訓練
朝からライトとの立会いを終えて、次に今日から来た2人に魔力探知のやり方を教えていく。
最初はショウの魔力を探知してもらう……さすがに2人とも魔法を扱っているだけあって覚えが早い。
目隠しでの追いかけっこをショウとしてもらうと、明後日の方向を向く事もなく、ゆっくりだが追いかけている。
これならすぐにでも使える様になるんじゃないか?
「ジンさん、お手隙でしたらもう1戦お願い出来ますか?」
「良いぞ、次はもう少し力を使うから気をつけるんだぞ」
朝の訓練が終わり、皆で朝食を摂りに食堂へと向かう。
結構今日は動いたから随分とお腹が減った……
しかし、もうケインと再戦しても勝てそうな程ライトは強くなっているんじゃないかな。
近々話しをしてみるとするか……
考え事をしながら朝食を済ませると、後ろからデカい声が聞こえてきた。
「ここの飯は美味いぞ!これから毎日これを食べれるのは幸せだぞ」
「オイラもそぉ思う!こんなうめぇ飯は向こうじゃ食えねぇもんなぁ……」
バズとダグだ……大声で食事の感想を言いあっている。
奥で食堂の飯を作っている男性が嬉しそうに眺めている……品とかを抜きにすれば、最高の誉め言葉だろうな。
「バズ、ダグおはよう。
朝から幸せそうだな」
「お、ジンさんか。
そりゃあ幸せさぁ、なんてったってこんなうめぇもんが毎日食えるとなりゃあ、幸せ以外何があるってんだ」
「いやいや、気に入ってもらって良かったよ。
それでだけど、午後からちょっと付き合ってもらいたいんだけど良いか?」
「おう、まだ予定も何もねぇから問題なんてないぞ」
「じゃあ、昼食が終わったら宿舎で待っててくれ。
後で呼びに行くから」
「解った。じゃあうめぇ昼飯食ったら部屋にいるな」
そう言って別れるとすぐにバズ達は食堂の男性におかわりをしに行っていた。
皆はこれから隊の訓練があると言う事で、食堂から出た後に別れた。
そう言えば俺も隊に顔を出しとかないとマズいかな……とりあえずリュードのとこに行って、顔を出しておこう。
憲兵部隊の訓練場に着いた。
中からは既に声が聞こえている……静かに戸を開き中へと入る。
奥にリュードの姿を確認出来ると、邪魔にならない様に外側を回って移動した。
「遅れてすまない、こんな早くから訓練を始めてるんだな……」
「そうだな、他の部隊よりも強くなってもらわねばならないから、いち早く始めさせてもらっている」
皆が、剣技の修得をしている……確かに筋の良さそうな者が多い気がする。
まぁ、リュードが人選したんだから間違いないだろうけどな。
「それでは隊長としての挨拶を行うか?」
「そうしようか、じゃあ頼む」
リュードが訓練場全体に響き渡る程のデカい声で皆を注目させる……若干緊張しながら1歩前に出て挨拶を行う。
「とある事情で合流が遅くなってすまない。
この隊を預からせてもらうことになったジンだ。
今日からよろしく頼む」
注目していた部隊のメンバーが一斉に頭を下げ、全員の圧倒される程の声が帰ってきた。
「それでは各自訓練に戻れ、私と隊長は一旦外すから構わずに訓練を続けていろ」
リュードとその場を離れ、面接室に入る。
「それでは掛けて話しをしよう」
2人とも椅子に掛けてリュードが話し始める。
「まずは私が副隊長で、あなたが隊長と言う事で今後は敬語を使います。
私が普通に話していれば示しがつかず、規律が乱れますから」
「了解、じゃあ俺はそのまま話すと言う事いいんだな?」
「はい…それで大丈夫です。
それでは次に訓練の内容についてお話し致します。
先程も言った通り、他の部隊よりも強くあらねばなりません……その為、訓練事態は他の部隊よりも長く厳しいものにしています。
それは有事の際に他の部隊に負ける様では憲兵部隊としての名折れです。
その為に、全ての技術の訓練を全て行っています」
「なるほど……けどその人物に見合った訓練もあるだろうに」
「そうですが、先程の剣技の訓練を見て頂いたと思います。
なかなかの腕前ではなかったですか?」
「確かに筋が良さそうな面子が集まっていたな……」
「それは剣技だけに限らず、他の技術もそうです。
そう言う人員のみ選びました。
その為、何か突出した技術を覚えさせるよりも、全てを磨かせる事にしたのです」
「そういう理由なら納得した。
なら、訓練内容は全般的に行うと言う事で了解した」
「ありがとうございます。
最後に、部隊の情報に関してです。
先日の会議の時にもお聞きになられているとは思うんですが、我々の隊は憲兵部隊とは名乗りません。
出来るだけ秘密裏に行動しなければならない時があります故、その時にそう言う部隊とバレてしまっていれば、皆が警戒します。
あくまで我々は護衛部隊という名目で存在しています。
くれぐれもその事はお気を付け下さい……以上が隊の内容になります。
何かあれば申し付け下さい」
「いや、リュードが話した内容で納得と理解した。
では、当面は今の訓練を行い、今後色々と考えていく事にしようか」
「解りました。
では、訓練は先程の内容で進めます」
「それと、お願いがあるんだ。
今日の昼からドワーフ領から来た2人を、王に紹介したいと思っている。
それで午後から抜けるけど大丈夫か?」
「それは構いませんし、今後の技術部隊の事もあるのでしょう?
ジン殿が居ない間、隊の事で何かあれば相談します」
「ありがとう……じゃあ午前中はみっちり訓練の様子を確認させてもらうよ」
「それでは戻るとしましょう」
おおよその話しは終わり、訓練場へと戻った。
昼まで訓練を見ていたが、全ての技術レベルはリュードが言っていた通り高かった。
これならば、部隊として文句なしだ……この前向かって来た冒険者達ならば、問題なく掃討出来るだろう。
リュードにもう一度抜ける事を話して食堂へと向かった……
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