表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

創造の進化(真価):1

老鍛冶師との出会いは、優希の「創造」スキルに新たな可能性を示してくれた。ただ魔物を倒すだけでなく、手に入れた素材を活かし、自らの手で武器や道具を生み出す。それは、宗志のような攻撃スキルとは異なる、優希ならではの戦い方になるはずだ。


翌日、優希と幸司は再び老鍛冶師の元を訪れた。


「じいさん、俺の『創造』スキルで、何か武器を作ってみたいんだ」


優希が意気込むと、老鍛冶師はニヤリと笑った。


「ほう、その意気やよし! だが、いきなり複雑なものを作るのは難しいだろう。まずは、簡単なものから試してみるんだな。例えば…お前さん、剣の腕はまだまだひよっこだが、短剣くらいなら作れるかもしれねえぞ」


老鍛冶師は、ロックトロルの素材の切れ端を優希に差し出した。


「まずはこの素材で、簡単な短剣を作ってみるんだ。俺が隣で見ていてやるから、安心しろ」


優希は老鍛冶師の言葉に頷き、ロックトロルの素材を受け取った。幸司も優希の隣に立ち、その様子を静かに見守る。


優希は素材を手に取り、意識を集中する。脳裏に、シンプルな短剣の形を思い描いた。刃の部分は鋭く、柄は握りやすいように。しかし、イメージはできるものの、それを現実の形にするのは想像以上に難しい。素材は優希の意図に反して、不規則に歪んだり、ひび割れたりした。


「くっ…!」


優希は額に汗をにじませながら、何度も試行錯誤を繰り返す。その度に、素材は形を変え、そして崩れていく。


「焦るな、優希。創造とは、そう簡単にいくもんじゃねえ。だが、諦めずに試行錯誤することが、スキルを成長させる道だ」


老鍛冶師の言葉に励まされ、優希は再び集中した。失敗を重ねるごとに、優希は素材の特性や、自分の魔力の使い方を少しずつ理解していく。


そして、何度目かの挑戦で、ついにそれは形になった。


優希の手に収まる、小ぶりながらも鋭い刃を持つ短剣。ロックトロルの素材特有の、鈍い光沢を放っている。完璧とは言えないまでも、それは確かに「短剣」の形をしていた。


「できた…!」


優希が歓喜の声を上げると、幸司も感嘆の声を漏らした。


「すごいな、優希。本当に短剣を作ってしまった」


その瞬間、優希の全身に、温かい力が流れ込むのを感じた。そして、彼のステータスに変化が起きた。


優希 Lv1


体力 220


攻撃力 50


防御力 50


スピード 120


スキル アイテムボックス、創造 Lv2


「創造」のスキルレベルが、Lv1からLv2へと上がっていた。優希は驚きと喜びの表情で、自分のステータスを見つめた。


「スキルレベルが…上がった!」


老鍛冶師は満足そうに頷いた。


「やはりな。創造のスキルは、実際に何かを作り出すことで成長する。レベルが上がれば、もっと複雑なものや、より強固なものを作れるようになるだろう」


優希は、自分の作った短剣を手に取り、その感触を確かめた。Lv1の時とは違い、より明確に、そして細部までイメージが鮮明に浮かび上がる。


「これで、もっと色々なものが作れるようになるのか…!」


優希の瞳には、新たな決意が宿っていた。


老鍛冶師は、優希が作った短剣を受け取り、それを検分した。


「ふむ、Lv2にしては上出来だ。これなら、俺が少し手を加えれば、十分に実戦で使えるようになるだろう。幸司の短剣も、この素材でさらに強化してやる」


老鍛冶師はそう言って、優希が作った短剣と、幸司の短剣を手に取り、鍛冶場へと向かった。


宗志への対抗策

強化されたロックトロルの短剣と、優希が創造した短剣を手に、二人は宿屋へと戻った。優希の「創造」スキルがレベルアップしたことで、彼らの冒険は新たな局面を迎えるだろう。


「これで、宗志にも見返せるかもしれないな」


優希が呟くと、幸司は微笑んだ。


「宗志は派手な攻撃スキルを持っているが、それだけではこの世界で生き残れない。優希の『創造』は、状況に応じて様々なものを生み出し、俺の『境地』は、どんな状況でも対応できる力を与える。俺たちには、俺たちなりの戦い方がある」


幸司の言葉に、優希は力強く頷いた。宗志のように力任せに突き進むのではなく、自分たちのスキルを最大限に活かし、知恵と工夫で困難を乗り越える。それが、優希と幸司の目指す道だ。


彼らは、王都周辺での魔物討伐を続けながら、優希は「創造」スキルを磨き、幸司は「境地」のさらなる解放を目指すことを決意した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ