【第三章】私とスネコスリがフェレットでスネカジリ【二十七話】
「カラカサ! 買って来たぞ! フェレット用の檻というか、フェンスか? これ? これで閉じ込められるのか?」
フェレットと言えば、これだろう、と、そう思って買って来た檻は天井がない、檻と言うよりかは柵だけの物だ。
うーん、勢いで買って来たけど、これであの素早いスネカジリを閉じ込められんのか?
でも、まあ、カラカサがいる以上カラカサの脛に夢中だろうし、逃げだしたら逃げたでいいか。
「色々と買いこんじゃって良いんですか?」
と、トウフが私を見て来る。
そこそこ値段はしたけど、トウフがネイルを作って売った金だしな。
まあ、いいさ。
「昔フェレット飼いたかったんだよ。それに買って帰って来てからそんなこと言うなよ、トウフ」
そう、フェレット飼いたかったんだよな。
理由は何だっけか。友達が飼ってたとか、そんな理由だったか?
まあ、子供なんてそんなもんだよな。
「スネコスリは、その、フェレット? とは違うと思いますよ」
トウフは心配そうにそう言ってくるが、逃げ出したところで足に擦りついてくるしかしてこないんだし、どうでもいいだろう。
それもカラカサと言う美脚の持ち主がいる以上、私に被害が及ばないしな。
それに、ほら、トウフも言ってたじゃないか。
「でもあれだろ? 影響を受けるんだろ? 妖怪は。名前をフェレットにすれば、フェレット化するんじゃないか?」
スネコスリの名前をフェレットって名付ければ、存在が揺らいでフェレット的な存在になるんだろ?
そう言う話だったよな。
私がそう言うとトウフは、
「え? えぇ、そんな恐ろしい事考えてたんですか!?」
驚いて、すんごい目で私を見て来た。
あれ? 割と引いてる?
やっちゃダメなことなんか?
トウフというか、妖怪視点だと確かに恐ろしくはあるか?
「そんな事より早う解放しておくんなんし」
私が、スネコスリにフェレットと名付けるのをやめておいた方が良いのか? と悩んでいると、カラカサが我慢の限界だったが非難がましく言って来た。
まあ、いつまでもゴミ袋の中ってのは嫌だよな。
「はいはい、えっと…… まずはこの柵を作って、カラカサを囲んで……」
まずはフェレット用の柵を組み立てていく。
組み立てると言っても柵と柵を合わせて行って囲いを作るだけだけど。
「これ、天井ないんですけど、本当に平気なんですか?」
出来上がった囲いを見て、確認するようにトウフは聞いて来た。
確かにな。私もそう思っていたところだよ。
でもな、もう買っちゃったんだ。
フェレットと言えば、私の中ではこれなんだよ。
「スネコスリってのは空飛ぶのか?」
私はトウフにそう返した。
飛ばないなら平気だろ、と自分に言い聞かせながら。
「飛びはしないと思いますが、あの速度ですよ? こんな柵くらい飛び越しちゃいそうじゃないですか?」
トウフ。おまえは賢い。
もっともな意見だ。
「うーん、そうしたら……」
「そうしたら?」
「カラカサの足にずっとまとわりついていて貰おう。私は解放されたからな」
私の問題は既に解決している。
後は、カラカサとスネコスリの問題だ。
すべてを悟ったカラカサが、
「諸行無常でありんす」
無念そうにそう言った。
そんな事はさておき、柵の中で二重のゴミ袋にくるまれているカラカサの袋を解いていく。
「さてと、じゃあ、袋を開けるぞ?」
「あい」
ゴミ袋自体どこも破けてはいない。一枚でも良かったくらいだ。
だが、その一枚のゴミ袋の封を切った瞬間だ。
なにかが飛び出し、柵の中を駆け回る。
だが、柵を抜けることも飛び越えることも出来ないようだ。
流石、フェレット用の柵だ!
スネコスリ対策にもばっちりだ!!
「抜け…… 出せてないな?」
細目にして、柵の外から柵の中を確認するがスネコスリは柵から抜け出せていないようだ。
必死に柵の中を駆けずり回っている。
そして、しばらくすると息を切らしたのか、無駄だと分かったのか、柵の中の中央付近に立ち止まる。
スネコスリが一度立ち止まると、細目にしなくてもちゃんと見える。
その姿は…… なんというか、黄色いきつねのような存在だ。いや、これは完全に黄色いフェレットだ。
やっぱりフェレットなんじゃないか?
いや、しかし、かわいいな。この小動物。
「ヒト…… ヒトよ…… ワチをここから出せ」
ワチだってよ、なんだよ、本当にかわいいな。
というか、やっぱり喋れるのか!
「おっ、やっと見えた。って、本当にフェレットだな。黄色いフェレットだ。想像以上に可愛いな。しかも、ちゃんと喋ってるぞ」
私がスネコスリを指さし笑いながらそう言うと、トウフが失望したような表情で、
「妖怪ですからね」
と言って来た。
あれ? なんかしたっけか?




