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第47話 猫です

「うーん……」


 天気の良いダンジョンの中。

 丈二はスマホとにらめっこをしていた。


 丈二はカウシカたちのために牛舎を建てようと思っている。

 当たり前だが、建物を建てるとなったら結構な金額がかかる。

 おはぎたちのおかげで生活に余裕が出来ているとはいえ、小心者の丈二では決断が難しい金額だ。


 少しでも安く、少しでも良い業者にお願いしたい。

 丈二はダンジョンを見渡してレイアウトを考えながら、業者を検索していた。


 ぐぅー。

 丈二のお腹が鳴った。

 もうお昼時だ。

 考えるのを中断しよう。

 

 丈二はダンジョンから出る。

 今日の昼ごはんは何かな。

 縁側から台所の方を見たが、牛巻が居ない。


 どこに行ったのだろうか。

 キョロキョロと見回すと、玄関の方に姿が見えた。

 あんなところで何をしているのか。

 丈二は不思議に思いながら近づくと。


「どうし――うぉ!?」

「あ、先輩! ちょうど呼びに行こうとしてたんですよ!」


 家の(へい)で見えていなかったが、そこには3人の小学生が居た。

 真ん中の男の子の腕の中を見てギョッとした。

 そこに血まみれの三毛猫がいた。

 体のあちこちに怪我をしている。

 殴られたような打撲のあとだ。

 息はしている。死んではいない。


「とりあえず、回復してあげようか」


 丈二は猫に回復魔法をかける。

 その間に、子供たちから話を聞いた。


「あのね、怖いお兄ちゃんがいじめてたの」

「ひどいんだよ! 野球ボール投げてたんだ!」

「その人たちが居なくなったから、助けてきたんだ」


 なるほど。

 不良たちが猫をいじめていたらしい。

 なんともひどい話だ。

 

 しかし猫が生きていたのは幸運だ。

 昨今の不良の中には、魔力を使って身体強化をしている奴らも居るらしい。

 何年か前に『凶暴化する不良』とか言って、ニュースになっていた。

 この猫を襲ったのは、あまり強くない不良だったのかもしれない。


「それでね。おはぎちゃんのおじちゃんは回復魔法が使えるんでしょ? だからここに来たの」

「いつも動画で見てるよ!」


 子供たちは視聴者さんだったらしい。

 動画で丈二が回復魔法が使えることを知っていた。

 そして丈二は、近所ではちょっとした有名人。

 近くに住んでいる子なら、丈二の家を知っている。

 だから猫を助けてもらおうと来たらしい。


「とりあえず、猫ちゃんのケガは治ったよ」

「良かったぁ」


 猫のケガは治った。

 猫は力なく目を開けると、キョロキョロと周りを見渡している。

 まだ元気はないが、とりあえず無事なようだ。


 猫は助かった。

 だが、子供たちは困っていた。

 助けたは良いが、この後どうするかは決めていなかったらしい。

 暗い声色で話し合っている。


「僕んちは駄目だよ。ペット禁止だもん」

「俺の家も犬飼ってる」

「私のお母さん猫アレルギー……」


 どうやら、どの子の家もダメらしい。

 ならば仕方がない。


「それじゃあ、おじさんの家で預かるよ」


 猫の一匹くらいなら大丈夫だろう。

 飼育しているモンスターの数からいったら誤差みたいなものだ。


「ありがとう! おじさん!」

「うん。いつでも会いに来てね」


 丈二は猫を受け取って、その腕に抱いた。

 子供たちは、なごり惜しそうに帰っていく。

 それぞれ、このあと用事があるらしい。


 さて、とりあえず猫を河津先生のところに連れて行こう。

 いつもモンスターばかり診てもらっているが、あそこは動物病院だ。

 普通の猫も診てもらえる。


 牛巻は猫を見つめた。


「いまさら、普通の猫を飼うことになるとは思いませんでしたね」

「おはぎたちほど頑丈じゃないから、食べるものには気を付けないとな」


 丈二は猫を抱っこしながら家に入る。

 もぞもぞと、腕の中の猫が動いた。


「いやー、助かりましたにゃ!」

「……は?」


 馴染みのない声が聞こえた。

 牛巻を見る。ふるふると頭を振っている。

 牛巻ではないらしい。

 そもそも、声は丈二の腕の中から聞こえた。

 丈二はゆっくりと抱いている猫に目を向ける。


 ぴょん!

 猫が飛び出した。

 綺麗に回転をキメて床に着地する。

 なんと二足歩行だ。


「僕は『猫族(ケットシー)』の『サブレ』ですにゃ」


 猫が喋りだすとは驚きだ。

 丈二も牛巻もぽかんと口を開いて、サブレを見る。

 猫族と言っていた。

 そんな種族は聞いたことがない。

 モンスターなのだろうか。

 だが、モンスターが喋り出したという話は聞いたことがない。


 サブレは土下座をする。

 いや、ただ座っているだけだろうか。

 おでこを付けて寝ているようにも見える。


「お願いにゃ! 猫族を助けて欲しいのにゃ!」

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