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フラグを無視して逢いに行こう  作者: 竜胆千歳
第一章 出会いの春は頬を染めて
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3-1話 友の密かな恋心 

毎日更新とか言いながら、昨日更新できなくて申し訳ありませんでした、

その分、今日は2ページ進めます。

※2015.8.12、初登場キャラの名前を変更しました。

 昼食の時間になり、秀章は澪ともう1人、仲の良い女友達と席を囲んだ。


「しかし、戸沢先輩は大胆だったな~」


 女友達の清家叶せいけかなえは人を惹きつける笑顔とセミロングの髪を後ろにまとめたのが特徴の女の子だ、チアリーディング部所属でアメフト部の応援に駆けつけてくれる間柄で、この学校では数少ない秀章の女友達だ。


「すぐに付き合わず、交流を深める事から始めるのがヒデちゃんらしいよね」

「何も考えずに付き合って、お互いを傷つけたくないからな、女性から告白すると別れる確率が下がると言うから、俺よりもちゃんと見て告白してもらったんだろうが、俺もしっかり考えたかった」

「まだ、わたしにもチャンスはあるよね……」

 叶の呟きは、幸か不幸か秀章には届かなかった。


「今日はマグロの南蛮漬けを作ってみたけど、どう?」


 海は自分で弁当や料理を作ってきて、舌の肥えた秀章や叶に食べてもらって料理の腕を上げようとしていた。


「海の料理は上手い、将来良い奥さんになりそうだ」

「ちゃんと褒められているはずなのに、嬉しくないのはなんでだろう……」


 秀章の評価にムッとした海を、叶が励ます。


「ちょっと秀章、海ちゃんに奥さんはないでしょ、いくら家事が上手くて女子力高めで、女装したら男の娘になってキャーキャー言われるお嫁さんにしたい男子ナンバーワンだからって言っても失礼だって」

「2人とも、テ○ビ塔から簀巻きにして吊るすけど、良いよね?」

「「ゴメンナサイ」」


 秀章と叶は女子力の事で半ギレした海に平謝りした。


「本当に、人の嫌な所を何回もイジるのはいい加減に──」

「井領って女をたぶらかす悪魔はどこにいるの!」


 扉を開けて入って来たのはツインテールが似合う、背の低い女子生徒だった、クラスメイトが驚いている中、秀章は海が作ったマグロの南蛮漬けを30回以上しっかり噛んで食べていた。


「アリサ、どうしたの!」


 叶が慌てている中、アリサと呼ばれた女子生徒が秀章たちの所まで来た。


「カナやん、この人は誰? 幼馴染のようだけど……」

「この子は芹沢有紗せりざわありさ、海の言う通り、近所に住んでいる幼馴染みなんだ」

「ちょっと、叶姉さんから離れなさい!」

「ちょっ、うわっ!」


 小さな体を目いっぱい使い、叶から無理やり海を引き離そうとした有紗を秀章が止める。


「なによアンタ、誰なの!」

「俺は井領秀章だ、食事中に黙れとは言わないが、周りの迷惑になる行動は止めろ」


 名前を聞いた有紗は、怒りに肩を震わせて、秀章の襟を掴んだ。


「この悪魔! 叶姉さんをズタボロにしようとしたごみクズ!」


 しかし、襟を掴んだ腕を、秀章は難なく引き離した。


「ちょっとまて、ズタボロにしようとした男と普通にご飯が食える訳ないだろ」

「叶姉さんは脅されているのよ、安心して叶姉さん、この豚は殺処分するから」


 初対面なはずなのに酷い言われ様に、秀章は目を丸くしていた。


「猪突猛進だね……」

「思い込みが激しいけど、根は素直でいい子だよ……」


 顔を押さえた叶の肩に、海は手を置いた。


「大体、なんでそんな話になっているんだ? 叶は心当たりないか?」


 叶はしばらく考え、やがてあっと思い出した。


「聡成が彼女が欲しいって話を元にした面白い話を、大幅に変えて秀章を主役にして有紗に聞かせたんだった……」

「どんな話を聞かせたんだよ」

「恋人が出来なくて暴走した男の子が女の子を襲い始めて、わたしにも襲おうとしたけど、愛の力で正気に戻ったって話」

「その話のせいだね、カナやん、やっぱりテレビ塔で簀巻きの刑に……」

「ごめん、本当に謝るから、──有紗、あのお話は作り話で秀章の友達が彼女欲しいって話を膨らませ過ぎた結果の嘘話だから、秀章に謝りなさい」


 簀巻きの恐怖もあってか、元気のいい叶が真面目な顔をして秀章に謝り、有紗を説得した。

「ふん! 私はまだコイツの事を信用してない、男なんて羊の皮を被った悪魔なんだから!」

「有紗!」


 叶が怒っても、有紗はかたくなに秀章を認めなかった。

「俺を男とかじゃなくて、1人の人間として見たらどうなんだ?」

「えっ……?」


 秀章の言葉は意外だったようで、有紗は気の抜けた返事をした。


「これから俺の事を見ていけば、男嫌いが改善するコツを学べるだろうし、少なくとも俺が叶に危害を加えるヤツかどうか分かるだろ、そこから信用するのもしないのも悪くはないと思うけどな」


 有紗はじっと秀章を見る。


「もし、私の思っている人間だったら?」

「その時は、テ○ビ塔から紐なしバンジーをさせられても文句は言わない、自由にすれば良い」

(絶対に止められるだろうけどね)


 海はツッコミを入れようとしたが、空気を読んで止めた。


「……分かった、しばらくアンタを監視するわ。言っておくけど、これは叶姉さんと私のためだからね! 感謝しなさいよ」


 とりあえず、落ち着いた所で澪がある疑問を口にした。


「ところで、有紗さんって何歳?」

「今年で15歳よ……あっ!」

「そこの女子! 何やってる!」


 その後やってきた教師に、有紗は強制退去させられた。


年下がツンとヤン……秀章と美伶の苦労は始まったばかり。

※テ○ビ塔は名古屋の東○タ○ーのような存在です。

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