3話 恋煩い?
昨日、変換機能がパッカーンと壊れたので、近い内に誤字・脱字総点検しておきます。これからもよろしくお願いします<(_ _)>
聡成が秀章のイタズラに気づいて、仕返しをしようと決めた夜、美伶は勉強を終わらせ、古典ミステリーを読んでいた。ジャンルはあまり関係なく読むタイプらしく、本棚には少年・少女漫画やライトノベルといった若者向けの本から時代小説・海外本・純文学まで幅広く置いてあった。
終盤で犯人が分かり始めた所で電話が鳴り、見ると知らない電話番号だったので、読み終わるまで無視しようとした。
プルルルル……。
一回切れたかと思ったらまた電話が鳴りだしたので、さすがに耐え切れず電話に出た。
「もしもし、真田さん?」
「えーっと、もしかして井領君かな」
「ああ、川口さんが電話番号を教えてくれたから、とりあえず真田さんに連絡して許可を取っておこうと思って」
さくらがあまり面識のない人に、自分のアドレスを教えるのに驚きつつも、秀章なら大丈夫かと気を取り直す。
「まあ、井領君なら別に良いよ、今暇だから、ちょっと話に付き合ってくれない?」
「俺で良かったらぜひ」
という事で、お互いの趣味や部活について話した。2人とも興味が湧いて来たのか話に夢中になった。
「へえ~、作戦で番狂わせが頻繁に起きるんだ、今度練習観に行って良い?」
「ああ、結構ハードだからその辺はびっくりするかもしれないが、自由に観に来てくれ。──俺も今度おすすめの本を聞いても良いか?」
「合うかどうか分からないけど、ジャンルを言ってもらえれば、あらすじを簡単に言うから、そこから興味があったら読んでみて」
「ありがとな──もうそろそろ寝ないと疲れが残るな、また電話かけても良いか?」
「私の方もかけたい位だから、どうぞかけてね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
電話を切った美伶は時計を見て、1時間以上しゃべっている事に驚いた。
「こんなにもしゃべってたんだ……もう少し長くしゃべれたら良かったな──って、何言っているんだろ」
無意識に出た言葉に顔をはたきつつ、読みかけの小説を読もうとしたが、思った以上に集中できず、かと言ってベッドに入っても寝付けない自分にまた驚いていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「こんなに緊張した電話は初めてだ……」
秀章は愛用の寝具に体を預けて、身動きが出来なくなった。去年初出場した、全国大会よりも内心ガチガチだったのに、終わってみると寂しい気持ちが溢れている理由が、秀章にはしっかりと分かっていなかった。
|(とりあえず、勉強でもしようか)
重い体を引きずって勉強をしたが、終わった頃には電気も消さず、布団に倒れるように寝た。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「オラオラオラッ! 相手を殺すつもりでぶっ飛ばせ!」
秀章を潰そうとするディフェンスラインの男たちが、オフェンスラインという秀章の盾になる男たちをぶっ飛ばそうとしていた、ディフェンスラインというポジションは秀章が担当するポジションを潰す役割を持っているので、必死に秀章に向かってガタイの良い体を揺らし突進する、その中で秀章は落ち着いてパスを成功させたり、自分で走ったりするスクランブルというプレーをいとも簡単に成功させた。
やがて練習が終了すると、秀章は聡成から飲み物をもらった。
「秀章お疲れ、ちょっと胃に食べ物を入れておけよ」
「ああ、ありがとな……ん、ごちそうさま」
聡成はイタズラの仕返しに、飽和するほど砂糖を入れた味噌汁を入れて渡したのに、それに全く気付かずに飲み切った秀章を見て卒倒しそうになった。
「お前、大丈夫か!?」
「なんだ? そんな驚いた顔して」
聡成は周りの部員に同じ砂糖入り味噌汁を飲ませて、普通のリアクションをしたのを確認して、秀章の異常さを説明した。
「これを一杯まるっと飲み切ったって、味オンチだっけ!?」
「味覚には凄いうるさかった秀章がおかしくなった!」
「保健室連れていけ!」
担架で保健室に運ばれても、練習時とは打って変わって遠い目をしていた秀章を周りが本気で心配して救急車を呼ぶ騒ぎにまで発展したが、検査をしても問題なく、午後からまた戻ってきたのを見て部員や友達はほっとした。