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優しい時間

作者: 三月やよい

この小説は「魔法小説」です。

「魔法小説」で検索しますと他の先生の素晴らしい作品を読むことが出来ます。


他の先生たちのしっかりとしたお話と較べるとかなり

見劣りするかもしれませんが寛大な心で読んでいただけたら幸いです。


一回だけ魔法を使える星を手に入れた。

え?入手経路は秘密。

でも多分本物だと思うの。

一回だけ願いが叶う。

何でも叶うみたい。

世界征服でも?

えっと・・・・何を願おう?


「綺麗になりたい!」

中学生くらいになるとみんな何だかファッションや美容に勤しんでる。

どこのマスカラがいいよ、とかどこの服が可愛いよとか。

マスカラ塗るのもネイルを塗るのも楽しいし着たい洋服のためにダイエットするのも

可愛い髪型研究するのも楽しい。

すっごく綺麗になってみんなをびっくりさせて・・・

そうだなぁアイドルなんかになっちゃったりして!

・・・でも・・・・・

でもママ譲りのタレ目がちな大きな目もパパ譲りの卵形の輪郭も嫌いじゃない。

すっごく美人ってワケじゃないけれど

大好きなパパとママから受け継いだ大事な大事な遺伝子。

そう思うと綺麗にはなりたいって思うけれど

魔法を使ってまで変えたいっては思わないかな?


「頭よくなりたい!」

勉強も難しくなってきたしなぁ。

来年は3年生で高校受験が控えている。

今、中の上くらいの成績をトップにして「末は博士か大臣か」なんて言われてみたいっ!

TVの天才外科医みたいに法外な報酬を請求するけれど腕は神業的とか!!

でもちょっと待って!魔法で良くなった頭ってオトナになってもずっとよいままなの?

しかも天才とバカは紙一重とか言われるし・・・・

ああ!全国模試でよくトップテン入りしているD組の内田くんも頭はいいけれど

ちょっと奇抜な行動していてみんなから不思議君呼ばわりされてる!!

そっか、やっぱり頭良くなってもほどほどがいいのかな?

じゃあやっぱりお勉強するしかないの?いや〜っ(涙


「お金持ちになりたい!」

パパは普通の会社員。

今のおうちは東京郊外に5LDKの建て売り、小さな庭付き。

これって多分平均的な会社員??

そうだなぁ・・・・お金持ちになってお姫様みたいに暮らしたいっ

すっごく大きなお部屋に住んでメイドさんに全部面倒見てもらって・・・

お庭にプールとか!

すごい!そんな生活ってアラブの王様みたい?

お金持ちになったら私の部屋のクッション、

そろそろふかふかじゃなくなってきちゃったから新しいの買ってもらっちゃおうっと。

あ!でも昨日のドラマでは何十億って遺産を巡って家族が殺し合っていたなぁ。

ママってばそれを見て

「お金ってないと困るけれど有りすぎると不幸になるのねぇ」

なんてリンゴを剥いてくれながら言っていたっけ。

そっか、じゃあお金は普通が実は一番かもしれない。


「世界征服」

え?世界って征服して何かいいことあるの?


「不老不死」

どうせ不老になるならばもっとオトナになって綺麗なお姉さんになってからがいいかなぁ

そして不死って何か怖い。

この前友達に借りた漫画の主人公が不老不死の吸血鬼で何か不死について悩んでいたもん。

友達ともパパともママとも一緒にいられなくなっちゃうようなこと願いたくないな。


「宝くじ当たりますように」

ってだからお金は違うしなぁ


「彼氏が出来ますように」

好きな人・・・・

あ、B組の黒沢くん格好良いけれど確か米沢さんと付き合っているんだよなぁ。

だったら米沢さんイイコだし悲しませたくないからいいや。

黒沢くんをすっごく好きってワケじゃないし。

だって話したことないし(笑)


「魔法使いになりたい!」

ってお勉強必要なんだよね?

今せ精一杯だから私には無理かも?


考えれば考えるほど何を願えばいいのか解らない!!!

もうっ何でこう願うって難しいの!?

お願い・・・願う・・・・あ、そういえば新年の初詣でもお願いしたっけ。

そっか。

それと同じだよね。


魔法を使いました。

お願いは「家族がみんなが健康で幸せになりますように」にしたの。

対象人数が多くなっちゃっうとそれだけ効力が薄まるって

取り扱い説明書に書かれていたけれどよくわかんないけれどいいや。

それが多分一番のお願い。


「ただいまぁ」

マイカー通勤しているパパがいつもより30分早く帰ってきたの。

「今日さ、いつも渋滞している道が空いていたんだよ。

 運いいなぁって思って。

 で、ほら、ママとあずみが好きなタルトやさん。

 いっつも駐車場いっぱいのとこ!

 あそこの横通った時にちょうど駐車場が空いたからほら、お土産」

わぁっ嬉しい!

メリーのフルーツタルト大好きっ

「すごい!売り切れてなかったの?」

私はいつも売り切れちゃってなかなか食べることができない

大好きなフルーツタルトを見て大興奮っ

「うん、ちょうど出来上がり時間に入れてね」

パパも何だか嬉しそう。

渋滞を運転していつも大変みたいだからたまに空いていると嬉しいみたい。

「おかえりなさい。じゃあご飯にしましょう。

 今日ね、ブリ大根がすごく美味しく出来たの」

ママも嬉しそうにパパから預かったスーツの上着をハンガーに掛けてあげた。

「おっブリ大根いいねぇ寒い日にあうねぇ」

「パパはそういうだろうなって思って熱燗用の日本酒も用意してるわよ」

「おお!」

パパすっごく嬉しそう。

お酒が大好きなパパはお外ではほとんど飲まなくて

ママのお酌で飲むのが最高っていつも言ってる。

パパはママが大好きなんだろうなぁ。

きっとそれは魔法なんか使ったからじゃなくて

二人の長い時間を大事に大事にしてきたから。

そしてママもきっと同じ。

(やっぱり恋人って魔法で手に入れるものじゃないんだなぁ)

さっき恋人欲しいなんて魔法で願わなくて良かった。


パパがいつもより早く帰ってきてくれてママの料理が美味しい。

そして大好きなフルーツタルトが売り切れてなかった。

きっとコレくらいの幸せが丁度いいのかな?

(ね、魔法使いさん。ありがとねっ)

私はカーテンを開けて暗い夜空を見上げて

今日、下校途中に鴉に襲われているところを助けた

魔法使いを名乗る喋る子猫ちゃんを思い浮かべてみた。

白くてふわふわな子猫ちゃん。

黙っていればすごく可愛いのに話す日本語は何だか関西弁だし

声はオジサンみたいで笑っちゃった。

ちゃんと魔法使いの世界に帰れたかなぁ?

「あ、雪!!!」

ふわりふわりと白い綿毛が空から降ってきた。

今年の初雪。

明日は学校で雪合戦出来るかな?

「あら雪?よかったわね、パパ帰って来た後で」

ママは穏やかな笑顔で言う。

「そうだね、運が良かったね」

やっぱりこれくらいの「幸せ」がちょうどいいかな。


きっと魔法が使えても願うことなんて初詣と同じレベルなんだろうなってトコから書きました。

え?魔法っぽくないですか!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 雰囲気、好きです! 魔法、魔法と考えた時、どういうわけかこんがらがってしまう自分の頭なのですが……。 すんなり入り込めて、主人公に共感していました!
[一言] 魔法小説の企画でご一緒させていただいている猫小判です。 ふわふわとしたどこか優しさの漂うお話で、心が温まりました。面白さを無理強いしていない、自然な雰囲気がまた良かったです。
[一言] こんにちは、このたびはファンタジー小説企画にご参加いただき、真に有難う御座いました! タイトルの通り、優しい気持ちになりますね。 そしてなんだか「ああ、そうだよなぁ」と納得してしまいました。…
2007/01/08 13:31 退会済み
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