表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/94

クール系女子 ―「汗とシャツ」

湿気を帯びた空気が肌にまとわりつく。


陽射しはまだ強く、汗がひとしずく、首筋を伝って落ちる。


シャツが少し湿り、肌にぴったりとくっつくその感覚に、私は顔をしかめることもない。


ただ冷静に、そのまま何も言わずにいる。


クールな自分を崩さないために。




私は決して、感情を表に出すことはない。


周囲が何を思おうと、私はいつも無表情で、冷静を保つ。


汗が流れてシャツに張り付いても、それが私を動揺させることはないはずだ。




でも、シャツが汗で湿る感覚、


そのぬるっとした感触に、少しだけ違和感を覚えた。


こんな時でも、心の中ではそれを気にする自分に気づいて、


内心で少しだけ、自分を責めている。




「こんなこと、気にしても仕方ないのに。」




そう思いながらも、シャツがぴったりと肌にくっつくその感覚に、


ふとした瞬間、心が乱れるのを感じた。


冷静を装っているけれど、その中にほんの少しだけ、


あなたに対しての優しさが顔を出す。




あなたが目の前にいるとき、


私はなるべく無表情を保とうとする。


汗が流れてシャツが肌に張り付いているその瞬間も、


あえて何も言わずにいる。それが私のやり方だから。




けれど、内心ではあなたのことを気にしていることに気づいている。


私の目線が、少しだけあなたの汗ばんだシャツに向けられることに、


自分でも驚く。




「…別に、どうでもいい。」




そう言いながら、シャツが湿った部分を少しだけ手で整える。


それが私の冷静さを保つために必要だと感じているから、


無理にでも、平静を装おうとする。




でも、シャツに染みた汗が、まるであなたの気持ちを物語っているようで、


私はその一瞬に、あなたを思う気持ちが強くなった。




汗が私のシャツを湿らせていく、その感覚が


無意識にあなたを感じさせる。


私はあなたに優しさを示す方法を知らない。


でも、この湿り気が、少しだけ私をあなたに近づけるように感じてしまう。




「気にしなくてもいいよ。」




無表情でそう言うけれど、内心ではその言葉に続ける言葉が見つからない。


汗が背中に流れ、シャツが貼りつくその感覚が、


私に何も言わせなくなる。




でも、あなたが少しだけ手を差し伸べてくれる瞬間、


私は何も言わずにその手を握り返すことができる。


感情を表に出さない私の心の中では、


あなたへの優しさが静かに流れている。




「ありがとう。」




無表情のまま、私はその言葉を口にする。


ただそれだけで、私は心の中で満たされるような気がした。


あなたがそばにいるだけで、私は少しだけ穏やかになる。




シャツが汗でぴったりと張りついていることに、


その意味を今は理解できるようになった。


感情を表に出すことなく、ただ静かにあなたを支える。


それが私なりの優しさだった。




「もう少しだけ、ここで休んで。」




私はまた、冷静な表情を保ったまま、


あなたを気遣うようにその言葉を口にする。


でも、内心ではその一言にすべての想いが込められている。




汗がシャツに染み込んで、ぴったりと肌に張り付くその瞬間、


私は少しだけ胸が熱くなる。


冷静に振る舞っているけれど、その心の中には、


あなたに対する優しさが隠れている。




その優しさが、ほんの少しだけ私を不安にさせる。


感情を表に出さないことで、


私はあなたを傷つけているのではないかと心配になる。




「あなたには、何も言えない。」




そんな言葉が、心の中で響いてくる。


でも、あなたが少しだけ笑ってくれると、


私はその笑顔を見守ることで十分だと思う。




汗で濡れたシャツが、私に何も言わせなくする。


そのぬるっとした感触が、あなたの心に触れているようで、


私はただ、それに身を委ねることにした。




冷静で無表情を装っているけれど、


心の中ではあなたのためにすべてを捧げる気持ちが、


静かに静かに広がっていく。

電撃大王連載中

挿絵(By みてみん)

電撃コミックスNEXT

⑦巻2025年10月27日発売☆

挿絵(By みてみん)

原作継続中

オーバーラップ文庫

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ