お姫様と学校祭。
あの時、あんなのに決まらなかったら親友にバレるなんて…
バレるなんて…ありえなかったのに
今日は学校祭。
星羅のいるクラスの出し物はコスプレ喫茶。
先月、誰かが興味本位で発言したのがキッカケだ。
星羅にとっては良い迷惑である。
「はあ…。なんで俺、メイドの格好してるんだ?」
「女顔だからだろ?」
「女顔言うな!」
メイド服を着た星羅。
執事の服を着た彰。
二人は仲良いし、メイドと執事のペアになったのだ。
「なんだかなぁ…」
星羅は、ある意味正装である格好に緊張していた。
この格好でバレたらどうしよう?と考えていた。
「あ、星斗だぁ~」
「…先輩」
星羅は唯世を見ると嫌そうな顔をする。
「なんで嫌そうな顔するかなぁ…」
「嫌そうな顔なんて…してませんよ?」
メイドスマイル(笑)をする。
「…唯世、その格好ナニ?」
「ナニって…ホスト」
「やっぱりか…」
「なんだよ?」
「別に」
彰は溜め息を吐く。
「それにしても…星斗可愛いねぇ」
「変態だったんですか、先輩」
「変態?」
「なんです?その顔」
「別に~♪」
唯世はニヤニヤしながら去っていく。
「なんだったの…」
「さぁ?」
あれから少し時間が経ち。
「お二人さん、休憩しといで~」
「あ…うん。彰行こ?」
「ん?あぁ」
二人は喫茶店から出る。
「どこに行こうか?」
彰は星羅に聞く。
「んー…。あ、お化け屋敷…とか?」
「学生が作ったお化け屋敷だし面白いよな。入るか」
「うん」
二人はたまたま近くにあったお化け屋敷に入ることにした。
あんな事になるとは知らずに…。
「うわぁ…やっぱ暗いねぇ」
星羅は辺りを見渡す。
「意外と…本格的だな?」
「そうだ…ね?」
「どうした星斗」
「いや…足に何かが…」
「は…?」
二人はゆっくりと足元を見る。
「捕まえた…♪」
「「うわぁぁぁぁあああ!!?」」
お化け役の男子はケラケラと笑いながら手を離す。
それからも、色んなお化けの格好をした男子生徒が二人を脅かす。
「わ!?」
「え…?」
彰がいきなり倒れてくる。
そして星羅は支えきれなくて倒れる。
彰は何かに躓いたらしい。
「ごめ…ん?」
「ちょ…重い」
「あ…あぁ。ごめん、今どける」
星羅は慌てて立ち上がる。
「は…早く出よ」
「あ…あぁ」
二人はギクシャクしながら外に出る。
(今…彰の手が…胸に)
(今…胸…あったよう…な)
放課後。
星羅は彰に屋上に呼び出された。
「どうしたんだ?」
「あ…いや…」
星羅は彰に問う。
でも、彰は黙る。
「あ…!?」
「やっぱり…女だったか」
いきなり肩を掴まれるとボタンを引きちぎられる。
「な…何するんだよ!?」
「正体バレてるのにまだ続けるんだ?」
「そ…そうゆう言い方…無いだろ?」
「なんで騙してた?」
「…理由が…」
「…」
「……双子の弟が行方不明になって…だから俺…」
事情を彰に話した。
途中泣きそうになりながらも。
「………ふぅん。じゃあ、担任は知ってるんだ?」
「あぁ。後は…先輩には時間の問題かな、と」
彰は何かを閃いたかのように星羅を見る。
「な…何?」
「髪の毛…ウィッグ?」
「え?あ…あぁ。まあ」
「取ってみてよ」
「え?あ…うん」
疑問に思いながら取る。
彰の前には今までに見たこと無いほどの美少女がいた。
「あの…もう良いかな?」
「…」
「!?」
彰は無言で星羅に――――…。