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2-6頭だけの犬⑥

そんなときです。蛇が襲ってくるのです。樫井川に架かる橋ほどの長さでした。

それが頭だけの犬にまかれた餌なのは自明のことでした。頭だけの犬が迎え撃とうとしたら、人が犬を叩き切るのです。それは早いことでした。

少年たちはあっけにとられました。蛇はいつの間にか消え、男が1人いました。それは悪霊退治の人らしいです。

話を聞くと、おびき寄せるために蛇を放っていたらしいです。どうしてかと言うと、自分の先祖の失態だからと言うのです。つまり、頭だけの犬はお世話になった飼い主の子孫に出会えたのです。

頭だけの犬が探していた子孫だったわけですが、予想外の出会い方でした。その子孫は、荒らしまわっていると噂の頭だけの犬を退治するために躍起になっていたようです。先祖が巻いた迷惑の種を断罪するためです。

子孫からしたら、申し訳ない気持ちでいっぱいなのです。だから、これで肩の荷が降りてホッとした柔らかい表情になりました。ようやく先祖から続く厄介事から解放されるのです。

子孫は頭だけの犬行動原理を知りませんでした。ただ単に悪霊になったとしか思っていませんでした。すれ違いが起きていたのです。

知らなかった? 知っていた? そんな二択を聞く状況でもありませんでした。

少年は頭だけの犬の行動原理を知りません。犬は子孫の行動原理を知りません。頭だけの犬も、子孫も、互いに行動原理は知りません。

誰ひとりとして相手を理解できなかったのです。そこで起きたことが悲劇なのに、理解できないのです。言葉の壁が、悲劇を悲劇たりえなくしたのです。

互いに前向きに考えるのです。悪霊退散できた、成仏できた、子孫に出会えた、迷惑から解放される。同じ事象でも見方はちがうのです。

頭だけの犬は成仏しました。それだけは共通の認識です。見方によってかわる認識のものではなく事実のものです。

少年は写真を見せました。子孫は首を横に振りました。少年の人探しは続くのです。

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