再会その6
融合状態になったルカは上空から俺を見下ろしている……俺以外に融合出来る者がいるのは特に驚きはしなかった。
ブラッドが知ってる魔力や能力を言った時に薄々感じていたからだ。
しかし、高い所から見下ろされるのは気分の良いもんじゃないな……さっさと同じ高さまで叩き落としてやらなきゃ気がすまないな。
向こうからすぐに仕掛けてくる気配は少ない……多分融合している者とでも会話してるんだろうな。
左手にショーテルを持ち、魔力を流して風を纏わせる。
そしてそのままショーテルを思い切り振り抜き、纏わせていた風を斬撃と一緒に飛ばす……
放たれた斬撃をルカは余裕で躱したが、右手で衝撃波を撃ち出すと風を起こし相殺されてしまう。
前面に浮いていたルカが一瞬でいなくなる……探知で確認すると、自分の後方に移動していた。
こりゃあ目で追える速さじゃないな……探知を全開で使わないと、解らないまま殺されそうだ。
そのまま後ろを身体ごと振り向き、もう1度ルカを視界に捉える。
「動きについてこれないみたいじゃないですか……大口叩いた割には大した事ありませんね」
再びその場から姿を消すと、一瞬でまたも後ろに移動している。
そこから魔法を使い攻撃を放ってくるのが判るが、何を使っているかまではハッキリしない……とりあえずはここに立っている事が危険という事だけは理解した。
マントで体を覆いながら横へと動く……直後に何かがマントをカスめると、地面に衝撃が伝わる。
どうやら水属性の魔法の様だ……地面に穴を開けた場所を見ると濡れているのが解った。
それを回避し、ルカのいる場所に目を向けようとするが、既に移動している。
今度は俺が避けた側の先に移動して、再び魔法を発動させている。
しかも、先程とは違い1発ではなく確認出来る限りで4発は放たれている。
同じ水属性の魔法であればと思い、通常よりも魔力を込めた衝撃波をルカに向かって放つと、向かって来ていた魔法をかき消して突き進む……
全ての魔法を消滅した後、あわよくば当たらないかなと思っていたが、またも移動している。
探知でどうにかなるとはいえ、これだけ速いと攻撃を当てる事すら出来やしない……
回避や反撃は出来るが、それでは倒す事ままならないのだ。
何度も魔法を回避したり、相殺したりのやり取りが繰り返されるが、進展はない……実力が拮抗している訳でもない。
ただ実力を見られているのか、それとも遊ばれているのか……
こっちは一瞬の油断の出来ない……気を抜けばやりたい放題に魔法で撃ち殺されてしまいそうですなのに……
『まだだよな?』
『もう少し時間が稼げれば、余裕を持って戦えるんだが……』
余裕を持てるのであれば、今を一生懸命対処してさえいればいい……緊急事態にならなければいいけどな。
魔法の応酬が続く……手一杯だが、まだまだこれくらいなら持つバズだろ……勝つ為に今は我慢だ。
「思っている以上にやるようですね……」
「……」
喋ることすら出来ない程の魔法の連打だ……
「あらら……余裕が無いところにすいませんね」
まだまだ魔法の連打だ永遠と降り続く……
出来る限りの回転率で魔法の相殺するが、まだまだ終わる様子がない。
自分の魔力がどんどん少なくなっていく……このまま止まなければ、魔力残の所為で負けてしまいそうだ。
けど、マントで防ぐとしても衝撃は確実に俺にダメージを与えてしまうだろう……
そう思っていた時に、急に魔法が終わる。
「限りがないです……見もしないで攻撃をかき消してくれるなんて……最初はまぐれと思っていましたが、どうやら感じる事が出来るみたいですね。
だけど、接近戦ならばどうでしょうか?」
一瞬見えたルカはどこから出したのか1m程の杖を握っている。
剣ならマントでどうにか防げるが、あの杖で叩かれたなら確実にダメージを負うぞ……
視界から消え去ったルカを探すと、既に俺の後ろに立っている……そして杖で俺の腹部目掛けて殴りかかっているじゃないか……
回避は間に合わない、それならと思い切りパイルバンカーで相打ち狙いの反撃に出るが、手応えなくルカのいるバズだった位置を通り過ぎる。
それはそのはずだ、ルカはその場でしゃがんでいた……空を切った俺は体が流れ、頭を守る物がなくガラ空きになっている。
そして、立ち上がりざまに俺の顎を狙って振り上げてくる。
なんとか体を捻らせ攻撃を避けると、それ事態がフェイクだった様で俺の腹部に鈍い痛みが広がる……
片手で振られた杖の逆手でマントの上からお構いなしに殴られていた。
痛みに対して覚悟していなかった為か、一撃で膝をついてしまった……
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