土産話
ブラン達と会い話しも終わって、サンドラ様の元へと向かう事にした。
フューリーは残って2人と話しをしておくとの事で1人で移動した……
サンドラ様のいる場所はいつもの仮設住宅で、中に通してもらい、サンドラ様の元に着いた。
「ようやく来たか……待ちくたびれたぞ」
「すいません、話し込んでしまって……
ところで話しってなんです?」
「おぬしは本当に勇者と相対する気なのかい?」
「ですね……それ以外方法なさそうですし、なんとかする自信はありますよ」
「根拠の無い自信よの……だが、それに頼らねばならないだろうな」
「そんなに強いんですね……勇者と言うだけあって特別な何かがあるんですか?」
「絶対的な防御力とふざけた光魔法の威力……それに剣技は止める事など不可能な速さで襲いかかってくる。
全てを突破出来て傷を負わせたとしても、人間族の聖女と呼ばれる存在が一緒にいて、怪我をいとも容易く全開させてしまうわ……」
「八方塞がりって感じですね……ですが、誰か勇者を倒せた人はいないんですか?」
「いないわ……そもそも、加護が全てに優った存在にしているの。
一切の勝ち目はなかろう」
「そうですか、しかし勝たなければならないんですよね……望みが薄くても」
「それしか生き残る道は残っておらぬからな。
次回の戦までに出来るだけの対策は打っておかねばな……
しかし、何故にお主以外に召還されている者がおるのだ?今までで勇者が1人のみの召還しかなされておらぬのに……」
「俺はこの世界に来る途中で、例外的な感じで言われましたしね……」
「とは言え納得がいかぬのだ。
数人召還出来るのであれば、既にこの世界は人間族に乗っ取られておるのだ……しかし、今までそんな事は一切無かった。
違う種族ならば召還出来るのであろうか……考えても答えは出ぬな」
「何故…か……」
『ブラッド解るか?』
『そんな都合の良い答えなんか持ってるかって、俺だって考えているんだ……召還された者はお前さんだけと思っていたからな。
イレギュラーな存在だとは聞いてはいたが……』
ブラッドですら解らないのならば絶対答えは出ないだろう……今考えても無駄な事かもしれない。
解ったとしても勇者と相対する事には変わりはないのだから。
「サンドラ様……いつまで待てば良いんですか?」
「キャメロ!久し振りだな、元気だったか?」
「元気も何も、サンドラ様に毎日しごかれて死にそうですよ!
ジンさんが推薦してくれたお陰で地獄の様な日々で……」
「何か言ったのか?聞こえなかったなぞ。
妾にどうされているのかい?」
「いえ…何でもございません……」
「全く口だけはよう動きよる……お主に合わせないといけないと思ってな、キャメロを呼んでおいたのだ。
最近の修行のお陰で、ようやく使い物になる様になったぞ」
「サンドラ様……人を物みたいに言わないで下さいよ〜」
「でも、強くなったのなら良かったじゃないか。
俺はお前に期待してたんだぞ、素質は素晴らしいもんだって」
「そんな言われ方しても許しませんよ…全く……」
「資質だけならリレイを抜いておるからな、鍛え方次第ではもっと強くなれるのだぞ。
その為の修行をしてやっているんだ……素直に喜べばよいではないか」
「それで戦争に駆り出されて、痛い目や死ぬ目に合って……
いい事ないじゃないですか……」
「死ぬ目には合うかもしれんが、死なないだろ」
「そうかもしれませんが……」
「よし!じゃあ頑張れ!
俺も死なない様に修行すっから、お互い頑張ろうぜ」
「そんなんで前向きになれますかって!
解りましたよ……頑張りますって……」
「心を決めた様だの、それじゃあ今日からもっと厳しく修行させてもらおうではないか」
「……え?」
「じゃあ俺は話しも終わったから帰る。
サンドラ様、よろしくお願いします」
「任せとけ、きっちり仕上げてやるわ」
振り返り、来た道を急いで戻る……後ろから悲鳴にも似た抗議の声を無視して……
城に移動し、数日振りの部屋へと戻って来た。
荷物やらなんやらを持ったままだったので、全て置いてくる為だった。
用事を済ませて戻ったのは夕方だった為、荷物を置いてすぐに食堂へと向かう。
食堂ではライトと会い、今回の旅の話しをしていた。
ライトからは、最近の朝練がないから寂しかったそうだ……明日は付き合って欲しいと頼まれた。
俺も探知の練習や、タニアの戦闘術である格闘魔を練習したかったので丁度良かったのだが……
食事を終え部屋に戻るとリレイが待っていた。
今日は何人に同じ様な話しをするんだろうと思っていたが、リレイの話しを聞くと違う様だった。
とりあえず部屋の中で詳しく聞く……
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