倒れ込んだ先にいたのは……
デート?から数日後。
数日後、幼稚園の勤務から戻った私は玄関ホールに入った途端、その場に膝をついた。
なんだろう、目の前がクラクラ……する。
風邪かな?自分の額に手を当てようとした矢先、背後でチャイムが鳴り響いた。
お客様かなと思い、どうにか立ちあがるとノブに手を回した……ところで開いた扉の先に倒れ込んでしまった。
ぽふっと誰かの腕の中にもたれかかり、そのままズルズルと身体が地面に崩れ落ちていきそうになる。
だけど、そうなる前に誰かの力強い腕が私を引き寄せ遠くなる意識に何度も声を荒げていた。
「おいっ、ほのか!ほのか!!」
誰だろう……。頬を軽く叩かれる感覚と、腕の中の温もりに、私の意識は暗闇へと沈み込んでいった。
――。
「……あれ?」
重たい瞼を押し開くと、綺麗な白い色が視界いっぱいに広がった。
ここは……どこ?
だるくて力の入らない身体の感覚と、左腕に刺さる点滴の針を視界に映した私は、
右手の方に何か温かい感触があることに気付いた。
「……獅雪、さん?」
「目が覚めたか?……はぁ、良かった……」
「私……どうして?それに、なんで獅雪さんが……」
「お前の家に行ったら、扉を開けたお前が倒れ込んで来たんだよ。
すげー高熱で、すぐに病院に連れて来た」
「そうだったんですか……」
そっか。だから、私の左腕に点滴の針が刺さってるんだ。
見上げると、点滴のパックがそろそろ無くなる頃だった。
看護師さんが近づいて来て、手際良く点滴の針を抜いてくれると、
「お大事に」と微笑まれた。
「医者の話では、風邪が酷くなってたものらしいから、帰っても問題ないそうだ。
少ししたら、俺の車で家まで送る」
「すみません……。色々ご迷惑かけちゃって……」
「謝らなくていい。蒼にも幼稚園の仕事が忙しいと聞いていたしな。
せっかくだから、明日は休め。ちゃんと休息をとってまた元気に仕事に行けばいい」
「そう、ですね……」
その後、ベッドから下りた私は、獅雪さんに支えられながら駐車場まで向かった。
薬の入った袋を獅雪さんが持ってくれて、ドアを開けた助手席へと私をそっと座らせてくれた。
倒れた時よりは、幾分かマシな身体のだるさと熱。
助手席のシートを倒してくれた獅雪さんにお礼を言って、私は瞼を閉じた。
ごめんなさい、獅雪さん……。貴方もお仕事で疲れているはずなのに、
こんな時間まで一緒にいさせてしまって……。
多分、寝言に出ていたのだろう。
「ごめんなさい……」と呟く私に、
「俺相手に、遠慮なんかするな……。
お前が……だから、……なんだよ」
なんて言ったんだろう……。
まどろむ意識は言葉を断片的にしか捉えられず、私はその優しい声音の中身を聞くことが出来なかった。
眠りに入った私の右手には、温かなぬくもりが変わらず強く繋がれていた……。
風邪や疲労が重なると怖いよねってお話でした。
次のシーンからがちょっと長かったので、短くなりました。
すみません;