消耗
タニアさんは一瞬で敵陣との距離を詰めると、それに気づいた魔獣使いが急いで魔獣に指示を出そうとしている。
私はそこら中にある石に魔力を流し、素早く石を飛ばして魔獣の動きを止める。
何の邪魔も入る事なく術者を1人倒した。
メタルアーマー以外なら後方からの援護するだけで倒せそうね……数は多いけど、タニアさんの動きならそんなに時間は掛からなさそう。
次々と術者に向かって攻撃を仕掛ける……正確に援護する為に集中を切らさないように心掛ける。
どんどん前進して行き、遂にメタルアーマーを使役している術者の所までたどり着いた。
メタルアーマーに対しての援護は出来ないわ……タニアさんどうするつもりかしら?
その間はタニアさんの様子を見ながら、周囲の魔獣がちょっかい出せないように牽制をかけておく……
無手で攻撃しているタニアがいくら攻撃力が高くても、メタルアーマーの外装に対して魔力を使わずに素手で攻撃すれば負傷してしまうだろう……かと言って魔力を使えば攻撃が跳ね返ってくる。
タニアは下に転がっている石を掴むと、その石でメタルアーマーの頭部を思いっ切り殴った。
メタルアーマーの頭部は大きく凹み、首の角度はがあらぬ方向に曲がっている。
「もう、攻撃と言うよりただの暴力としてしか見れないわ……」
呆れて見ていたリレイは独り言を口にしていた。
メタルアーマーを倒したタニアさんは術者の顔面を陥没する程の力で殴り、次の相手に向かって既に移動していた。
術者に向かって攻撃を行う為に移動していると、術者が使役しているメタルアーマーがタニアさんに照準を合わせている。
さっきの攻撃で拾った石は砕けてしまっていて、再び無手になってしまっていたので近くに手頃な石がないかを探していた。
見た感じではその場には手頃な石が見つからなかったようで、素手で攻撃をしそうな感じだった。
石が無いのに気付いた私は、タニアさんの為に急いで石の強度を上げる固めて、先程の攻撃でも壊れないように密度を高めて強度をあげる。
それをタニアさんの元まで飛ばす。
「タニアさんこれを使って下さい」
気がづいたタニアさんは石を握ってくれた。
そのまま石を使いメタルアーマーを倒すと、続いて術者を倒し終わった。
石は攻撃に耐えて壊れなかった……急いで創ったにしては十分な強度だったみたいね。
「リレイさんありがとうございます」
そう言うと再び前進を始めた……私も周囲の敵に攻撃し、タニアさんの援護を続ける。
ほとんどのメタルアーマーを倒し終わった後、今度はスペクター相手に攻撃を開始した。
スペクターを倒すと、飛行型の魔獣にかかっていた補助魔法が解けていく……メタルアーマーを倒し終わったタニアさんは容赦なく魔力を使って攻撃を行い殲滅していっている。
先程見た人が空を舞う光景を間近で見ると圧巻だ……初めて見る魔法の使い方に驚いた。
あれは私には無理ね……でも、私は私なりに違う倒し方があるもの……
残った敵を一掃する為に、自分の身の回りに石を浮かせると勢いよく私を中心に回転させ始める。
そして、十分に加速させた後に石を次々と放っていく。
ただ撃ち出すだけではなせない程の速さで石が飛んでいく……攻撃が当たった者は、体に穴を開けられ絶命していった。
2人の活躍により術者のほとんどを制圧してしまうと、上空の敵も程なくして片付いた。
「タニアさん流石ですね」
「リレイさんの援護のお陰ですよ。
的確に援護してもらえたので安心して攻撃する事が出来ました」
「でも、もうヘトヘトですね……魔力なんかほとんど残ってないですよ」
「私も少し動き過ぎて体力が残ってませんね」
連戦の所為で皆が体力や魔力をかなり消費してしまっているわ……ここを制圧出来たからと言っても戦が終わった訳ではないのに……
「皆の者よく頑張った……お陰で死者を出す事もなく戦闘を終わらせた。
だが2度における戦闘での消耗は激しい、持ってきた回復薬を飲み急いで回復しておけ……何時また戦闘が始まるか解らないのだから」
人間達の数は私達よりもかなり多い……サンドラ様の言う通り、休む間もなく数で押し切られる事が確かに考えられる。
その所為で今まで他の種族が人間達に勝てなかった戦争がいくつもあるのだから。
「2人とも頑張ったな……だが、先程皆に言った通り次の戦いが何時始まってもおかしくはないが、十分に今は休め」
「ありがとうございます。
何があっても良いように、十分に体を休めておきますね」
「勿体ないお言葉ありがとうございます。
私も今だけは休んでおきます。
次もサンドラ様の為に十分な働きが出来るよう頑張ります」
残り少ない回復薬を飲み、枯渇しそうだった魔力を回復させる。
城の方を眺めると異変はなく、未だに進軍している様な動きも見られない。
大砲の制圧に時間が掛かっているのかしら、他のみんなはきっと無事よね……
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