創造の使い道
ギルドでの報告を終え、優希と幸司は王都の宿屋へと戻っていた。日が暮れ始め、宿屋の談話室には冒険者たちの賑やかな声が響いている。優希は自分のスキル「創造 Lv1」について考えあぐねていた。ゴブリンに投げた石がわずかに軌道を変えたあの現象が、果たしてスキルの本質なのか。
「なあ、幸司。『創造』って、具体的に何ができるんだろうな?」
優希が幸司に尋ねる。幸司は、テーブルに広げた地図を眺めながら答えた。
「まだLv1だから、できることは限られているのかもしれない。でも、さっきの石の軌道を変えたのを見るに、何らかの物質に干渉する能力なのかもな。もしそうなら、色々な応用が考えられる」
幸司はそう言って、優希がドロップしたスライムの結晶を指差した。
「試しに、そのスライムの結晶を何か別の形に変えてみたりできないか?」
優希は半信半疑で、アイテムボックスからスライムの結晶を取り出した。手のひらに載せ、意識を集中する。すると、彼の脳裏に、結晶を小さな球体にするイメージが浮かんだ。次の瞬間、結晶はわずかに震え、確かに小さな球体へと形を変えた。
「おお! できた!」
優希は驚きと喜びの声を上げた。幸司も目を見開く。
「これは…すごいな。物質の形を変える。あるいは、何かを無から生み出すこともできるのか…?」
幸司は考え込むように腕を組んだ。優希の「創造」スキルは、彼が想像していたよりもはるかに可能性を秘めているように思えた。
ギルドマスターの助言
翌日、優希と幸司は再びギルドを訪れた。新たな依頼を探していると、ギルドマスターのレンが声をかけてきた。
「勇者様方、いかがお過ごしかな? 依頼の進捗は順調かね?」
「はい、ギルドマスター。おかげさまで、優希のスキルも解放されました」
幸司がそう答えると、レンは興味深そうに優希に目を向けた。
「ほう、それは喜ばしい。どのようなスキルだったかね?」
優希は少し照れながら、「創造というスキルでした。まだLv1ですが、簡単なものなら形を変えたり、小さくしたりできるようで…」と説明した。
レンは優希の話を静かに聞いていたが、彼の表情には驚きと、かすかな興奮の色が浮かんでいた。
「創造、か…それは、この世界でも非常に稀有なスキルだ。使い方次第では、魔王すら凌駕する可能性を秘めているかもしれない。しかし、その分、扱いには細心の注意が必要だ」
レンの言葉に、優希と幸司は真剣な表情になった。
「君たちの現在の実力では、まだ無理は禁物だ。しかし、これからの成長を考えると、ただ魔物を倒すだけでは効率が悪いかもしれん。王都には、魔物の素材を加工してくれる職人がいる。彼らの元で、素材加工を学ぶのも良いだろう。そうすれば、君の『創造』スキルも、より実用的なものになるかもしれん」
レンの助言は、優希と幸司にとって新たな視点をもたらした。魔物を倒してレベルを上げるだけでなく、手に入れた素材を活かし、自らの手で装備を整えたり、役立つ道具を生み出すこともできる。
「ありがとうございます、ギルドマスター。参考にさせていただきます」
幸司が深々と頭を下げると、優希もそれに続いた。
次なる目標
ギルドマスターの助言を受け、優希と幸司の次の目標は定まった。まずは、魔物の素材を集め、それを加工してくれる職人の元を訪れること。そして、優希の「創造」スキルをさらに深く理解し、その可能性を広げることだ。
「よし、まずは素材集めの依頼だな」
優希は意気込みを新たにし、幸司も静かに頷いた。
彼らは再び、森へと足を踏み入れる。スライム、ゴブリン、そしてそれ以上の魔物たち。彼らとの戦いを通して、優希の「創造」スキルはどのように進化し、幸司の「境地」スキルはどのような真価を発揮するのだろうか。