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再会その5

パイルバンカーをルカの胸部目掛けて突き刺そうと腕を伸ばす……危険な存在だと認識した瞬間から、手加減や情けなんて全く考えていない。

本気で殺しにいく……トドメまで刺さなければ、その後俺が殺されてしまうといった恐怖が俺の中にあったからだ。


だけど、その本気は俺だけだった様だ……

パイルバンカーの杭を横から握る手があったのだ。


「お父さん……何で殺そうとしているんだ?」


「急いで離せ!

ここに居れば……」


そう言いかけた途中で二人共吹き飛ばされる結果になった。


「馬鹿がいてくれて助かったわ……」


油断してくれていた千載一遇のチャンスを逃した……もう二度と同じ手は通用しない。

響は敵としての認識ではなかったんだろう……目を覚まさせてくれると思い込んでいたのかもしれない。

今まで一緒に旅をしてきた仲間だ……殺されるなんて思ってもみなかったんだろう。


「お父さん……」


「言いたい事は解ってるつもりだ……お前の仲間ではあったが、俺にとっては恐れを抱く相手だったというだけだ」


「だからと言って……」


「解ってるが、生かしていれば今後取り返しのつかない事態になるのは明白だった……」


「ルカだって本気じゃない筈だよ。

きちんと話しをすれば解ってくれるって!」


「俺にはその希望は見えないな……振り向いてルカの顔を見てみろ」


響はルカの方に振り向き、じっと見つめていた……息子がここに来てから何を見てどんな経験をしてきたかは解らない。

だけど、仲間という存在は必ず守らなければならない存在だったと思わせる様な態度や言動だった……こちらから見えない息子の表情は今どんな顔をして、何を思っているのだろう。


「助けてくれてありがとうね……危なかったわ。

みんなを使ってダークエルフ達を殺さなきゃいけないのに、こっちが殺されそうになるなんて笑えない冗談よね」


「待ってくれルカ!

彼等の話しを聞いてからでも遅くない……」


「ごめんなさいね……これは決定事項なの。

何を聞こうと変わらない事実で、あなたのお父様は確実に殺しておかなければならない危険人物よ」


「いやいや、待ってくれって……殺されそうになったのは俺が助けたじゃないか、それで許してくれないか?」


「残念ね……私が死んでいたらお父様は殺されなかったのに、殺し損なった所為でねぇ」


「響、もう良いだろ?

あれが彼女の本音だ……それに俺もやつも自分の目的の為には邪魔なのさ多分これは変えられない事実だ。

お前がどうこう出来る問題じゃない……」


響が振り向く……目から涙を流していた……


「親父ぼ目的ってなんだよ!

ルカを殺してまでしなきゃいけない事ってなんなんだよ!」


「母さんの元へ……家族の元へと帰る事だ。

最初はそれが目的で助けなければと思っていたが……彼等を助けてあげたいと思っている。

その為には彼女を倒さなければならないんだ」


「俺だって同じだよ!

仲間を……人間達を助けてあげたいんだ!」


「その為にはあなたのお父様を殺さないと無理よ……だって、私が操作できない人物を放ってはおけないもの」


「だそうだ……時間もない。

響……退いてくれ、決着をつける」


「そうですね……さっさと終わらせてしまいましょうか」


響は俺とルカの間に立っている。

動かない響の横をすり抜け、響の前に立ちルカと向かい合う。


「シュート君を助けてあげろ、苦戦している筈だ。

終わればみんな元に戻ってくれるだろう……早く行け!」


ハッと我に返った響はおぼつかない様子でシュートの元へと動く。


「キョウさんは行ってしまいましたね……彼にはまだまだ利用価値があります。

ここで死んでもらうには早すぎますから……でも、あなたは別ですから」


「大丈夫……死なないさ」


「そうですか?

これから少し本気を出させてもらいますけど……」


「俺もまだまだ本気じゃないんでね」


「それなら遠慮はいりませんね……ではいきます」


ルカが壁の上から飛ぶと、真っ白な翼が背中から出現する……


『ブラッド、あれは……』


『間違いないね……俺らと同じ融合だ。

見知った能力を見た時から思っていたが、どうやら似たような存在がいたもんだ……しかも、融合しているやつまで』


『俺らも融合しないとマズくないか?』


『少し様子を見よう……さっきまで融合していた分の回復がまだだ』


融合している相手にそのままで戦うなんて……でも、対等な条件になるまでだったらなんとかなるのか?


『解った……だけど、無理そうならすぐに融合するぞ』


「さぁ……準備は整いました。

覚悟してくださいね」




今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしております。


次回もよろしくお願い致します。

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