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『家族』  作者: Noelia
2/7

日常の終焉

「…っと、これで連絡は以上。あぁ、美浜は掃除が終わってから、職員室に来て。内容は…、わかってるだろう?」

「では、お終いっ!号令!」


「きをつけー、れい!」


「さよーならー」



「うへぇ、まさかの呼び出しかよ」

うう、ここ一週間の連続遅刻がこんな形で返ってくるなんて…。気をつけようと思っても、朝は起きられないからしょうがないじゃん。


「昨日も、一昨日も言ったわよ、そのこと。あなたがちゃんと来れなかったんだから、当然っちゃあ、当然の結果だね。」


「夏佳が冷たいぃぃー」


「しょうがないって思っても、そう思ってるだけじゃ改善しないでしょ?早く掃除終わらせて、大人しく職員室行きな。」


「私の言ったことにリアクションしてよ~。…、はいはい、行きますって。部活遅れるって、部長に言っておいてくれる?」


「オッケー。」


はぁ、、、。家に電話が行かないだけましか。

私は、父さんと進路のことで大喧嘩して、その後半年以上、口を利いていない。また電話が、しかもこんな内容の電話が来たら、あの人は絶対に爆発する。

今も、私は父さんのことが許せない。

発端は、私が志望校を父さんの希望通りにしなかったこと。父さんの望みは、県立の進学校に行くこと。私の希望は、私立の部活に熱心な学校に行くこと。

結局、私が啖呵を切って押し通したけれど、その日から一言も口を利かず、顔すら合わせなくなった。


「はい、掃除終わりー!お疲れ様!」


「ありがとうごさいました。」


憂鬱だぁ…。職員室。


「失礼します。2年3組、美浜です。」

「入って。」


2年生の先生の机は、職員室の真ん中あたり。つまり、先生方に見られまくる位置である。最悪だーっ、、。


「さて、お前、何でこんなに遅刻してるんだ?前…、も、まあ少しはあったが、最近多すぎだぞ?」


「すみません。最近、寝坊する事が多くて。」


「寝坊?部活で疲れて、か?」


「それもあるんですけど、そこに宿題が重なって、寝る時間が削られてしまうんです。」


「でも、宿題はさすがにどうしようもないな。じゃあ、部活をー、そうだな、一週間


プルルルル!プルルルル!


あ、ちょっと待ってくれ。」


「はい、海神第一中学校です。…、えっ?!はい、こちらにいますので、すぐに向かいます。」


ガシャン。


振り向いた山ちゃんの顔は、今にも倒れそうなほど、真っ青だった。


「美浜、ついてきなさい。」


「え?なぜ、どこに?」


「君のお母さんが、交通事故に遭われて…。今、意識不明の重体だそうだ。病院に、行こう。」


うそ、で、しょ?


呆然と立ち尽くした私を、山ちゃんが車に乗せ、病院に着いた。


気づくと、お医者さんが出てきて、事故のことを話してくれた。


「お母さんは、買い物帰りの横断歩道で、信号無視の自動車にはねられたようです。救急車できたのですが、ここについて30分後、午後4時53分に亡くなられました。」


「うそ、でしょ?うそだよね、母さん、母さぁぁんっ!!」


なぜ?どうして、母さんなの?なぜ、どうして…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


こうして、彼女の日常は終わりを告げた。



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