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第11話 案件動画

 さて、牛巻に来てもらったのは、別にお昼ご飯を作ってもらうためじゃない。

 動画を撮影するためだ。

 しかも、案件動画。


 先日やってきた長塚製薬の二人から貰った仕事だ。

 内容は商品の宣伝。

 長塚製薬が新発売する携行食品『ドラゴンエナジー』の広告だ。


 携行食品市場はとても大きい。

 探索者たちがダンジョンに潜ると、ゆっくりと食事がとれない時もある。

 その時に役に立つのが携行食品だ。


 長塚製薬は『カロリーフレンド』という携行食品を、すでに販売している。

 長いあいだ親しまれてきた商品なのだが、少し時代から遅れてきていた。

 

 最近はダンジョン配信を意識して、『映え』を意識したおしゃれな商品も増えている。

 武骨でシンプルなカロリーフレンドは、徐々にシェアを奪われていた。


 そこで打ち出したのが、今回のドラゴンエナジーだ。

 黒と緑を使った、ダークな雰囲気の包装。

 中身はグミで、グニグニとした食感と炭酸のような刺激を味わえる。

 味はコーラ、オレンジ、メロンの三種類。


 もちろん栄養素も考えられている。

 ダンジョンの探索中などの短期間であれば、これだけ食べてれば大丈夫らしい。


 長塚製薬はこの商品に力を入れているようだ。

 次の主力商品に育てたいと考えているのだろう。

 そして『ドラゴンエナジー』の商品名から、ぜひともおはぎに宣伝して欲しいらしい。


 だが、一つ問題がある。


「おはぎ、これ気に入ってくれるかな?」


 丈二の手には、『ドラゴンエナジー』の袋が握られていた。

 人間からすると美味しい。

 だがドラゴンが気に入ってくれるのだろうか。

 炭酸風の刺激などは、おはぎにとって未知の体験だろう。


「ぐる?」


 『くれるの?』と言うように、グミの袋を見ている。

 少なくとも興味はあるようだ。


「とりあえず、試しに撮影してみるしかないんじゃないですか? 向こうの人も、とりあえず動画送ってみてって言ってるんですよね?」

「それもそうか……」


 動画を撮ってみて、それを牛巻に編集してもらう。

 今まではホームビデオのような雰囲気だった。

 今回からは、効果音を付けてもらったり、サムネを作ってもらったり、より動画らしくしてもらう予定だ。


 そうして完成した動画を長塚製薬に送って確認してもらう。


「とりあえず、撮ってみるか……」




 

 動画におはぎの姿が映った。

 ぐるるとのどを鳴らしながら、カメラを見つめている。


『キター!!』『サムネがちゃんとしているだと!?』『スゴイ、ちゃんと動画っぽくなってる』


「皆様、見て頂いてありがとうございます。今回は長塚製薬様から頂いた案件動画になっています」


『案件!?』『うお、動き早いな』『長塚製薬?』『カロリーフレンドとか、アロナミンCなんかの会社だよ』


「今回は、こちらをおはぎに食べてもらおうと思います」


 そう言って、カメラに商品の袋が映る。

 黒と緑を使ったダークなデザインだ。

 ドラゴンエナジーと書かれている。


『ほえー、こんなのあるのか』『発売はこれからだよ』『デザインええやん!』


「携行食品のドラゴンエナジーです。中身はグミですね」


 男性は袋を開ける。

 そして、中からグミを取り出した。


「食べてくれるかなぁ」


 男性は不安そうにつぶやいた。


『美味そう』『ドラゴンがグミ食うんか?』『ドラゴンにグミあげた人なんか居ないから分からん』


 おはぎの鼻先にグミを持っていく。

 クンクンと匂いを嗅いだ。

 そして、ぱくりと噛みついた。


「ぐるぅ?」


 おはぎは不思議そうに首をかしげている。

 口からはしゅわしゅわと音がしている。

 その感触が不思議なのだろう。


「ぐるぅ♪」


 だが嫌いではないらしい。

 楽しそうに、あむあむと口を動かしている。


『カワイイ!!』『おはぎちゃんが食ってると、なんか食べたくなってきたわ』『販売されたら買うわ』


「良かった。気に入ってくれたみたいですね。あっ、ちなみにですが、犬や猫には毒になるようなので、マネしないでくださいね」


『あぶねぇ。ペットにあげるつもりだった』『モンスターなら大丈夫やろか』『モンスターなら人間が食えるものは大丈夫だろ』 


「それじゃあ、私も食べてみます」


 男性はグミを一つ取り出す。

 画面外で食べたようだ。


「しゅわしゅわしてて楽しい食感ですね。味も美味しいです」

「ぐるる!」


 食べ終わったおはぎ。

 グミの袋をジッと見上げている。


「もっと食べたいのか?」

「ぐる!」

「国に認められた栄養補助食品ですから、もうちょっとあげても良いかな」


『さりげない宣伝』『これだけ食って生活できるの?』『あくまでも補助食品だ。ちゃんと飯食え』『ダンジョン探索中くらいなら大丈夫だろうけどね』


「おはぎ、お手」

「ぐる!」

「おかわり」

「ぐる!」


『キレッキレの動きだ……』『よほど美味かったんやな』


「はい、どうぞ」

「ぐるぅ♪」


 おはぎにグミを与える。

 楽しそうに首をかしげ始めた。

 炭酸の食感が気に入ったらしい。


「それでは皆さん。ぜひドラゴンエナジーを買ってみてください!」

「ぐるぅ♪」


『発売日っていつ?』『来週やで』『今からコンビニで並んどくわ』『徹夜組は禁止やぞ。グミだけに』『死刑』

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― 新着の感想 ―
[一言] 炭酸飲料飲めないけどグミなら食べれるかな〜?( ゜д゜)無理かな???
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