3-6行き来する火の玉⑥
後日、少年は再び火の玉に出会います。岡本の火の玉が話しかけてきて、兎田の火の玉が後で合流しました。この日も吉見を探索していたのです。
少年は疑ったのです。この火の玉たちがボヤ騒ぎの原因だと。それを率直に言うと、笑われました。
どうしてそんなことをする必要があるのか? そう質問が返ってきました。少年は言葉に困窮しました。
火の玉と火事を連想しただけなのです。子供の安直な思考です。それをそのまま伝えるのです。
そうしたら、さらに笑い声が大きくなりました。少年は恥ずかしく思いました。馬鹿にされていると思ったのです。
涙目で恥ずかしがる少年に気づいて、火の玉たちは言い逃れをします。しかし、どこまで行っても馬鹿にした心情があったのは確かです。笑いは相手を馬鹿にした時にだけ生まれるものなのです。
馬鹿にしていないよ、勘違いさせてごめんね、大丈夫大丈夫、と
色々と慰めの言葉を矢継ぎ早に言われて、少年はとうとう泣き始めてしまいました。少年は自分でもどうして泣いているのかわかりません。
ワンワンと泣く少年を見て、火の玉たちはいよいよ困ってしまいました。まさかこんなことになるとは。そう心に汗をこぼすのです。
そこに近くを歩く老婆が駆け寄ってきました。迷子になって泣いていると確信したのです。幽霊が見えないのだから仕方がないです。
老婆は親身になって少年に話しかけました。どうしたのどうしたの? 泣き崩れる少年に老婆は話し続けます。
そして、急に癇癪を起こすのです。「このくそガキゃ!」と吐き捨てていきました。この老婆はなんだったのでしょうか?
それを見て火の玉たちは口をあんぐりと開けるような心情でした。優しい老婆が子供をあやすものだと予想していたからです。しかし、優しい老婆は幻想でした。
老人というものは、気が短く頭がおかしいものが多いです。いい人ほど早く死ぬのですから、当然の帰結です。もちろん、この意見は偏見です。
こんな役立たずのガンが世の中には蔓延っています。しかし、それは必ずしも全て悪く進むわけではありません。少年が泣き止みました。
心配されるほど泣いて、突き放されるほど泣かなくなるのです。その泣く原理は解明が難しいのです。言葉には涙をくい止める緊張を緩和させる力があるのかもしれません。
言霊がどうとかは置いといて、少年は目を腫らしていました。鼻水をズビーっと吸い込み指で目をこすります。落ち着いたところで会話は戻ります。




