鎌
静かに……そして気付かれる事なく忍び寄る……
私の得意な戦い方……
風魔法を纏い着地の際に出る足音ですら消して移動する。
「今日は災難ばかりです……」
「誰だっ……冒険者か?
何故こんな所に居るんだ?」
「質問ばかりですね……答える気はありませんけど」
「な……ん……」
一瞬で10人程の喉を斬る……少し腕が鈍っていますかね。
戦っている内に勘が戻るでしょう。
「て……てき……」
「遅いですね……それに我々の軍はもう来てるでしょう」
発言しようとした兵士の喉から出血している……そして後ろからは工作部隊も突撃してきている。
そのまま敵陣と衝突……まずまずの立ち上がりですかね。
私もそのまま進みましょう……
敵の陣形が整っていない今が好奇……このままいけば簡単に3分の1は倒しきれるでしょう。
その読み通り敵が整う事なく次々と倒されていく……もっともケインが半数は倒し終わっている状況だ。
そろそろですね……
レインと目が合うと、戦っている奥から敵兵が突撃してくる。
それに向かってレインが目眩しに光を拡散する。
勢い良く突っ込んで来た敵兵の足が止まる……そして控えていた魔族と魔獣の軍団が横に大きく広がり進軍してくる。
敵兵の視界が回復した瞬間には既に攻撃される直前……何も出来ないまま大多数が倒されていった。
残りはもう少しですね……このまま無事に制圧出来れば良いのですが……
その期待はすぐに覆される結果になった。
ケインより先行していた魔族や魔獣達が大きく後方に吹き飛ばされていく……
そしてその者達は皆共通して大きな斬り傷が出来ていた。
「皆さんここは頼みます。
私は先に行って何が起きているのか確認します」
急ぎ前線へと向かう……戦力的には人間達よりも優勢になったのかもしれないが、ここで人数を減らされればこの後も厳しくなってしまう。
ようやく前線にたどり着くと異様な光景が目に入る……見た事があるが、どれもそんな容姿ではなかった筈……
カマキリの様な容姿…あれはマンティスですか?
でも、見た目は人型をしています……まさかジンさんから聞いていた魔獣化と言うやつですか……
「あぁっ…何で人間が、しかも冒険者が俺らに攻撃してんのさぁ?
しかも、見た事ある顔だなぁおい」
「私はあなたなんかと面識はありませんよ。
ましてやマンティスの知り合いなんていませんので」
「オイオイ…一応俺だって人間だっつうの」
「やはり魔獣化ってやつですか…」
「知ってんなら聞くなよ。
まぁそんな事ぁどぉでもいいや……死ねぇ!」
鎌が振り下ろされる……早くはありますが、避けれない程ではありませんね。
これ位ならと後方に避ける……なんとかなると思った最中胸から腹部にかけて鎧に切り傷が入る。
「しまったなぁ……避けると思わなかったから加減間違えたぜぇ」
鎌は避け筈です……ならどうして鎧に切り傷が入ったんでしょうか……
「次は当てるぜぇ」
もう一度鎌が振り下ろされる。
攻撃は見えています……これも回避出来ますよ。
そう思ったが先程後方に回避して斬られてしまった事を思い返し、今度は横に避ける……が、しかし再び鎧に傷が入る。
「良く避けるなぁ……だけど次は外さねぇ」
またも鎌を振り下ろされる……
横にも後方に避けても何かが当たってしまいましたね……ギリギリで避けるのは危険です。
撹乱する事も兼ねて大きく移動しましょう……
風を纏い先程よりも早く大きく移動しようと鎌が振り下ろされる前に、相手横を通り過ぎようとした瞬間……纏っていた風に違和感を感じる。
このままでは危ないと思い、大きく後方に回避する……
「これでかすり傷かぁ?
なんだぁお前」
上腕部分にカミソリで斬られた様な切り傷が出来た……
なるほどですね……少しは攻撃のタネが解りましたよ。
ですが、どうしたものでしょうね……
「一回づつの攻撃はカスるぐらいしかなんねぇなら、何度も切り刻めばどぉなるかなぁ」
両腕の鎌を振り上げ、襲いかかってくる……
見える攻撃はどうとでもなりますが、その後の攻撃が厄介ですね。
多分ですが、相手は鎌と別に風魔法で攻撃している筈です……体幹の横横に付いている足が攻撃を放っているのでしょう……
しかも、私が避けた先に向かって攻撃をしてくるので避けるのが至難の業です。
ですが、それを躱す方法はありますよ。
風纏い状態の風の範囲を広げて攻撃に備える。
これなら風の違和感で攻撃を避けれる筈でしょう……
振り下ろされた鎌を回避すると、別の足が動き風魔法を発動させている。
それが風によって感じる事が可能だが、それと一緒に逆の手の鎌が振り下ろされている。
思った以上に避ける回数が多くなってしまいますね……これでは後手後手になってしまい危険です。
期を見て反撃しなければ追い詰められてしまうでしょう。
しかし、私が持っているククリナイフでは攻撃範囲が違い過ぎて難しい……
それでも、何度か回避を繰り返す内に少しづつ慣れてきている。
なんとか掻い潜る事に成功し、体に攻撃を当てる事が出来た……言葉通り当てただけで傷一つ付けれなかった。
「俺の攻撃を躱して、なおかつ攻撃当てれるやつがぁいるとはなぁ。
だけどそんなナイフじゃ傷つかねぇぞ」
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