成長
今回はキャメロ目線の話しです。
なんでこんな目に合ってるんでしょう……ガルフさんが僕の言う事は聞いてくれないし、ジンさんは話しを勝手に進めちゃうし……久し振りに食堂でゆっくりご飯食べれると喜ん出たのに。
あぁ、もうすぐ修練場だ……今日1日ガッツリ絞られた後にこの始末……どなたか助けて下さい〜
ジンさんとガルフさんと一緒に修練場へと着いてしまった。
「じゃあ前回の試験と一緒の戦闘と言う事で、2人とも良いな?」
「問題ない!」
「前提から問題だらけですけど、聞いてもらえそうにもないので良いです……」
「それでは始め!」
ガルフさんの武器は体格に似合わないショートソードと盾を持ってる、でっかい剣を振り回す感じなのになぁ……
悠長に考え事してると、ガルフさんは一直線に距離を詰めて来てた。
これ以上距離を詰めさせない為に風魔法を使い、ガルフさんに向かって広範囲に強風を放つ。
すると、ガルフさんはその場で踏ん張る形になり、前進出来なくなった。
次の魔法の準備をして、ガルフさんの対応を待つ……そのままだと前には絶対進めないと思ったのか、横方向に走り始めた。
それを追うように強風を当てていく……すると再び立ち止まったガルフさんは盾を振り上げ、地面に思いっ切り叩きつけた。
上昇する衝撃波を発生させ、強風から逃れるとすかさず斜めに移動し、こっちへと向かって来る。
用意していた次の魔法で狙い定める……こっちに真っ直ぐ向いた瞬間を狙って水弾を多数放つと盾で防御されてしまうが、そこまでは予想通りだ。
本命は盾を利用して視界を奪う事……一気に上空へと飛び上がり、上から再び水弾を降らす。
僕を見失ったガルフさんはまだ周囲を見回している。
だが、周囲の目線で僕の位置に気が付き顔を向けた……その時にはもう遅い、水弾が直撃する。
ガルフさんはその場でうつ伏せになる様に倒れ込んだ……
「ようやく直撃させられたよ……」
サンドラ様の特訓のお陰で魔力操作に磨きをかける事が出来たから、攻撃の幅は広がったけど、対人戦にまだまだ馴れてないから色んな魔法での戦略が組みにくいや……
直撃を喰らったガルフさんの様子を確認すると、傷を負わせる事は出来たけどまだまだ大丈夫みたいで、立ち上がろうとしていた。
追い討ちをかけるべきかなぁ……そしたらもう終わってくれるけど、その後みんなから何て言われるか解んないし……ここは待っとこう。
「キャーメーローオォ!」
ガルフさんキレてますよね……やっぱり追い討ちかけとけば良かったかも……
「降りて来いやぁ!
たたっ斬ってやる!」
「そんな事言われて降りる人いると思います?」
「うるせぇ!
降りて来ないなら下から狙い撃つてやる!」
ガルフさんは魔法を発動させようとしているが、タメが長い……戦闘で使える魔法じゃないなぁ……
どの程度の魔法を撃って来るか待ってみる……ようやく準備が終わったのか土魔法で石を飛ばして来る。
即刻風魔法を発動し、突風で石の全てを吹き飛ばした。
次弾は無く、長いタメの結果が石を飛ばすだけだった様だ……どうやら、魔法はそんなに得意じゃないようだ。
魔法剣は上手かった記憶があるんだけど……
「それならこれでどぉだぁ!」
今度は魔法剣を準備している。
先程の魔法と違いタメも少なく、斬撃を飛ばした。
これの直撃はマズいかな……
横に移動して回避すると、既に次の斬撃を飛ばしてきている。
回避ばっかりじゃ戦いにならない……飛んでくる斬撃に向かって水魔法を同じ様な斬撃にして相殺していく。
何回も何回も相殺を続けると、ガルフさんの攻撃が止まる。
魔力の残量が少なくなったのか、それとも振り続けた腕が限界にきたのか……どちらにしろ撃ち合いは制したぞ!
「ガルフ、まだ続けるか?」
「誰がこの程度で止めるもんか!
キャメロなんかに負けてたまるか!」
諦めてくださらない様子……それなら仕方がないけど、正面から戦って勝つしかないかな。
空中から降りる……接近戦は得意じゃないけど、僕だって頑張ってきたんだ……勝ってみせる!
「観念して降りて来たか……今、たたっ斬ってやる!」
ガルフさんはこれまでの鬱憤を晴らそうと、全力でこっちに向かって来る。
僕は素手だけど、造る事が出来る!
両手に水魔法で圧縮した剣を造る……剣とは言うものの、剣の形状じゃない……圧縮して薄く仕上げているけど、楕円形で尖端に向けて尖らせている。
葉っぱの様な形状にしている。
「なんだそりゃぁ?
訳のわからないもの造りやがって、それごと斬ってやるよ!」
ガルフさんが僕に向かって斬りかかる……それを、造った魔法の剣で受ける様に僕も剣を振る。
剣の切っ先を見て、剣に当たらない様に体を少しずらす……剣が接触すると、ガルフさんの剣が僕の剣をすり抜けていく。
そして、ガルフさんの剣は僕の横を通り過ぎ、僕の剣はガルフさんを斬った……
初見だから通じる手段だけど、接近戦でも勝てたぞ!
サンドラ様のシゴキに耐えた甲斐があったぁ…………
「キャメロ……やり過ぎ……」
「え…あっあぁ……すいません」
ジンさんがガルフさんの元へと向かい、傷を回復させてくれた。
「全く……加減を習って来い。
怪我治すのもシンドいんだぞ」
「本当にすいませんでした!」
「とりあえず、勝者はお前だキャメロ……」
「はいっ!ありがとうございました!」
「ガルフには俺から伝えておくから、ゆっくり飯食ってこいよ」
僕…しっかりと強くなってるんだ……これからも頑張ろう。
けど、明日のシゴキを考えると億劫になってしまった……
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