします!」


「全く……ジン殿は良い友を持ったものだよ」


そう言ってウィリアム様は会議室を後にした……


「フューリーさんありがとうございます。

何て言っていいのか……」


「お礼なんていいわよ。

だけど、私は魔力をハッキリと見る事が出来ないわ……それまでに教えてもらわなきゃ魔力をどんなに操れても意味を成さないから」


「それを教えてくれる人は知ってます」


ライトさん……良い報告が出来るかもしれませんよ……


「じゃあ、その人も元に行きましょうか!」


会議室を後にし、フューリーさんと2人でライトさんの元へと向かう……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしております。


次回もよろしくお願い致します。

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