悶着
バズを揺さぶって起こすが、なかなか唸ってばっかりで起きやしない……それならばとダグを揺さぶって起こすが、同じ反応だ。
簡単に起きない2人に対して、手段を選ばない事にした。
それは魔法を使っての目覚ましだ……流石に攻撃されれば起きるだろうと読んでの水魔法で頭から水をぶっかけるが効果なし、それなら最終手段として氷魔法で顔以外の全身を包み込む……
すぐには反応はないだろうから、その場で少し待つ……
「……さむっ……って、うぉい!?」
「おはようバズ、もうおはようの時間ではないけどね」
「こりゃなんだっ!
寒くて死んじまうって!」
しっかりと起きてくれたので、氷魔法を解除してあげる。
「いやぁ、なかなか起きてくれなくてね。
ちょっと冷やしたら起きてくれるかと思ってさ」
「冷え過ぎさぁ……芯から冷えちまってるよぉ」
「ところで、ここにある酒瓶の量は何かな?」
「それなら昨日飲んじまったんだ。
欲しかったんなら、一言言ってくれりゃあ良かったのに」
「欲しかったとか、羨ましいとかの話じゃなくてな。
どうしてこんな量がこの部屋にあるんだって事を聞いているんだけど?」
「それな……村から持ってきた分と、厨房のあんちゃんに酒はねぇかって聞いたらくれてよぉ。
何やらあんちゃんの家ではワインを作ってるって言うじゃねぇか、お陰でたんまり頂けたってぇ訳よ」
ドワーフの酒好きは間違いはなかったが、こんなに飲むとはな……
「出処は解ったけど、飲み過ぎだろう……」
「ちょっとのつもりだったんだけどな、飲み始めたらワインが美味くて止められねぇんだよ。
全く困ったもんでよぉ、美味いってのは罪だねぇ」
「もう解ったよ……とりあえず俺は、明日の話しをしたくて来たんだ」
「そりゃあいいけどよ。
ダグのやつは冬眠しそうになってねぇか?」
ヤバい……ダグの方を解除するのを忘れていた。
急ぎ解除してダグの様子を確認すると、寒さ関係無しに眠っていた……
「この寒さで寝てられるってどう言う体なんだよ……」
「オイラなんかすぐに飛び起きたってぇのに。
まぁいいや、話しはオイラが聞いておいて後で伝えるさ」
とりあえず明日の打ち合わせを始めた。
色々と考えれる事を言った後に意見を求めるといった内容だ。
あらかたはそれで良いとの事で、明日を迎えるだけになった……ただし寝坊されては困る為、今日は絶対禁酒しろと念を押して伝えた。
バズ達の部屋を後にして、城の裏手にある山へと向かった。
そこで、夕方まで自分の特訓に時間を費やす事にする……昨日は短い時間だが、無茶してしまった為に周りに迷惑を掛けてしまったから徐々に馴れる様にしていく。
融合して特訓を開始するが融合出来る時間が短い為、なかなか進まない。
地道にやっていくしかないんだろうな……
夕方までの特訓を終えて下山する……今日は昨日よりはボロボロになっていないからなんとか城まで無事に帰り着く事が出来た。
お腹も空いたので食堂へと一直線に向かうと、何やら揉めているだ……
何が起きているのかを確認する為に、近くにいるやつに話しを聞く事にする。
「何があったんだ?」
「あの魔法使いの彼が、何やら近接部隊の彼に難癖つけたとか言って揉めているだよ……って、ジン隊長じゃないですか!」
「あぁ、そうだよ。
誰がこんな時に揉めてるんだ……」
覗いて見てみると、キャメロとガルフだった……様子を見ていると、一方的にガルフが怒鳴り散らしている。
「キャメロいい加減謝りやがれ!!」
「なんで僕が謝る必要があるんですか!
僕の言っている意味が判らないですか?」
「この前の試験で勝てたからって調子に乗りやがって……あの結果はマグレだって言う事が解らないのか?」
「そんな事今は関係ないでしょう!
誤解だって言っているじゃないですか!」
何かの見解の違いで揉めてるのか?
キャメロは理解してもらいたいから、何度か説明している様だけど……
面倒だけど、あいつらの所に行って話しを正確に聞くとするか。
「お前ら……こんな人が集まる場所で何してんだ?」
「あっ…ジンさん聞いて下さいよ。
ガルフさんが話しを解ってくれないんです」
「キャメロ……俺が悪者だって言いたいのか!
元はと言えば、お前が言った一言が問題なんだろうが!」
キャメロの方を向き、確認の為にキャメロに聞いてみる。
「何言ったんだお前……」
「普通にご飯食べれて良いなぁって言ったんです」
「俺が何もせずに飯食ってやがるって言い方じゃないか!
悪いのはお前なんだよ!」
多分キャメロはサンドラ様の修行を受けていて、何かをこなせないと飯抜きとかって事が当たり前にあるんだろう……それで羨ましくなって言ってしまったんだろう。
「ガルフ、聞いてくれ。
多分、キャメロは修行で成果を挙げれないと飯抜きとかがあるんだろう……それで、飯を食えているお前を見て羨ましいなったんだって」
「それでも俺を見下してるのと一緒じゃないか!
自分だけ頑張っているみたいな言い方しやがって!」
「それじゃあ、どんだけキャメロが頑張っているか身を持って感じてみるか?」
「ジンさん……本気じゃないです……よね?」
「いや、本気だけど」
「やってやろうじゃないか!
キャメロ、ツラ貸せ!!」
「ここじゃあなんだから、修練場でやるか。
じゃあ、2人とも行くぞ」
「助けて欲しかったのに、悪い方向に向かっているーーー」
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