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キャメロから言われた事と、俺が体験している事象のズレ……これがどう結びつくのか考えたいが、流石に時間切れの様だ。

離れていたルカが一気に突っ込んでくる……この場にいればキャメロが操られてしまう可能性が高い。

危険を避ける為に自分も向かって行く……ショーテルを取り出し、杖を受け止めようとするが攻撃された筈の瞬間にインパクトはなく、縦に振られていた杖が俺の脇腹に当たっている。


「相談事は終わりましたか?」


「……終わんねぇよ。

そもそもそんな時間まで与えてくれなかったろぅが……しかも、ボコスカ殴りやがって」


「あなたにもやられましたからね、お返しです」


再び杖を体から離し、頭部目掛けて杖を振り下ろしてくる。

ここで始める違和感を感じる……上にある筈の杖が、俺の脇腹に引っ付いている様な感覚だ。

激しい痛みの所為なのか?

だけど絶対にある気がするんだが、もしかして……


振りかぶられた杖を防ごうと、ショーテルで頭部を守ろうとするが、またもなにも衝撃はない。

そして先程とは逆の脇腹に杖がめり込んでいる。


「グッ……」


「次こそ頭を砕いてみせますわ……さようなら」


俺が考えている事が当たっているならばこれで解るはず……


そう思い、杖を握り必死で離すまいと握力を強化する。

すると言われた通り頭部を狙った攻撃が見える……いつの間にか俺が握っていた筈の杖が見えなくなっている。


だけど僅かだが持っている感覚はある。

そして、俺の頭部に杖が振り下ろされる……だが痛みも何も感じない。

しかも見えていたルカの姿が薄くなっている。


「やっぱりか……」


確信に変わった瞬間に杖が再び手に握られていた……


『ショウ、ありがとうな』


『うん』


攻撃が見えた瞬間に俺からショウを出して、少し離れた場所に移動させておいたのだ。

そして、俺の手から杖が離れたなら教えてくれと言ったのだが、ショウからは何の声も聞こえなかった。


「杖を離しなさい」


「嫌だね……なんで俺が敵の言う事を聞かなきゃいけないんだよ」


そう、握った杖は俺の手からは離れていない。

だけど俺の目には頭部目掛けて杖が振り下ろされていた……結果は攻撃を喰らう事なく通り過ぎていったのだ。


俺が推測した内容で合っている……かもしれない……

今チェーンの力を発動している俺に幻術や操術などの精神に影響するものは通用しない。


「何を見せている?」


「教えてくれるとでも思っていますの?」


「そうだな……確かにそうだが、ほぼほぼ解ったかもしれないからな」


思いつく限りの可能性は2つ……ひとつは自分を空間に投影し己は姿を消して攻撃、だけどそうならば探知出来る筈だ。

そう考えるとこの仮定は間違っているかもしれない……


もうひとつは空間の中だけ数秒先に起こるかもしれない世界を見せる事……つまりは俺が囲まれている空間だけ僅かな未来に送られ、術者本人はその僅かな未来に追いついた後に俺が動いた隙を狙って攻撃出来る。

どれくらい先の未来なのかは不明だが、多分数秒だろう……

これなら探知しても見えている本体しか魔力を感じる事は出来ないのも頷ける。

実際にいるのが未来なんだから……

それを確信したいが為に杖を握りしめて離さなかったんだ……お陰で起こるかもしれない未来は、起こる筈のない未来になったんだから。


「お前を捕まえたまま攻撃すれば、俺がどんな状況にいたって当たるよな?」


杖を握っていた手を離し、ルカの腕を掴む。

逆の手に魔力を凝縮し、その手でルカの腹部に掌底を喰らわす。

凝縮した魔力を風魔法に変換、腹部から少しの空間を開けて激しく回転させ始める。

すると、どんどん勢いを増した風はルカの腹部に小さな傷を負わせる。

それが風が強くなるにつれて複数傷をつけていく……そして、風の勢いで裂傷を起こした部分から皮膚がめくれあがる。


「あぁぁあぁあ……離しなさい!

このままだとお腹が!」


「傷が深くなって内臓まで届くか?」


「離しなさい!離すのよ!」


「嫌だね……」


「あなたなんかに……あなたなんかに殺されてたまるものかぁあ!」


大きな声を出すなよ……響にバレない様に殺そうとしてるんだから。

バレて後で責められても文句は言えないけどな……


送り込む魔力を増やす。

すると、回転スピードがまだ上がる……腹部の傷がみるみる大きくなっていく。

魔力がここで終わろうと決めなきゃならない!














これで終わると油断していたのだろう……

自分は大丈夫だと言う過信がこの後起こる最悪の出来事に繋がるとは思ってもいなかった……




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしております。


次回もよろしくお願い致します。

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