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【徒然妖怪譚】私とトウフの奇妙な共同生活  作者: 只野誠
【第三章】私とスネコスリがフェレットでスネカジリ
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【第三章】私とスネコスリがフェレットでスネカジリ【二十二話】

 よくわからないものに足というか、脛のあたりを触られている。

 同居人のトウフでもカラカサでもない。


 じゃあ、何だ、と思っても、触られている感触があるのに姿が見えない。


 ホント、なんだこれ?

 手で払っても、足を大きく動かしても、何かが私の脛を触り続ける。

 私もだんだん怒りが溜まってきた。

 いや、もともと短気な方だしな、私は。


 私は布団の上に立ち上がる。

 そして、触られているほうの足で唐突にハイキックをする。

 鋭く、鞭のようにしなった足が、綺麗な弧を描いて空を切る。


 まだまだこんな蹴りを放てるとは。

 高校時代、これでも空手部だったんだよな。

 でも、蹴りの切れはやっぱり衰えてんな。


 けど、効果があったようで流石に触られている感触は消えた。

 よし、いなくなった。


 なんだったんだ?

 まあ、いいや、寝よう寝よう。


 私は布団の上に横になり、今度はちゃんと足まで布団をかけて眠りにつく。

 のだが、しばらくすると足を触れられる感触が舞い戻ってくる。

 足にかけた布団も暴れているので、触っている存在の実体はあるようだ。

 何も見えないけど。


 睡眠を邪魔された私は上半身を起こし、触れている方の足を、触られている感触のある場所を手でつかむ。

 無論、私の手は空を切る。


 だって、何も見えないし。

 でも布団には触れているんだよな。

 なんなんだよ、これ。


 暗いからか?

 とはいえ、もう外は明るくなってきているぞ?

 暗いとはいえ、そこそこ見えるぞ?


 私は足を触られる感触を感じながら、部屋の明かりをつける。

 明かりをつけたって、私の足を触ってるヤツの姿は見えない。

 いや、よくよく見ると何かが高速で私の脛にすり寄ってきている様な気がする?


 なにかが、今思うと柔らかい触り心地の良い毛皮のような物が、私の脛を触り続けている。


 けど、目ではほとんど確認できない。

 高速で動いてて目で追えてないって奴?

 これじゃあ、寝ようにも気になって寝れない。

「なんなんだよ」

 怒気の篭った声が自然と、口から吐き出される。

 ふとトウフを見ると、私が不要に発した言葉で起きた様子もない。

 すー、すー、と規則正しい寝息をしている。


 そのトウフの寝顔とあまりにも美しい寝姿に、少しだけ私の怒りゲージが下がる。

 下がるけど、煩わしい脛を触る感覚にすぐに怒りのボルテージが上がって行く。


 仕方なく両足の脛のあたりに布団を巻く。

 これで平気だろう。

 そう思って明かりをつけたまま、敷布団の上に横になり様子を見る。

 すると、今度は左手をサワサワと触られる感触が始まる。

 左手を振るうと今度は右手だ。


 煽られているように感じた私の頭に血が上る。


 とにかく目に見えない何かを掴もうと必死になって手を動かすが、数分後には息を切らした私がいるだけだ。

 なんなんだよ!

 もう!!







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