【第三章】私とスネコスリがフェレットでスネカジリ【二十一話】
深夜、と言っても、もう朝方の時間、私が寝ていると足に触られる感触があって、それで私は目を覚ました。
もうそろそろ夏が来るっていう時期で、足まで布団をかけていなかったのが原因か?
ものすごい勢いで足を触られている感触がある。
寝ぼけているせいか、とも思っていたが、どうも実際に触られているようで。
うーん、同居人はいる。
人ではないけれど、同居人はいるんだよな。
豆腐小僧のトウフと唐傘お化けのカラカサという妖怪の二人が。
カラカサはギャルだし、そもそも手がないので除外するしかない。
となると、トウフの奴か?
おいおい、まさかトウフにもとうとう性の目覚めって奴が?
いや、トウフには私なんかではなく、少年に、少年同士で発情して欲しいんだが?
私の勝手な想像で希望だけれども。
トウフが私に発情するとか解釈違いだ。
そもそもトウフには受けでいて欲しい。
そう思って、私は足を大きく移動させる。
これでトウフの奴も諦めてくれる、そう思っていると、ぜんぜん足を触るというか、撫で回すような感覚が途切れることがない。
おいおい、しかも、ものすごい勢いで私の足を撫でまわすじゃないか。
トウフの、あの白い小さな手で私の足を撫でまわすと考えると、そう悪い気はしない。
しかし、そうか、あの純情なトウフがとうとう性に目覚めてしまったか。
それはいい。いいんだ。
けど、けれどもだよ? その対象が私と言うのは、やっぱり解釈違いなんだ。
トウフは少年同士でキャッキャウフフして欲しいんだよ、私は!
私はトウフの行動を止めるために目を開ける。
そして、横を見る。
普段トウフが寝ている布団を見る。
そこには…… トウフがいる。
綺麗な姿勢で、胸の前で手を組んで、まるでおとぎ話のお姫様のような、そんな雰囲気で寝ている。
なんでそんな綺麗な寝相でお姫様かよって言いたくなる。
トウフ、おまえと言う奴は!
これは私の中の妄想が捗る……
あれ? じゃあ、私の足を撫でまわしているのは誰だ?
まさかカラカサが? いやいや、あいつには撫でまわせるような手はないぞ?
そう思って私は玄関のほうの傘立てを見る。
そこには派手なピンクの生地に傘布部分を張り替えた傘がささっている。
しかも、ちゃんと傘から綺麗な足が生えている。
カラカサからすれば逆立ちしているような状態だが、寝るときはそうするのが良いらしい。
やっぱり傘なんだな、アイツも。
って、待て、じゃあ、今、私の足を、脛のあたりをものすごい勢いで触っている奴は誰だ?
そう思って、自分の足を見る。
何もいない。誰もいない。
なのに、足を触られている感触だけは確かにある。
なんだ、これ?
病気か何かになっちまったのか?
いや、これってあれか?
もしかして、新しい妖怪か何かか?
トウフを起こすべきか?
いや、深夜の二時頃に寝たばかりだ。
まだ二時間も経ってない。
流石に起こすのはかわいそうか?
うーん、足、というか、脛のあたりだよな、触られている感触があるの。
試しにそのあたりを手で払ってみても、何かあるわけでも、手で何かを触れるわけでもない。
一体、何なんだよ、これ……?