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想い

アリの案内でライラの元へと向かう……若干体はダルいが歩く分には問題ない。


「疲れてなーい?」


「大丈夫だ……心配してくれてありがとうな」


「ジンって毎回大変な目に合うよね〜」


「そうだな…なるだけそういう目には合いたくないんだけどな。

だけど、戦争に首を突っ込んでいる以上は避けれないと思うけど」


「助けてもらってるんだもんね〜、ありがとう言わないといけないんだけどね〜」


「気にするなよ。

俺の成すべき事でもあるんだからな」


「そうなんだね〜、ジンの事を詳しく聞いてないから解んない事ばっかだよ」


「機会があれば話してあげるよ。

俺の話しだけ言っても面白くないだろうから、俺が住んでいる世界の話しとか教えてあげるな。

ここにはない色んな物があるから、面白いと思うぞ」


「それいいねーー!

絶対だよーーー!」


「あぁ約束だ……」


「へぇ……その話しは私も聞かせてもらって良いかしら?」


後ろから聞いた事のある声がする……そっと後ろを振り向くとリレイが立っている。


「味方が襲われているから急いで迎えって言われて、来てみればジンが先に来ていて終わらせたって聞けば、次はライラさんとジンが倒れたって聞いて心配して来てみれば意識が戻らないから明日またって言われて………………」


何か怒ってらっしゃる……心配して来てくれたって聞こえたけど、現状は怒りしか感じられないんだけど……


「……そしたら私の家で堂々と口説いてらっしゃるんですか?」


「外の風景や廊下を歩いていて、見た事あるなぁって思ってたらやっぱりリレイの家だったんだな」


「聞きたい答えと違うんだけど……」


「口説いてないって……リレイ達と違ってアリは俺の事は聞いていないからな。

事情を少し教えても支障はないだろ?」


「そう言う事なら……全く…心配したんだから……」


「すまないな、こんな大事になるとは思わなかったからライトにだけ伝えて一緒に来たんだ」


「次は……ちゃんと私達にも教えてよね」


「解った…でも次が無い事を願うよ。

じゃあ、ライラの事も心配だから会いに行ってくるよ」


そう言ってリレイと別れて、再びライラの元へと向かった。


ライラの部屋に着くと、アリはまだ他の負傷者を回復させないといけないと言ってその場から立ち去った。

1人になった俺は、ライラの部屋のドアをノックする……すると、部屋の中から小さな声で入室を許可する返事が聞こえる。

そっとドアを開き中へと入ると、ライラがベッドに座っていた……


「もう起きて大丈夫なのか?」


「ジン……」


「おはようございますジンさん」


奥にいて気付かなかったがライトも部屋にいた様だ。


「おはようライト、急いでいたとは言え置き去りにして悪かったな」


「いえ……先に行って頂けなかったら姉さんは生きていなかったかもしれません……私がお礼を言わなければいけませんが、ジンさんが謝る必要なんてありませんよ。

本当にありがとうございました」


「悪いと思ったらすぐに謝らないと嫌なもんでな……でもライラ、本当に生きていてくれて良かった……」


ライラはその場で泣き出してしまった……


「では私は失礼します。

姉さんの事はよろしくお願いしますね」


そう言うとライトはさっさと部屋から出て行ってしまう……

泣いているライラをどうにかしたいとベッドに腰掛け、そっと寄り添い肩に手を回し抱き寄せる。


「目を覚ましてくれてありがとう……」


「ジン……私を助けてくれた所為で、あなただって危なかったんでしょう?」


「そんな事はないさ、現に丸一日寝たら良くなったしな」


「でも、ジンの意識が戻らなかったって……」


「一時的なもので、ちゃんと戻る保証はあったからな。

そんな事は良いんだ……ライラと今話せているだけで十分だ」


「私の心配ばかりして……私だって不安だったんだから。

そんな事になってしまった私が悪いんだけど……」


「ライラはドワーフ達を守る為に身を呈して戦ったんだ。

誰もその事を咎められる人はいないさ……それに今回は俺の見立ても悪かったんだ。

こんなに短時間に仕掛けて来るとは思ってもいなかったから」


「それはジンの所為じゃないわ、だって仕掛けてきたのは人間達なんだもん」


「そうだが、そこまで読めていなかった自分が情けなくてな……」


「でも気が付いて助けてくれたじゃない、それも咎める様な人はいないよ。

私だって助けてもらったんだから、何一つ悪いなんて思う人はそれこそいないわよ」


「ありがとうな……」


「こちらこそだよ……」


2人で抱きしめ合い、生き続ける事の喜びを噛み締めあった……


「ねぇジン……聞いて欲しい事があるの」


そう言うと抱きしめ合っていた体を離し、お互いの目を合わせる。

ライラは真剣な眼差しで俺を見ている……


「今回の件で、いつ自分がどうなるか解らないって思ったの……戦争中だから当たり前の事かもしれないけど……でも、だからってこのまま死んだりするのは嫌って思った」


「そんな事にはならない…絶対に俺が救ってやるから」


「そうね……確かに今まで助けてもらったよね。

でも、戦争が大きくなればなる程私とジンは離れて戦う事になると思うの……そうなった時には難しいんじゃないかな?」


確かにライラの言う通りだ……違う部隊にいて違う場所で戦っていれば、助けに向かう事自体難しい。

自分の持ち場を勝手に離れる訳にもいかないし、守るにも限度があるだろう。


「私はさっきも言った通り死にたくない……それはあなたと一緒にいたいからって言うのが1番の理由。

だから強くなりたい……強くなって生き続けてずっと好きな人と一緒にいたいの……」



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

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