スタートライン
初投稿作品になります。
皆さんに楽しんで頂ける作品になっていけば嬉しいです。
今回もよろしくお願い致します。
彼女の年齢を聞いて大層落ち込んでいた所にドアがノックされライトが入って来た。
「失礼します。お待たせ致しました。って
あれ、リレイ様もいらっしゃったんですか」
「はい、召喚の件で直接謝っておきたいと思っていましたので、お茶を運ばれる時に一緒に来たんです」
「そうでしたか…
ところでジンさん、王に会って頂けないでしょうか?
先程の話しをしたところ、直接話しをしたいとの事でして」
王から直接会って話したいか…
段階的にはもう少し後で話しをしたいと思っていたのだが…
今回の使いを無事完了して、信用を得てからの方がホントは良いんだが
「解りました。国王様に会えるとは光栄です。
断る理由ありませんし行きましょう」
「ライト、先程の話しとは何の事なの?」
リレイはさっきライトと話していた時には居なかったし、その話しは彼女にしていなかったのでキョトンとしている
「リレイ様すいません、それは正式に依頼する事になった時にまたご説明致しますね。
今はまだ決定事項でない事なので、申し訳ありません」
「そうですか、では王との話しが終わったら教えて下さいね」
ライトはリレイに向かって一礼すると扉を開いてくれた。
俺もリレイに一礼してその部屋を後にした。
ところで俺はこの格好で謁見しなけりゃならんのか?
召喚される前は釣りに行くとこだったから、完全に釣り用のウェアなんだけど…
上着が黒の速乾用のポロシャツだが、一応は釣具の有名ブランドのものだ、インナーも速乾用の赤いロンティーで、帽子もこれまた釣具ブランドのキャップ。そのキャップの上に偏光グラスをかけ、下はジーパン。
完全に釣りする気満々のスタイルです…
決して王に会える洋服ではないという訳だ
今までとは装飾が違う扉に連れて来られた。
多分この先が謁見の間なんだろう
ライトの方を見て、目を合わせると軽く頷いてくれた。
間違いはないようだ。
ライトが名を叫ぶと扉がゆっくりと開いた。
またまた急に叫ぶもんだから、緊張していたのもあって、またもやビクついてしまったのは言うまでもない…
この文化に慣れなければいつまでもビクビクしなくちゃならんぞ……
開いた扉の先には、大きな椅子が奥にありそれに座っている人物がいた。
定説道理ならあれが王ということだろう
ライトが前に進むよう案内してくれる。
ある程度の位置につきライト片膝を付き頭を垂れた。
ここの習わしは解らんので取り敢えず真似しておこうかな
「国王様お待たせ致しました。
先程お話ししたジン殿をお連れ致しました」
「両名面を上げよ」
見た目も然ることながら、低いトーンの声で威圧感がハンパない。
うちの会社の社長より恐いよ…
「先程ライト殿より紹介頂いた新垣 仁と申します」
「うむ、ジン殿呼び立ててすまない、我はこの国を預かる者でクレイドル・ブライトと申す。
早速だがそなたに質問したい、そなたは山を抜けて魔族の元へ向かうと申したそうだな?」
「はい、召喚魔法を行われた理由と現状をライト殿からお聞きし状況を打破出来る可能性はあるが、その為の人員を割けないと言う事だったので」
これ以降はあの場所での話もしなければいけないだろう…
嘘が通じそうな相手でもないし、こちらの事をどうするか計りにかけられている様だしな…
「ライトから少し話しは聞いているが間違われて召喚され、それでも我等に協力を申し出た本当の理由はなんだ?」
「私が召喚され、転送されている途中の場所で、こちらの世界を助けるよう仰せつかまりました。
そして、その目的達成の為には力が必要だと伝え、助力になる力を授けて頂きました。
勇者までの力はないですが、お力添えは出来るかと思います」
「なるほどな…何者かは知れぬが、すでに依頼されている訳だな。
間違って召喚された割には、そんな依頼をすんなりと受入れるものだな?
私であれば迷惑だと突っぱねてしまうがな」
国王が言う事は当然だろう…
俺だって帰らせて欲しいと思っているんだから
「そうですね、通常であれば受けなかったかもしれませんが、それが唯一元の世界に帰る為の方法であればやむ得ません」
「そう言う事であったか…嘘はついていないようだし、そなたの申した事で大体の合点はいった。
今までの試すような物言いは失礼した」
やはり試されていたか、真実を話していて助かった。
どうやっているかは解らないが、どうやら嘘をつけばバレる様な物があったんだろう…
嘘を言えば信用は得られないし、折角の謁見自体を無駄にするところだった…
「いえ、この国の現状を察すれば国王様が試されるのは仕方が無いかと存じます。
特に自分は人間であればなおの事だと思います。
それでもご理解頂いてありがとうございました」
「こちら側が召喚したのは間違いない。
それでの手違い…責任はこちらにある。
本当に申し訳ないと思っているよ」
王の話し方が少し柔らかくなり、威圧的な態度もなくなった
プレッシャーも少なくなった、少し気持ちが楽になる
「いえいえ、召喚先魔法の件で私は誰かを恨んでなんかいませんから」
「すまない、迷惑を掛けてしまうのだが 本当にお願いしてもよろしいか?」
「ええ、お任せ下さい。
それと行く前に1つ願いがあるのですが、
こちらの戦闘術を実戦を交え教えて頂けませんでしょうか?
力は得たのですが、それを活かす為の知識と経験が足りませんので」
「了解した。魔族領の事も話さなければなるまいし、準備には少し時間が掛かるであろうから問題なかろう。
戦闘についてはライトの方に聞くとよい」
「お許しありがとうございます。
では、まずはライト殿に戦闘術を教えて頂くとしましょう」
なんとか謁見を無事に終える事が出来た…
流石に緊張したな、だけどこれでスタートラインには立てただろう…
後は結果を残して、信頼を勝ち得て、この試練を乗り越えてやる。
その為にはまず、戦闘に対しての技術の習得は必須だろう…
事前の準備も滞りなくやっておこう、フィッシングウェアじゃ戦闘も難しいだろうし…
動きやすさの点では文句ないけどな
お読み頂きありがとうございます。
誤字等で読みにくいところなどあればお申し付け下さい。
これからもよろしくお願い致します。