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麻酔の一つもない

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

恋愛です。R15です。

苦手な方はご注意下さい。


こんな夢を見たんですよ。

『だから麻酔しろって(#゜Д゜)』

――ばちんっ。

左耳に穴が空いた。耳の縁の、輪郭を描く部分。声を上げる事すら叶わずに、私は耳を抑えて悶える。穴開けを行った輩は、ニヤニヤと嗤って此方を見下していた。


「本当に死んで欲しい。死ねば良いのに」

全てが終わった後の事、逃げられない事を承知の上で、此奴は私の体に穴を開けた。私はそっぽを向いて耳を覆って、これ以上何もされない様に静かな抵抗をしていた。

「そんなに怒らないでよ。好きな人から虐められるのは、大歓迎でしょ?」

そいつは悪びれる様子もなくひょうきんな口調でそう返す。反省の色は無い。私を思う気持ちもない。本当に胸糞悪い。

私は手短にあった枕を手探りで引っ掴むと、穴を開けた張本人に向かってぶん投げた。反省しろ。あぶんだら。

「ほら、耳みせてよ。消毒しないと菌が入って大変だよ〜」

「自分でやる」

「やり方分かるの?」

「勝手に調べる。あっちへ行け」

頭から布団を被って徹底的に抵抗を続ける。動けないのが癇に障る。此奴に任せたら、消毒ではなく傷が増えるだけだ。

そうしていると、被さっていた羽毛が無理矢理引き剥がされるのを感じた。皮でも剥ぎ取られる様にひん剥かれると、穴を開けられた時のように馬乗りになられ、顎を強引に固定させられた。

「黙って言うことの一つも聞けないの? 君、そこまで馬鹿だったっけ?」

「……っ」

歯噛みをして相手を見るけども、何処までも冷たい顔が私を見返して来るだけだった。居た堪れなくて視線を逸らすと、左耳を上に向けて消毒をする。

「夢で見た。お前が馬乗りになって、ピアス穴開けてた。麻酔一つもせずにぶち抜いて、黒いアクセその場で付ける夢」

「正夢じゃん」

手入れしている最中の声は音符でも着いた様にご機嫌だった。さっきの怒りは演技ってか?

「……現実でも麻酔しないとは思わなかった」

「痛い方が良いじゃん。だって忘れられないもん」

夢を見たんですよ。

耳の軟骨を貫通したピアス穴を開けられる夢。

その後黒ピアス付けられる夢。

叫んだ言葉が『麻酔しろって(#゜Д゜)』でした。

これが二回ほど。


嘲笑混じりに相手を詰る子が書きたくて。

人の自尊心笑いながら詰る子が書きたくて。

そういう子って、一度気に入ると独占欲もそれなりに強そうな偏見があるのでこの話になりました。


独占欲強い子が好きなんですよ。

思い切り剥き出しにしてる子も好きですが、それを察せられないように巧妙み隠す子も好きです。

今回は後者です。


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