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3-3行き来する火の玉③

吉見をウロウロする火の玉がいます。それは少年より頭1つ大きいものでした。宙をスズメのように飛んでいたところを呼び止めました。

まさか呼び止めることができると思いませんでした。少年は降りてくる火の玉に対して後ずさりします。犬は尻尾を振ります。

後ずさりしたのは未知なるものへの警戒もあったのですが、熱さから逃げることもありました。しかし、火の玉は熱くありません。それは不思議な感覚です。

熱いと思ったものが熱くない。齟齬が感覚に起こります。無いものを掴むかのように指が丸く折れました。

火の玉が言葉を放ちました。「なんですか?」と。月並みな言葉です。

少年は異質なことに言葉を失いました。言葉を話すと思わなかった火の玉が言葉を発することは、月並みではありませんでした。月並みですが、月のように黄色い炎でした。

火の玉は確認するように繰り返しました。「なんですか?」と。その声は女性の柔らかさがありました。

 少年は、火の玉が女性かとききました。火の玉は肯定しました。少年は正解したことに満足しました。

 そのまま立ち去ろうとした火の玉を急いで呼び止めました。火の玉は後ろ髪をなびかせるように炎を揺らしました。そこに艶を感じた少年でした。

 火の玉が少年の目と鼻の先に詰め寄りました。暑いわけでもないのに頬を赤くした少年です。少年は自分に起きたことを理解できなかったが、意識したのです。

 火の玉は三度目の「なんですか?」を発します。少年はもじもじとまごつきました。顔のない火の玉は不思議な面持ちでした。

 少年はどもりながらも母方の祖父のことを聞きました。写真をまじまじ見た火の玉は、横に振って否定しました。祖父のことを知らないかききにいくと、知らないと言われたのです。

少年は気を落としませんでした。いつものことです。それよりも火の玉のことに興味を移したのです。

少年は言葉が通じることに驚きます。よくよく話を聞くと、元が人間のようです。それなら言葉が通じるらしいです。

異形の者でも元が人間なら言葉が通じるのは少年には勉強になりました。他にも知りたいことが湯水のごとく溢れてくるのです。そして、火の玉の昔話を聞くのです。

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