表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/213

苦悩

試験会場を後にして、夕食前に融合状態での特訓を行う。

少しづつだが馴れてきたが、怠ってしまうと2日間が無駄になってしまうと思い、裏山に移動してきた。


融合状態での腕輪の力をどこまで使えるのか……色々と試して、ようやく感覚・身体共に解ってきた。

後はこれをどこまで伸ばせるかが問題だ……勇者がどれだけ強いかは解らない。

正直に怖い……死んでしまうかもしれないと思う事もある。

そうならない様に鍛え続けるが、相手の強さのイメージが全くないから、どれだけやっても不安しかない……


融合状態を解き、少し休憩を入れる……気が休まる事はないが、体の方は休まないと持たない。


『随分と雑念だらけじゃないか……』


『まぁな……どれだけ強くなれば安心出来るのか解らないし、どれだけ頑張っても負けてしまうんじゃないかと思ってしまうよ』


『確かにな……俺だって心中したかないから一緒に頑張ってる様なもんだしな』


『お互い不安だらけって事だな……』


『その通りだな……』


何時もはこんな風にブラッドから声を掛けてくる事はない……特訓中も話し掛けられるよりは、俺の動きを一緒にイメージしてくれているだけだ……


『拍子抜けするくらいだったら良いのにな……』


『そうはいかないだろうけど、俺もそう思うよ』


『そう言えば、最近日常から話し掛ける事が少なくなってないか?』


『気を使ってんだよ。

頭ん中でごちゃごちゃ言われても面倒臭いんじゃないかと思ってな』


『確かに助かるけど……』


『俺は毎日ショウと話しをしているからな、退屈もしないし寂しくもないぞ』


『そうですか……まぁ、何か気が付いたら何時でも教えてくれよ』


『もちろんそうするさ』


『じゃあ、もうひと汗かいて帰りますか』


もう一度融合状態になり、特訓を再び始める……少しだけでも不安を取り除ける様にと思いながら……




結局真っ暗になるまでやっていた……そこまでやって、ようやく落ち着いた。

ボロボロになった体で部屋まで帰った。



翌朝急に目が覚める……起きた理由は空腹だった。

昨日は部屋に帰るなり眠ってしまっていたようだ……毎食抜いたりしていないから、体は正直になっていた様だ。


何時もの様に修練場で訓練を開始する。

昨日の疲れが若干残っているのか、いつもより体の動きに精彩を欠いている気がする。


ライトはその動きに気がついたのか、相手をリレイに変えてくれた……


朝練の時間を終えて、食堂へと向かう途中にライトから呼び止められる。


「今日はどうしたんですか?

いつもと違った気がしたんで」


「そうか?昨日の晩飯を抜いたから、腹が減り過ぎて動けなかったのかもな」


「そうですか……何かあるなら言って下さいね。

力になれる事であれば何時でも力になりますから」


「そうだな、その時はよろしく頼むよ。

急いで食堂に行こうぜ、腹が減って限界だ……」


上手く誤魔化せていない気がする……意外とライトは鋭いな。

でも、誰かに話しても解決する気がしないんだ……逆に不安を煽ってしまう可能性があるから、この不安感は誰にも話しちゃいけない気がする。

表情に出して気付かれてもいけないだろう……なるだけ気をつけよう。




朝食を済ませて会場に入るとバズとダグは既にやって来ていた。


「おはよう!

なんだかお疲れかい?早く寝ねぇからそんなになんだぞ」


「2人ともおはよう……飲酒していなくて、そんなに調子が良いんだったら禁酒した方が良いかもしれないな」


「バカ言うなって、酒を飲んでりゃあもっと調子が良いもんだ!」


「朝は起きれなくなるけどな……」


「……ごもっともな意見あんがとな。

それでも、試験が終わったら盛大に飲むつもりだぁ……ジンも一緒に飲まねぇか?」


「そうだな、この世界に来てから全く飲んでなかったから、それも良いかもな。

無事に終わったら、思いっきり飲むとするか」


「朝っぱらからお酒の話しなんてどうかしら?」


「おはよう……リレイの嬢ちゃんもどうだ一緒に飲まねぇか?

気を張って面接なんかしてんだ。

ご褒美があってもバチは当たんねぇだろぉよ」


「そんな時間が出来たらね。

私は魔法部隊の訓練もあるから、ハッキリと返事は出来ないけど……」


「確かにな……俺も部隊の訓練を見なきゃいけないもんな。

隊長がずっと不在ってのも問題だろうし……でも、今回は飲みたい気分だし、リュードに許可もらってくるさ。

サンドラ様にも俺から言っておくから、リレイも一緒に飲むぞ!」


「ジンがそう…言うなら……」


「よし!それじゃあ決まりだな。

今回の試験が無事に終わったら、お疲れ様会と称して飲むぞ」


「その為にゃあ、ちゃんと終わらせねぇとな。

今日も一日頑張ろぉや」


「じゃあ、みんな団結したところで、最初の人を呼ぶわよ……」


少し気が楽になった……今まで息抜きを考えてなかったから、気が病んでいたのかもな。

頑張らなきゃいけない事は多すぎるけど、その結果を出す為に根詰めるよりは、少し気持ちに余裕を持たないと続かないよな。


飲み会まで頑張って、やるべき事を終わらすぞ……

受験者が部屋に入り、今日の試験が開始された。



今回もお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想お待ちしています。


次回もよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ