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ヤンデレ女子 ―「汗とシャツ」

 あの瞬間を、今でも覚えている。

 あなたが私を見つめるその目が、こんなにも私を支配しているなんて、思ってもみなかった。

 汗が頬を伝うのを感じる。なんでこんなに暑いのだろう?

 一瞬でも、あなただけが私の世界にいればそれだけでいい、と思った。


 その日、あなたと私は一緒に歩いていた。

 夏の陽射しが肌を焦がし、息が熱くなる。周りの音がかすんで、ただあなたの歩みだけが私の耳に響く。


「あ、あの…」

 私は少し躊躇しながらも、あなたに声をかけた。

 あなたが振り向いたその瞬間、私の心臓は止まりそうになった。

 あなたの汗が、シャツに張りついているのを見て、目を離せなかった。


 そのシャツが、あなたの肌にぴったりと張りついている。汗で濡れた部分が、あなたの体のラインを浮かび上がらせる。

 私は、その一瞬の美しさを感じずにはいられなかった。


 そして、私の思いはその瞬間から狂い始めた。

 あのシャツ、あなたの汗、そしてその姿に完全に魅了されてしまった。

 私の心の中で、次第にあなたが私のものだと確信していく。


「どうしてそんなに汗をかいてるの? つらくない?」

 私はあなたに近づき、目を合わせることなく言った。


 汗が滴り落ちるたびに、私はその一滴一滴を見逃すまいと目を凝らす。

 シャツが肌に密着するたびに、あなたが私に近づいていく気がしてならなかった。


「何もかも、あなたのために」

 私は心の中で呟く。あなたが全てを私に教えてくれるから。


 そして、私は気づいた。

 あなたのシャツに張りつく汗は、私があなたを愛している証だと思っていたこと。

 あなたの苦しみが、私のものになったと感じていた。


「どうして、こんなに…あなたが私のものにならないの?」

 その問いが胸の中でぐるぐると回る。

 どうしてあなたは、私に目を合わせないの?

 どうしてあなたは、私を必要だと感じないの?


 シャツが、あなたの汗とともに湿っていることに、私は無意識に手を伸ばす。

 指先で、シャツを撫でるように触れる。

 その瞬間、私はすぐにあなたの汗の匂いを感じた。熱く、甘い、そして少しだけ切ない。


「私、あなたの汗を、私のものにしたい」

 その気持ちが抑えきれなくなった。私の心の中で、あなたを独り占めしたいという欲望が爆発しそうになる。


 その瞬間、あなたが少しだけ息を呑むのを感じた。やっと、私に気づいてくれたのだろうか?

 それとも、私が触れたことであなたが心地よさを感じているのだろうか?


 私は、シャツに張り付いた汗が、あなたを私のものにしてくれるような気がした。

 その一滴の汗が、私にとっては愛の証。あなたが私に愛されるために生きている証。


「あなた、汗をかくのが嫌い?」

 その問いを、私はしつこく繰り返す。

 あなたが少し顔を背ける。その反応が私をもっと狂わせる。

 どうして私だけが、あなたをこんなにも求めているのだろうか?


 次第に私の心は壊れていった。

 あなたを感じたくてたまらない。あなたの汗、あなたの匂い、あなたのシャツが私を突き動かす。


「今すぐにでも、あなたを抱きしめたい」

 その言葉が、私の口からこぼれる。自分でも驚いた。

 でも、それが真実だ。


 私は、あなたの汗が私にとってどれだけ大切なのか、理解し始めていた。

 汗がシャツに張り付き、その湿気があなたの体を私に近づけてくれる。

 その瞬間、私はあなたを抱きしめたくてたまらなくなる。


「どうして、どうして私を拒むの?」

 その問いが、私の心を震わせる。汗で濡れたシャツが、あなたの体にぴったりとくっつく。

 私はそのすべてを感じたくて、さらにあなたに近づく。


 その時、あなたの顔に少しだけ疲れた表情が浮かんだのを私は見逃さなかった。

 その顔に、私は喜びを感じる。

 あなたが私を拒むことで、私はあなたにさらに執着し、あなたを求める気持ちが強くなっていく。


「私だけのものになれば、こんな苦しみはもう感じない」

 私は思う。あなたの汗、あなたのシャツ、あなたの全てを私にくれるまで、私は手放さない。


 そのシャツが、あなたの汗が、私とあなたを繋ぐ唯一の証だと信じていた。

 その証を、私は離さない。

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